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Vol.112 2014年3月31日
アフリカ~「一人,ひとり」を強くする日本のアフリカ外交

2014年1月,安倍総理は,第5回 アフリカ開発会議(TICAD V)において約束したアフリカ訪問を行いました。安倍総理は,コートジボワールモザンビークエチオピアを訪れ,コートジボワールに集まった10か国の西アフリカ諸国首脳を含め,13か国の首脳との会談を行いました。今回は,アフリカが今世界的に注目を集めている理由と,アフリカにおいて存在感を増す日本の外交について解説します。

ダイナミックなアフリカ,多様性のあるアフリカ

アフリカの基本情報(全世界に占める割合)アフリカ”と言うと,紛争や貧困などの問題がクローズアップされる傾向にありますが,一言で言い表すことができないほどの多様性を持つ地域です。面積は約3,000万㎢,赤道を挟んで南北約8,000km,東西約7,500kmの広がりを持ち,そこに54もの国々が存在しています。そのスケールの大きさは,アフリカ最大の面積を有するアルジェリアが,日本の約6倍の面積であることからも想像できます。アフリカの人口は年々増え続けており,現在はおよそ10億2千万人です(UNFPA2012より)。世界の7人に1人がアフリカ人であり,多くの民族,宗教,文化が共存しています。

 

私たちの身近にあるアフリカ

日本人にとって,距離的に遠いアフリカですが,私たちの身近なところにもアフリカに関係するものがたくさんあります。例えば,私たちが日常的によく食べるスイカやオクラの生まれ故郷はアフリカと言われており,現在,日本が輸入する約6割のタコがモーリタニアまたはモロッコ産であったり,南アフリカからグレープフルーツが多く輸入されていたりと,日本の食卓になじみの深いものがたくさんあります。また,アメリカ,ブラジル,ドイツに次ぐ,世界第4位のコーヒー消費国である日本は,エチオピアをはじめ,タンザニアやケニアなどからコーヒー豆を輸入しています。チョコレートの原料となるカカオ豆の約80%は,ガーナから輸入しています。食べ物以外にも,サッカーやラグビー,マラソンなどの強豪国がひしめいているアフリカでは,柔道や空手などの日本の武道も盛んです。野生動物など豊かな生態系を実感できるサファリ・ツアーは日本人に人気があり,またケニアのモンバサやタンザニアのザンジバル島など美しいビーチリゾートもあり,アフリカは観光地としても注目されています。

アフリカ南部のカラハリ砂漠周辺が起源と言われる「スイカ」 ケニアのシマウマ
 

アフリカ経済の今

レアメタル経済において,ダイナミックな成長を遂げているアフリカですが,それはアフリカが世界的な天然資源の宝庫であることに起因しています。プラチナやダイヤモンドなどの貴重な鉱物をはじめ,「産業のビタミン」とも呼ばれるレアメタルも産出しています。日本は白金やマンガン,バナジウムなどを,アフリカから多く輸入しています。また,アフリカの人口は今後10年毎に3億人ずつ増加し,2050年には20億人を超えるとも言われていることから,未来の大市場として期待されています。特に,サハラ以南の「サブサハラ・アフリカ」と呼ばれるエリアは,国内総生産(GDP),国民総所得(GNI)ともに世界平均の約2倍という伸び 率を記録しています(IMF:World Economic Outlook October 2012より)。今後も高い経済成長が続くと予測され,新たな投資先として世界中の注目が集まっています。

 

日本とアフリカの“友情”

アフリカと日本は,何故現在のような近しい存在になったのでしょうか。その“友情”のきっかけとして挙げられるのが,アフリカ開発会議(TICAD(ティカッド)) です。そもそもこの会議が開催されることになった背景には,東西冷戦の終結があります。1989年のベルリンの壁崩壊後,国際社会は大きな変革の時期を迎え,各国が東ヨーロッパの復興に力を注ぐのに対し,アフリカへの支援の手は徐々に緩められていきました。一方で,民主化の波はアフリカにも及び,アフリカは政治的にも大きな試練を経験していきます。このように国際社会でアフリカへの関心が薄れていく中,アフリカの開発のために何かできることはないのだろうかと手を挙げたのが,日本だったのです。日本は,アフリカの開発について今一度議論する場を作ろうとしました。それが,このTICAD(ティカッド)なのです。

