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Vol.105 2013年11月26日
スペイン~フラメンコの国から,先端技術を有する欧州の大国へ

2013~2014年は,慶長遣欧使節団のスペイン派遣から400周年を記念した「日本スペイン交流400周年」です。この交流年の開幕に合わせて2013年6月には皇太子殿下がスペインを訪問され,10月1日~3日にはラホイ・スペイン首相が来日するなど,両国の交流が活発化しています。今回は,スペインという国の“今”と,交流400周年を契機に更に深まる二国間の絆について紹介します。

スペインという国

スペインスペインは,ヨーロッパのイベリア半島に位置する国で,西はポルトガル,北東はフランスと国境を接しています。国土は日本の約1.3倍で,人口は4,727万人(2012年1月推計)。そのうちの約75%がカトリック教徒と言われています。言語はスペイン語ですが,スペイン憲法では,バスク語,カタルニア語,ガリシア語,バレンシア語も公用語として認められています。また,世界全体におけるスペイン語人口は多く,中南米だけではなく,アメリカでもヒスパニックの存在は非常に大きな比率を占めています。ネイティブ使用者数で見ると,世界的には中国語に次いで第2位とも言われており,国際社会において大きな発信力を保持しています。

 

スペインの文化

サグラダ・ファミリアスペインは,歴史的文化的遺産が多く,地方色,食文化が豊富な魅力あふれる文化大国です。ユネスコの世界文化遺産の登録数はイタリアに次いで世界第2位と,多くの歴史的遺産を有することで知られており,また,サグラダ・ファミリアに代表されるガウディ,多くの名画を残したピカソやベラスケスなど,世界的な芸術家を多く輩出しています。また,フラメンコ,闘牛なども有名です。食文化については,米や魚介類等の食材を好んで使うなど,日本食との共通点も多く,近年では日本で「スペインバル」がブームになるなど,スペインの食文化への注目度が高まっています。洗練されたスペインのデザイン,ファッションは,世界中で人気があります。

 

先端技術を有するスペイン

再生可能エネルギー(太陽光発電【集光型】)スペインは,インフラ,ファッション,金融,通信及び再生可能なエネルギー等の分野で世界的な企業が存在し,先端産業・技術において国際的に高い競争力を持つ国でもあります。例えば,小説「ドン・キホーテ」の時代より風と風車に縁の深いスペインは,現代においても国内の全電力の2割以上を風力でまかなっており,スペイン企業が風力タービンの世界のトップ企業として活躍しています。その他,太陽光の分野でも,国内に大規模な太陽熱発電施設を有し,集光型太陽熱発電量のシェアは世界の65%を占めるなど,再生可能エネルギーの分野において世界の牽引役を担っています。また,スペインは世界屈指の高速鉄道王国であり,路線網と路線建設・車両製造では世界トップクラスの技術を有しています。1992年のセビリア万博に合わせて開業した高速鉄道AVE(アヴェ)は,最高営業速度250km/h,路線総延長は中国,日本に次いで世界3位,欧州では1位の長さを誇っています。さらに,サウジアラビアのメッカ・メディナ間(約450km)の高速鉄道建設を,スペイン企業連合が落札・契約するなど,国内での豊富な実績を活かした海外への輸出も積極的に推進しています。

スペインの風車 スペインの風力発電施設
 

スペインの経済状況

スペインが抱える当面の大きな課題は,経済危機の克服です。一番厳しい時期は乗り越えたと言われているものの,失業率は依然高く,全体で約27%,若年層では約57%という,深刻な状況が続いています。2011年12月のラホイ首相就任後は,議会の絶対過半数を背景に,財政健全化と構造改革を断行中です。一方で,海外に活路を求める「経済外交」を推進し,各国に対して様々なアプローチを始めています。欧州の一員としては,EUを重視し,欧州統合支持を堅持しています。中南米に対しては,政治的関係の再構築を目指すとともに,新興市場としての中南米,巨大市場としてのアジア・太平洋の重要性にも大きな関心を示しています。

 

