ブックタイトルMOFA-外務省-2018
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MOFA-外務省-2018
保健医療課題への取組従来、開発途上国が抱える保健医療の課題は、子どもや妊産婦の高い死亡率、不衛生に起因する感染症等日本とは異なる保健上の課題が顕著でしたが、今日では、感染症、生活習慣病、高齢化など、共通の課題が数多く生まれています。こうした課題への対応を含めた持続可能な開発のための2030アジェンダ(下記FOCUS参照)達成のための多くの知見を有する日本は、2015※1年に策定された「平和と健康のための基本方針」の下、国際保健を外交の重※2要課題と位置づけ、国内外の様々な関係者と協力しながら、各種の取組を進めています。特に、全ての人が負担可能な費用で基礎的な医療サービスを受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進や、エボラ出血熱といった公衆衛生危機への国際的対応の強化や三大感染症を始めとする感染症への対応と中長期的な支援、母子保健、非感染性疾患及び栄養不良といった保健分野の様々な地球規模課題への支援を通じて、人間の安全保障の理念の実現に向け、世界の人々の健康向上に貢献しています。防災への取組世界では毎年2億人もの方々が被災し、自然災害による経済的損失は年間平均2,500?3,000億ドルと言われています※3。日本は、東日本大震災を始めとする多くの災害の経験を持つ国として、災害に負けない強靱な社会の構築に向け、2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で、開発のあらゆる段階に防災の視点を導入する「防災の主流化」を主導するなど積極的に取り組んでいます。また、日本の提案により国連で制定された「世界津波の日」(11月5日)の普及啓発にも力を入れています。環境・気候変動問題への取組気候変動や、生物多様性の損失を含む地球環境問題は、人類の生存・存続にとって深刻な脅威です。日本は、環境分野での国際的なルールづくりや、公害の経験も踏まえた、優れた環境技術の普及による途上国支援などに取り組んでいます。科学技術・宇宙分野の外交推進日本の優れた科学技術・宇宙開発技術を活かして、地球環境、資源エネルギー、保健、防災、食料等に関する国際的な課題解決に貢献するとともに、二国間・多国間の協力関係強化を進めています。国際宇宙ステーション(ISS)補給機「こうのとり」6号機(HTV6)cJAXA/NASA労働問題の解決に向けて労働は社会を形成する人間の根本的な営みの一つです。現在、世界の失業者が2億人を超える中で、国際的に、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現が必要です。日本は、アジアでの技術協力や国際労働機関(ILO)を通じた取組などにより、世界の労働問題の解決のために貢献しています。FOCUS持続可能な開発のための2030アジェンダの実施2015年9月の国連サミットにおいて、経済・社会・環境の各分野を統合した2030年までの国際的な開発目標である「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。同アジェンダには、先進国内でも取り組むべき課題を多く含む、17の包括的な目標(持続可能な開発目標(SDGs))が掲げられています。日本は、SDGsの達成に向け、国内実施と国際協力の両面で率先して取り組むため、2016年5月、安倍総理を本部長とするSDGs推進本部を立ち上げ、関係省庁が連携し政府一体で取り組む体制を構築しました。人間の安全保障の考え方の下、同推進本部の下で策定した「SDGs実施指針」に基づき、民間企業やNGO・NPOなどの様々なアクターと連携してSDGs達成に向け、具体的行動を推進していきます。写真提供:いずれも内閣広報室※1【平和と健康のための基本方針】:「開発協力大綱」の保健分野の課題別政策として、2015年9月、健康・医療戦略推進本部において決定。公衆衛生危機・災害などにも強い社会の実現、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(全ての人が負担可能な費用で基礎的な医療サービスを受けられること)の推進と日本の知見・技術・医療機器・サービスの活用を掲げています。※2外交上の重要課題と位置づけたのは2013年の国際保健外交戦略。※3出典:Global Assessment on Disaster Risk Reduction 20156