2 ● 重点課題
(3)国際的な開発目標の達成への貢献
 世界中にはいまだに1億300万人以上の未就学児童、8億人の成人非識字者がおり、その約3分の2が女性である。このような状況を改善するため、2000年4月にセネガルで開催された世界教育フォーラムでは「ダカール行動枠組み」が採択された。ここでは、就学前教育の拡大・改善、すべての子どもの初等教育への無償普及、青年・成人の学習ニーズに対する十分な対応、成人識字率の改善、成人の基礎教育への平等なアクセスの確保、初等・中等教育における男女格差の解消、教育の場での男女平等の達成、教育の質的向上などの具体的な目標が設定された。以来、UNESCO(国連教育科学文化機関)を中心に、「万人のための教育(EFA:Education for All)」という取り組みが世界的に進められている。
 このような世界的な潮流を背景として、日本政府は、低所得国に対する教育分野への支援を強化するとともに、2002年6月に発表された「成長のための基礎教育イニシアティブ(BEGIN:Basic Education for Growth Initiative)」に沿って、教育の「機会の確保」に対する支援、教育の「質」向上への支援、教育の「マネージメント」の改善を重点分野とした基礎教育分野への支援を強化している。

学校で学ぶ女性:バングラデシュ


教育分野における日本のODA実績
保健・医療分野における日本のODA実績
 グローバル化が進み、人の移動がますます容易になるなかで、開発途上国の感染症問題は、単なる個人の健康上の問題にとどまらず、国際社会における政治・経済・社会的な脅威ともなっている。2003年には、重症急性呼吸器症候群(SARS)の猛威が、アジアを中心に世界的な問題となった。
 日本政府は、2000年のG8九州・沖縄サミットの際、HIV/AIDS、結核、マラリア、ポリオ、寄生虫症などの感染症対策に対する協力を強化するため、5年間(2000~2004年)で計30億ドルの支援を行う「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」を発表した。IDIは、感染症対策を開発の中心課題ととらえること、地球規模で連携するとともに地域ごとの特性に沿った対応を行うこと、公衆衛生と連携した日本の感染症対策の経験を生かすということを、基本理念としている。これまでに疾病別・横断的なアプローチ、市民社会や他の援助国・機関との連携、制度・能力の強化と人材育成、南南協力の促進などの内容で、2002年度末までに24億ドル以上の支援を実施している。
 また、ポリオ対策についても、日本政府は従来から支援を行っており、国連児童基金(UNICEF)を通じて、1993年から2001年までの9年間に6億人の子どもたちにポリオ・ワクチンを供給している。2000年には、日本政府がポリオ撲滅の支援を行ってきた西太平洋地域において、世界保健機関(WHO)はポリオの根絶を宣言している。
 2003年前半に猛威をふるったSARSに対して、日本政府は、ベトナムへの国際緊急援助隊の派遣、バックマイ病院に派遣された専門家はWHOとの協力のもとで対策を行い、ベトナムにおける流行の早期終息に貢献した。さらに、中国に対しても、国際緊急援助隊の派遣、医療機材の供与などを行った。
         日本の支援によるエイズ検査:タンザニア