だ田や也詳ローレンシャン高原の紅葉ドゥロンジエ・ケベック州政府在日 事務所代表(当時)と みなさんは学校で英語を勉強していますよね。カナダは、英語が公用語(公式の言語)の国であることは、よく知っていると思います。でも、英語に加えて、実はフランス語も公用語とされていることは知っていますか。さらに、カナダの中でも、フランス語のみが公用語とされている州があります。それが、今私が勤務しているケベック州の特とく徴ちょうです。 ケベック州は、かつてフランスの領土であったという歴史的な背景があり、今でもフランス語をはじめとするフランス文化が根づいています。街の中には、おいしいフランス料理のレストランや石だたみの道路、石造りの建物が今も残されており、まるでヨーロッパにいるかのようなふんいきを味わうことができます。 大多数の住民はフランス語と英語を両方話しますが、中には英語しか話せない住民や、カナダのほかの州の人々、外国からの旅行者などもたくさんいます。では、どうするか。たどり着いた答えが、「あいさつを2つの言語でやってしまおう!」ということです。なので、ケベック州では、お店に入ったときの店員のあいさつは「ボンジュール・ハイ!」、電話をかけても「ボンジュール・ハイ!」。要するに、「ボンジュール・ハイ!」と切り出して、相手が「ボンジュール!」と返せばフランス語、「ハイ!」と返せば、それ以降は英語で話そうという意思表示になるのです。2つの言語が入り乱れるケベック州ならではの、ちょっと変わったおもしろいあいさつです。 もちろん、ケベック州政府やモントリオール市役所の方たちも英語とフランス語の両方を話せますが、ケベック州ではフランス語を公用語として定めています。裁判も、ビジネスも、医者の診しん察さつもフランス語を使いますが、結局、ケベック州の外では英語しか通用しないので、必ずしも効率的とは言えない面もたくさんあります。そこまでしてケベック州の人々が守ろうとしているものは何か。人それぞれの答えがあると思いますが、やはり自らのアイデンティティ、「自分が何者であるか」という根源的な“思い”なのだと思います。 外交官の仕事をしていると、外国の社会や文化を客観的な視点で見ることができます。それぞれの国には(もちろん日本にも)独特の社会があり、独自の文化が存在しています。その社会、文化を形成している人々の考え方を知り、尊重し、日本との結びつきを強化していく。それこそが外交官としての仕事の最も難しいところであり、また、おもしろさの一つだと思います。首都:オタワ主要言語:英語、フランス語面積:998.5万km²人口:約3,650万人通貨単位:カナダ・ドルこんにちは=Hハローello、BボンジュールonjourくわいしたつMEMO19カナダより 石さんしく調べてみようケベック州はどこにあるのかな? 達
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