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Vol.1 2008年7月2日
「元気なアフリカを目指して」TICAD IVの成果

2008年5月28日~30日、2009年に開港150周年を迎える横浜市で、第四回アフリカ開発会議Tokyo International Conference on African Development(TICAD IV)が開催されました。アフリカ51か国からの代表団をはじめ3000人以上が参加する、日本外交史上類を見ない大規模な国際会議となった今回の会議では、どのような成果が得られたのでしょうか。TICAD創設の経緯とともにご紹介します。

世界最大級のアフリカの開発のための政策フォーラム

TICAD4「TICAD」とは、日本政府が国連、世界銀行等と共催する、アフリカ開発をテーマとした世界最大級の政策フォーラムです。アフリカ諸国のみならず、他の援助国や多くの国際機関が参加しています。4回目を数える今回は、「元気なアフリカを目指して-希望と機会の大陸」を基本メッセージとし、アフリカの経済成長の加速化、人間の安全保障の確立、および環境・気候変動問題への対応策などを中心に、活発な議論が交わされました。

 

アジアの経験をアフリカへ

TICADの始まりは1993年。冷戦終結後、戦後の経済成長とアジア諸国の経済成長という2つの成長を経験した日本が主導となり、東京にて第一回会議が開催されました。かつて日本からの経済協力や技術協力、投資を支えとしたアジアが「元気なアジア」として離陸を果たしたように、その経験を今こそアフリカと分かち合うべきではないか。日本は創設以来一貫して、この「アジア・アフリカ協力」の大切さを主張しています。5月28日に行われたTICAD IV 開会式において福田総理は、アフリカの復興と発展のためには、支援国とのパートナーシップを築くとともに、途上国自身のオーナーシップが必要であるという「自立と共生」の考え方を改めて表明。この「オーナーシップ」と「パートナーシップ」の思想が、TICAD固有の理念を飛び越え、近年アフリカ開発自体のシンボルとして定着してきている現状について紹介しました。

TICAD IVの成果
 
 

福田総理のイニシアティブ:「インフラ整備」「民間投資」「農業生産」への支援

さらに福田総理は、21世紀を「アフリカ成長の世紀」と位置づけ、「インフラ整備」「民間投資」「農業生産」に対する支援の重要性を強調。アフリカの人々が直面している感染症や人口問題についても言及し、2008年がミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた中間年であることにも関連させて、世界全体で解決すべき国際課題であるという認識を新たにしました。また、具体的な支援策として、アフリカに対するODAの倍増と民間投資倍増支援などを含んだ、今後のアフリカ支援に関するイニシアティブを打ち出し、アフリカ各国から高い評価を受けました。

 

アフリカ40か国との首脳会談

今回の会合に参加したアフリカ首脳クラスの出席者数は、前回をはるかに上回る41名にのぼり、アフリカ諸国のTICADプロセスに対する期待の高さが伺われました。福田総理はアフリカ40か国の首脳クラスとの個別会談をそれぞれに持ち、日本とアフリカ諸国との良好な関係を確認し合うとともに、TICAD IV の成功に向けた基盤作りに尽力しました。

 

野口英世アフリカ賞:アフリカの感染症対策支援

アフリカ問題を語る上で忘れてはならないのが、感染症対策です。日本政府は2006年、当時の小泉総理がガーナを訪れた際に、アフリカの感染症問題に対する取り組みとして「野口英世アフリカ賞」の創設を約束。その第1回授賞式が、TICAD IV の一環として5月28日に行われました。この賞は、感染症研究の世界的先駆者・野口英世博士の功績に改めて光を当て、国籍を問わず、アフリカでの感染症などの医学研究や医療活動の分野で、顕著な功績を遂げた人を表彰するもの。医学・医療を対象とした賞はノーベル賞を含めいくつかありますが、「アフリカの疾病」に焦点を当てたという点で国際的評価を得ています。第1回受賞者はブライアン・グリーンウッド博士(英国)とミリアム・ウェレ博士(ケニア)に決定し、賞状と賞牌、および賞金1億円が授与されました。

HIV/エイズ感染
 
 

今後のアフリカ支援に関する世界的指針となる横浜宣言の採択

U2のボノ氏。TICADでスピーチ
アフリカの開発を支援している人気ロックバンドU2のボノ氏。福田総理の招待で来日し、TICADでもスピーチを行った。(日本財団提供)

様々な会議、行事等が行われる中、最終日の5月30日、今後のアフリカ開発の取り組みと方向性について集約した「横浜宣言」が採択され、3日間にわたるTICAD IV は幕を下ろしました。「元気なアフリカを目指して」と謳ったこの横浜宣言では、アフリカ自身に前向きな兆しがあることを確認し合うとともに、AUとTICADの協力関係を強化していく流れを歓迎。さらに人口問題、感染症問題にも着目し、食料価格高騰については特別な注意を払う必要性があることなどが内容に盛り込まれています。この横浜宣言を踏まえ、アフリカ支援についてのロードマップである「横浜行動計画」と、実際にTICADプロセスがどのように行われているか検証するための「TICADフォローアップ・メカニズム」が文書として発出されました。TICAD IV で作られたこれらの成果物は、アフリカ開発支援に関する世界的な指針として、今後大きな役割を持つものになると考えられます。

 

TICADから北海道洞爺湖サミットへ

また、参加者からは、TICAD IV での「アフリカの声」が北海道洞爺湖サミットの議論に反映されることに対して、強い期待が寄せられました。「開発・アフリカ」および「気候変動問題」は、両会議に共通する主要テーマです。特にTICAD IV において「クールアース・パートナーシップ」の輪をアフリカ全土に広げることを表明し、アフリカ各国から評価を得られたことは、日本にとって大きな収穫になりました。1か月後に開催されるサミットに向けて、両会議の議長国を務める日本の果たすべき役割は大きく、国際社会に対する強いリーダーシップが求められています。

 
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