日本とスペインの交流史

日本とスペインの交流史日本にとってのスペインは,最初に西洋との窓口となった国のひとつであり,フランシスコ・ザビエルの来日など,歴史的に馴染みが深いエピソードが数多く残されています。今から遡ること約400年前,1611年6月に当時スペイン領であったメキシコ副王の使節として,スペインのセバスティアン・ビスカイノが日本に到着しました。同年12月にビスカイノは,岩手県大船渡市付近で慶長三陸大地震・大津波に遭遇しますが,地震・津波発生のその日の夜に地元民に大変な歓待を受けたことに感動し,記録に書き残しています。伊達政宗は,震災復興事業の一環として,メキシコとの貿易開始を希望したと言われていますが,徳川家康の許可を得て,スペインに向けて,支倉常長を大使として日本からスペインへ初の公式使節を派遣しました。これが,「慶長遣欧使節団」です。1614年12月にはマドリードに到着し,国王フェリペ3世に謁見しました。現在スペインにいるおよそ1,500人の「ハポン」さん(スペイン語で「日本」の意)は,この支倉一行の子孫であると言われています。 両国は伝統的に友好な関係を有しており,特に2011年の東日本大震災の際にはスペイン各地から温かい連帯・支援の表明がありました。また,スペインで最も権威のある「アストゥリアス皇太子賞」が「フクシマの英雄達」に授与されました。また,日本の皇室とスペイン王室の交流も深く,天皇陛下は4回,皇太子殿下は6回,スペインを訪問されました。スペインからも,国王王妃両陛下が7回,フェリペ皇太子殿下が3回訪日されているなど,皇室・王室がよい関係を築いていることも,両国の大きな財産のひとつです。

 

日本スペイン交流400周年

日本とスペインは,その長い交流の歴史から,お互いを国際社会における重要なパートナーとして位置づけています。2013年と2014年は,前述の慶長遣欧使節団が仙台領月浦(現在の石巻市)を出航し,スペインに到着してから,ちょうど400年目にあたります。このことから両国は,2013年と2014年を「日本スペイン交流400周年」とし,様々な分野で二国間関係を促進する取組を行っています。それぞれの400周年の名誉総裁には,両国の皇太子殿下が就任されました。6月には皇太子殿下がスペインでの400周年事業の開幕に合わせ,約1週間スペインを訪問され,各地で大変な歓待を受けられました。特に,慶長使節団が滞在したコリア・デル・リオ市では,炎天下の中,沿道であふれんばかりの市民から歓迎を受けられるなど,交流年のオープニングにふさわしい,両国の友好を再確認する大変よい機会になりました。

慶長遣欧使節団が辿った航路
 

ラホイ・スペイン首相の来日

日スペイン首脳会談(写真提供:内閣広報室) 10月には,日本における400周年事業開幕に合わせ,ラホイ・スペイン首相が来日しました。安倍総理との間で首脳会談を行い,日本とスペイン両国が,価値,歴史,文化を共有し,共にイノベーションを促進し経済成長を実現するパートナーであることを再確認しました。会談後には,この400周年を契機とし,日・スペイン修好通商条約締結150周年にあたる2018年までに,どのような分野で協力していくかを盛り込んだ共同声明を発出し,一層の協力強化の姿勢を明らかにしました。両国はともに経済再建を最優先課題として同じ方向に向かって協力できる国であり,経済面においても政治面においても,国際社会での役割を強化することを目指しています。くしくも,9月末,国連総会に出席した安倍総理がニューヨーク証券取引所でのスピーチで「Japan is back」と宣言した次の日,ラホイ首相もまた,ニューヨーク市内のシンクタンクで講演し,「Spain is back」と述べました。その推進に向けて,今後ますますお互いが協力体制を強めていくことでしょう。

 

日本とスペインの交流の未来

交流年を機会に,民間交流も活発化しています。例えば,1994年の天皇皇后両陛下によるスペイン御訪問を契機に,1997年に始まった「日本・スペイン・シンポジウム」が,今回10月のラホイ首相の来日に合わせて東京で開催されました(第16回日本・スペイン・シンポジウム)。両国の有識者や財界人,芸術家等,各界で活躍する顔ぶれが一堂に会し,意見交換を行う場が数十年にわたって設けられてきたことは,両国間の関係の重なる発展にとって大きな力となっています。また,スペインのマラガ市では,日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とスペインの産業技術開発センター(CDTI)による,再生可能エネルギーの協力プロジェクト「スマートコミュニティの実証事業」がスタートしました。このように交流年を契機に,日本とスペインの両国は,文化事業に加え,政治,経済,科学技術,観光,教育などの幅広い分野で交流事業を実施しており,両国の絆を更に深めていきます。

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