平成29年度エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議で挨拶する岡本外務大臣政務官(2018年2月、東京)世界各地にある日本の大使館や総領事館などの在外公館を通じて、エネルギー関連情報の収集や、エネルギー分野における人脈形成などを積極的に行うことも外務省の重要な役割です。外務省は2013年、「エネルギー・鉱物資源専門官制度」を立ち上げ、2019年2月現在、資源国を中心とした世界53か国60公館で専門官を指名しています。この専門官は、各在外公館において、その任国のエネルギー・鉱物資源や資源エネルギー政策などに関する情報を収集・集約するとともに、民間企業、関係機関等との連絡・調整に際して窓口を務めることとなっており、専門官の氏名は外務省ウェブサイトで公表しています。また、在外公館と外務本省、関係省庁・機関との間の連携を強化するため、外務省は2009年度から「エネルギー・鉱物資源に関する在外公館戦略会議」を開催し、オールジャパンで戦略的な資源エネルギー外交を進めるための議論を行っています。さらに、2016年度からは、特定の地域の在外公館を対象とした会議も開催し、地域ごとの課題や取組などについて集中的に議論を行っています。第16回IEF閣僚級会合で発言する中根外務副大臣(2018年4月、ニューデリー)ケニアのオルカリア地熱発電所への支援(写真提供:JICA)国際エネルギー機関(IEA)によれば、2017年時点で、世界では10億人弱が電力を利用することができず、また約27億人がクリーンな調理環境を利用することができていません。2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の目標7は、全ての人に安価で、信頼性のある、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保することを目指しており、日本もその達成に向けて、ODA等の枠組を通じて積極的に支援を行っています。日本はエネルギー分野における国際協力をリードしています。2013~2017年の5年間で、累計約135億ドル※に上る途上国支援をエネルギー分野に振り向けており、経済協力開発機構開発援助委員会(OECD/DAC)メンバーの中ではトップドナーの地位を占めています。この内、再生可能エネルギーに関しては、2013~2017年の5年間で累計約30億ドル以上※の支援を行い、世界におけるクリーンなエネルギーの普及促進に貢献しています。例えば、国際協力機構(JICA)は、日本が世界最高水準の技術を有する地熱開発に関し、アフリカ、中南米諸国などの現地のニーズに合った技術支援、指導を行ってきています。※いずれも約束額ベースエネルギー憲章会議第27回会合に出席する薗浦外務副大臣(2016年11月、東京) ⑵ 在外公館を通じた情報収集・分析等国際エネルギー・フォーラム(IEF:International Energy Forum)石油・ガス等の産出国と消費国が閣僚レベルでエネルギー政策に関わる非公式な対話を行うことにより、産消国双方が相互に理解を深め、健全な世界経済の達成や供給と需要の安定確保のために安定的かつ透明性のあるエネルギー市場を促進することを目的としたフォーラムです。1991年に第1回会合が開催され、以降1~2年に一回開かれています。主要な消費国である日本にとっては、産出国側に対し、安定供給及び合理的な価格の維持を閣僚レベルで働きかけていく貴重な機会を提供しています。IEF事務局は、世界の石油・ガス情報を、各国から提供された情報に基づいてまとめた「国際機関データ共同イニシアティブ(JODI)」の運営も担当しています。⑶ 世界のエネルギー・アクセスの向上に向けた取組エネルギー憲章条約(ECT: Energy Charter Treaty)エネルギー原料・産品の貿易・通過の自由化や、エネルギー分野における投資の自由化・保護等について規定する多国間条約で、1998年に発効しました。ソ連の崩壊を契機に制定に向けた議論が行われたものであり、旧ソ連及び東欧諸国における市場原理に基づく法整備等を通じ、当該諸国から先進諸国へのエネルギーの安定供給を確保し、当該諸国のエネルギー分野の再建及び経済改革を促進することを目的として作成されました。日本企業のエネルギー分野における投資環境の一層の改善を図り、また、投資受入国自身にとっても、優良な外国投資を誘致する条件を整備する上で、重要な法的基盤を提供するものです。2016年には、日本がエネルギー憲章会議(閣僚級会合)の議長国を務めました。
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