 

TICAD 20年の歩み

このような流れのもと,1993年に東京でTICAD Ⅰが開催されたのですが,当初は,2回,3回と続く予定はありませんでした。しかしながら,この会議における日本のイニシアティブを高く評価したアフリカ側からの要望を受け,5年後の1998年にTICAD Ⅱを開催しました。さらに2003年のTICAD Ⅲ,2008年のTICADⅣと続き,2013年6月に横浜で開催されたTICAD Vでは,39名の国家元首・首脳級を含むアフリカ51か国が参加し,世界最大級のアフリカの開発に関する会議へと成長を遂げました。

TICAD Vの様子(2013年6月)
 

オーナーシップとパートナーシップ

TICADには,「オーナーシップとパートナーシップ」という基本理念があります。これは,この会議が「援助国・機関がどれだけアフリカに支援をするのか」を表明する場ではなく,あくまでアフリカ自身がアフリカの開発に関して考え,行動するという「オーナーシップ」に応じる形で,日本は「パートナー」として何ができるのかをアフリカと共に考え,協力をしていくというスタンスを貫いているということを表しています。日本は,これまでアフリカに対し,インフラの整備や保健・感染症対策,環境・気候変動への対応の他,最近では国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)PKO訓練センターへの支援ソマリア沖での海賊対処行動など,様々な分野における支援を行ってきています。その中で最も大切にしていることの1つが「人材育成」です。2014年1月,TICAD Vで約束したアフリカ訪問を果たした安倍総理は,アフリカ連合(AU)本部において行ったスピーチ(『「一人,ひとり」を強くする日本のアフリカ外交』)で,「アフリカの人々“一人,ひとり”が自分たちの能力に自信を持ち,未来を築く努力を重ねていくことが大切」であることを強調し,日本と日本企業はそれをサポートしていく用意があるということ,そして人材育成の分野の中でも,特に若者と女性のエンパワーメントを重視していくことなどを,メッセージとして届けました。

 

アフリカとの信頼関係の強化

エチオピア訪問TICADに代表される日本のイニシアティブへの高い評価は,そのままアフリカと日本の信頼関係の醸成につながっています。今回のアフリカ訪問で,安倍総理がコートジボワールを訪問した際には,西アフリカ10か国の首脳がコートジボワールに集まり,お互いの関係強化を確認しました。また,安倍総理は今回のアフリカ訪問で,TICADで重視する「平和と安定」を促進するため,3.2億ドルの紛争・災害支援の用意,アフリカ開発銀行との協調融資額の倍増(5年で20億 ドル)を表明しました。安倍総理が唱えた「積極的平和主義」の考え方に基づくこれらの各種支援に対し,各国首脳から支持や歓迎の意が示されました。

西アフリカ各国首脳との懇談会(左)と共同記者発表を行うウワタラ・コートジボワール大統領と安倍総理(右)
 

人と人とのつながりを大切に

今回の安倍総理のアフリカ訪問では,日本の対アフリカ協力の方向性が,いろいろな場面で具体化されていたと言えます。特に顕著に表れていたのが,人と人との交流です。安倍総理は,首脳級の会談のほかにも,コートジボワールでは柔道,モザンビークではバスケットなどのスポーツ関連行事に参加したり,エチオピアではアベベ選手の息子やアスリートたちと懇談をしたりと,日本とアフリカの交流を発展させるための草の根レベルの活動を積極的に行いました。また,同行した安倍昭恵総理夫人は,医療,農業,教育,福祉,芸術等の分野において,現地で活躍する女性,有識者,農業従事者,さらには学生,子供等幅広い人々と交流し,訪問各国と日本との友好関係の進展への期待を伝え,活発かつ多彩な活動を行い,相手国との友好親善を深めました。東日本大震災の際,日本はアフリカ各国の政府とその国民から多くの励ましと弔意,支援の申し出をいただきましたが,それも日本とアフリカがこれまで培ってきた友情の証の1つです。日本はこれからも,「アフリカと一緒に何ができるのか」という視点から,アフリカの良きパートナーとして共に歩み,お互いに成長を続けていきます。

コートジボワール訪問時(左)とモザンビーク訪問時(右)の安倍昭恵総理夫人
 
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