2 ● 重点課題
(3)国際的な開発目標の達成への貢献
無償資金協力でつくられた井戸と住民:ブルキナ・ファソ
  世界の約3分の1に相当する人々が、いまだに健康、農業、経済発展を直接脅かすような慢性的な水不足の中で暮らしているなかで、近年、水・衛生の問題について、急速に国際社会の関心が高まりつつある。水問題には、飲料水や衛生だけでなく、水質改善による水環境の保全、灌漑施設の整備による食糧の安定供給、洪水や土石流による自然災害への対応、水力発電施設によるエネルギーの安定供給といった多様な側面があり、国際社会による総合的なアプローチが必要である。2002年9月のヨハネスブルグ・サミットでは、ミレニアム開発目標の飲料水に関する目標に加えて、「基礎的な衛生施設を利用することができない人々の割合を、2015年までに半減する」という新たな目標が設定された。
 日本は、飲料水と衛生分野において、過去3年平均の世界のODA総額(約30億ドル)のうち、3分の1に相当する約10億ドルを担う世界最大の援助国である。
 2003年3月には京都、大阪、滋賀において第3回世界水フォーラムと閣僚級国際会議が開催された。閣僚会議では、閣僚宣言のほか、43カ国、18国際機関による501件の取り組みをまとめた「水行動集」が発表され、また、これを着実に実施するための仕組みとして「ウェブサイトネットワークの設立」が発表された。また、このフォーラムの際、日本政府は、160億円の水資源無償資金協力の創設、下水処理施設などに低金利の円借款を供与する制度の運用開始、5年間で約1000人の上下水道分野における人材育成支援などを盛り込んだ包括的な支援策として、「日本水協力イニシアティブ」を発表した。さらに、この分野での米国やフランスとの協力に合意し、他国や国際機関との連携をより深めていく方針である。
水・衛生分野における日本のODAの実績