第4章 ODA改革への取り組み
厳しい経済・財政状況とODAに対する国内の厳しい見方などを受け、日本政府のODA予算は、1997年度以降、削減の方向にあり、2005年度政府予算案は前年度比3.8%減となった。過去8年間でODA予算は32.7%削減されている。このような状況のもと、ODAの実施にあたっては国民の支持と理解を得ることが不可欠となっており、外務省は、国民の問題意識にこたえるため、「透明性の確保」「効率性の向上」「国民参加」を柱にさまざまなODA改革の具体策を発表し、ODA改革に取り組んでいる。
第2次ODA改革懇談会・最終報告での提言を受け、ODAへの国民参加を具体化し、ODAの透明性を高めるとともに、ODA調整官庁としての機能強化を図るため、2002年6月、外務大臣を議長、渡辺利夫拓殖大学国際開発学部教授を議長代理とするODA総合戦略会議が立ち上げられた。また外務省は、監査、評価、NGOとの連携、人材の発掘・育成・活用、情報公開・広報の5分野に関する「ODA改革:15の具体策」(2002年7月)、外務省改革「行動計画」(2002年8月)、債務救済無償方式の見直し、無償資金適正実施会議の立ち上げを内容とする「ODA改革:3項目の実施」(2002年12月)に沿い、ODA改革を進めた。このような改革の集大成として、2003年8月にはODA大綱が改定された。その後も、国別援助計画の策定、新ODA中期政策の策定(2005年2月)など、ODA改革の着実な実施に向け取り組んでいる。
ODA改革の具体的措置
1. 援助政策の立案・実施体制
NGOとの連携
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「NGO・外務省定期協議会」の機能強化
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在外公館・NGO間の定期協議(ODA大使館)の開催
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日本NGO支援無償資金協力、草の根・人間の安全保障無償資金協力などの拡充
一貫性のある政策立案
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ODA大綱のもと、中期政策・国別援助政策に則ったODAの効果的・効率的な実施
関係府省間の連携強化
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対外経済協力関係閣僚会議、政府開発援助関係省庁連絡協議会の活用
現地機能の強化
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現地ODAタスクフォース(在外公館とJICA・JBIC現地事務所などで構成)を中心とした現地機能の強化
2. 国民参加の拡大
人材育成・開発研究
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「国際協力人材センター」の設置
情報公開・広報
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ODAタウンミーティングの定期開催
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ODAメールマガジンの定期発刊
開発教育
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開発教育指導者の育成
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開発教育教材の開発
3. 効果的実施のために必要な事項
評価の拡充
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すべての事後評価への第三者の視点の導入
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外務省および実施機関における外部有識者による評価委員会の設置
監査の拡充
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外部専門家による監査を可能なものから導入中
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抜き打ち監査の順次導入
環境に対する配慮
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JBICによる新環境ガイドラインの施行
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JICAによる環境社会配慮ガイドラインの改定