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Vol.113 2014年4月10日
スイスという国~“国際社会の優等生”と日本の交流

2014年は,日本とスイスが外交関係を樹立してからちょうど150年目にあたります。これを記念して,日本とスイスでは,さまざまな関連事業を開催し,両国の交流をますます強化していく方針です。今回は,スイスという国について紹介するとともに,日本とスイスの共通点などについて解説します。

スイスとは

スイススイスは,ヨーロッパのほぼ中心に位置し,ドイツ,フランス,イタリア,オーストリア,リヒテンシュタインに囲まれた内陸の国です。面積は約4.1万平方キロメートルで,九州とほぼ同じくらいです。人口は約804万人(2012年,スイス連邦統計庁)で,民族は主としてゲルマン民族が中心です。スイス全 26州のうち19州でスイス特有のドイツ語,スイス・ドイツ語が話されています。公用語は,ドイツ語,フランス語,イタリア語,ロマンシュ語です。首都はベルンで,旧市街全体が世界遺産になっていることでも有名です。その他,チューリッヒやジュネーヴ,ローザンヌなど,世界的に有名な都市がたくさんあります。

 

日本人から見たスイスのイメージ

スイスと言えば,私たちが真っ先に思いつくのは,マッターホルンに代表されるような美しいアルプスの山岳風景でしょう。アルプスの山村を舞台にしたヨハンナ・スピリの小説「ハイジ」は,世界中の子どもたちからも親しまれている本のひとつであり,日本ではアニメーション作品としても人気を博しました。また,スイスは世界最大の時計生産国であり,多くのトップブランドがスイスに集結しています。チューリッヒ,ジュネーヴに次ぐ第3の都市であるバーゼルでは,年に一度,世界最大の時計・宝飾品の国際見本市が開かれています。スイスの「食」では,特にチーズやチョコレートが有名です。日本でも,チーズフォンデュやラクレットなどのチーズ料理が人気を集めている他,今では普通に食べられている「ミルクチョコレート」が19世紀にスイス人によって発明されたということも,興味深いエピソードのひとつです。

マッターホルンの風景 チーズフォンデュ
 

国際社会での独自の存在感

WTO本部(ジュネーブ)国際社会の中で「スイス」という国を語るとき,その特徴として挙げられるのが,永世中立国であること,そして国際人道主義発祥の地であるということです。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)世界貿易機関(WTO)など,多くの国際機関がこの地に本部を置いており,また,国際オリンピック委員会(IOC)国際サッカー連盟(FIFA)国際バレーボール連盟(FIVB)国際アイスホッケー連盟(IIHF)など,多くのスポーツ関連団体の本拠地にもなっています。これは,スイスが中立国であるため,テロや紛争によってその機能が停滞する危険性が少ないということ,そしてホスト国としての公正性を保つことができるということなどに由来していると考えられます。スイス自身も外交政策として,国際機関の誘致や中立外交を積極的に展開しています。また,ヨーロッパにおける非EU加盟国という立場からも,スイスは国際社会において独自の存在感を発揮しています。

 

高い技術,経済,文化水準

スイスは欧州の中でも,特に時計をはじめとする精密機器や産業用機械,製薬,化学等の多くの分野において,非常に高い技術水準を有している国です。また,経済の面でも,国際金融センター指標(Global Financial Centres Index 2012)によると,世界の上位10都市中,チューリッヒが第5位,ジュネーヴが第9位と,スイスが2都市もランクインするなど,世界的な金融センターのひとつです。また,赤十字社創立のアンリ・デュナンをはじめとするノーベル賞受賞者は27名にも上り,人口当たりのノーベル賞受賞者数としては,世界でもトップクラスです。芸術の分野でも,ルツェルン音楽祭,モントルー・ジャズフェスティバルやロカルノ国際映画祭,ローザンヌ国際バレエ・コンクールなど,毎年数多くの国際的なイベントが開催されています。

 

ユニークな政治体制

政治面を見てみると,スイスは世界でもめずらしい,直接民主制をとっている国です。スイス北東部のアッペンツェル・インナーローデン州では毎年,数千人の有権者が広場に集まり地元の指導者を決めるなど,今日でも恒常的に住民投票を実施しています。また,国政では,1959年以降,スイスの連邦内閣の7閣僚ポストは,選挙結果とは関係なく,「魔法の公式」と呼ばれる一定の比率に従って特定の主要政党に割り振られてきました。7人はそれぞれ各省の大臣を務め,その中の1人が大臣兼任のまま,任期1年の大統領となります。スイスの大統領は,閣僚7名が1年ごとに交替で務める輪番制になっています。大臣に選出された後は,基本的に国の利益のために閣僚が一致団結するため,スイスの政治は非常に安定していると言われています。

 

高い国際的情報発信力

また,国際的な情報発信力が高いということも,スイスの特徴のひとつと言えるでしょう。毎年1月にスイス東部の保養地であるダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会は,通称「ダボス会議」と呼ばれており,スタート当時は欧州の経営者が集まるシンポジウムでしたが,近年では世界を代表する政治家や実業家の他,市民団体や学識経験者,文化人など,様々な分野の世界的リーダーが一堂に会して討議する場として注目を集めています。2014年1月に開催されたダボス会議には,安倍総理も出席し,日本の総理大臣として初めて,オープニング・セッションで基調講演を行いました。また2014年1月にスイス・モントルーにおいて開催され,岸田外務大臣も出席した,シリアに関する国際会議「ジュネーヴ2」など,スイスの地名を冠した国際会議や条約が多く存在するのも,スイスの情報発信力の高さの表れと言えることでしょう。

ダボス会議出席時の安倍総理(2014年1月)
 

日本とスイスの交流

このように,国際社会において“優等生”とも言えるスイスは,時間を守り,そして勤勉に働くという点で日本との共通点があります。スイスと日本は,1864年の国交樹立(修好通商条約締結)以来,両大戦中を含め,伝統的に友好関係を継続しており,国際人道法や軍縮・不拡散,防災,保健,ジェンダー等,多くの分野で政策の方向性を共有してきました。2014年2月には,安倍総理は,スイスのブルカルテール大統領と首脳会談を行いました。この会談で経済関係の強化を確認するとともに,両首脳は,航空業務に関する日本国とスイスとの間の協定(オープンスカイ協定)の署名式に立ち会いました。スイスと日本は,これまでにも2009年に経済連携協定(EPA)締結,2011年に租税条約の改正,2012年に社会保障条約 を締結し,両国間の経済関係の法的枠組みを固めてきました。今後はさらなる貿易拡大や経済協力に向けた連携を進めていく方針です。

日スイス首脳会談の様子
 

日本・スイス国交樹立150周年の向こうに

日本・スイス国交樹立150周年ロゴ日本・スイス修好通商条約を締結してから,ちょうど150周年にあたる2014年,日本・スイス両国では,「日本・スイス国交樹立150周年」を記念する多くの事業が行われています。日本側の名誉総裁には皇太子殿下が御就任されました。 2月6日~9日には六本木ヒルズアリーナにて,日本での祝祭の幕開けとなる「スイス・デイズ」が開催され,スイスに関連するイベントや,スイス料理などを楽しむために,多くの人々が会場を訪れました。また,150年にわたる両国の歴史を振り返るという観点では,6月からスイスのヌーシャテルで予定されている「エメ・アンベール展」も注目です。当時,新たな連邦国家としてスタートしたスイスは,日本が開国したとの報を聞き,交易関係を結ぶべく,日本に代表団を派遣しました。この代表団を率いて訪日した人物が,エメ・アンベールです。同展では,両国交流の起点となったエメ・アンベールが日本滞在中に集めた資料等が展示される予定です。このような150周年記念事業は,日本がスイスから多くを学ぶとともに,日本の素晴らしさをスイスで知ってもらうことにより,お互いへの関心を高めるきっかけを提供するものです。150周年をきっかけに,両国民の絆が強まり,より多くの人々が互いの国を訪問することを通じ,両国の交流がますます活発化していくことが期待されます。

エメ・アンベールの肖像画 「エメ・アンベール展」にて出典されるエメ・アンベール訪日時の日本の様子
 
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