軍縮・不拡散 改訂
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QQQ6 原子力の平和的利用は、核軍縮・不拡散と並んでNPTの三本柱の一つとされています。一方、原子力発電に利用される核物質、機材及び技術は軍事転用が可能であり、一国の事故が周辺諸国にも大きな影響を与え得ます。また、核物質その他の放射性物質を使用したテロ活動を防止する必要があります。したがって、原子力の平和的利用に当たっては、①核不拡散(Safeguards)、②原子力安全(Safety)及び③核セキュリティ(Security)の「3S」の確保等が重要です。また、福島第一原発の廃炉・汚染水対策、除染・環境回復に世界の技術や叡智を結集して取り組んでおり、着実に進展しています。IAEAとも事故直後から協力しており、2017年には、海洋モニタリング専門家の受入れや除染に関する専門家会合を実施しました。さらに、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、2014年に福島第一原発事故による放射線のレベル及び影響に関する報告書を公表して以来、福島県において同報告書の説明会を行っています。国際社会の正しい理解と支援を得ながら事故対応と復興を進めるためには、適時適切な情報発信も重要です。この観点から、日本は、福島第一原発の廃炉作業・汚染水対策の進捗、空間線量や海洋中の放射能濃度のモニタリング結果、食品の安全といった事項について、IAEAを通じて包括的な報告を定期的に公表しているほか、外交団に対する説明会の開催や在外公館を通じた情報提供などを行っています。天野IAEA事務局長は、「平和と開発のための原子力」を掲げ、原子力技術を活用して、持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献すべく、開発課題に積極的に取り組んでいます。日本も、より多くの人が、より幅広い分野で、より安全に原子力技術の恩恵を受けることが重要であると考えており、技術的な強みを活かしてIAEA等と協力しながら原子力の平和的利用の促進に取り組んでいます。これらを支援するため、2015年のNPT運用検討会議で、日本はIAEA平和的利用イニシアティブ(PUI)に対し、5年間で総額2,500万ドルの拠出を行うことを表明しました。また、原子技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)等のもと、締約国やIAEAと協力しつつ、医療、農業、環境等の様々な技術協力プロジェクトに参加し、アジア・太平洋地域を中心とした技術向上及び人材育成に貢献しています。IAEA保障措置 等化石燃料に乏しい日本にとってエネルギーの確保は大きな課題です。電力の安定供給を目指し、政府は、安全性と核不拡散に十分に配慮しながら、原子力の平和的利用に取り組んできました。また、福島第一原発事故の経験と教訓を世界と共有し、国際的な原子力安全の強化に取り組んでいます。原子力技術は、発電以外にも、医療、農業、工業等の様々な分野で実用化されており、日本は技術的な強みを活かして開発課題や人材育成に貢献しています。原子力事故の防止に向けた安全性の確保 等核テロリズムの危険への対応 等©日本原燃株式会社原子力の平和的利用を円滑に進めるためには何が必要ですか?国際的な原子力安全の強化に日本はどのように貢献し、また、福島第一原発事故後の対応にてどのように国際機関と協力していますか?福島第一原子力発電所事故の当事国として、事故の経験と教訓を世界と共有し、国際的な原子力安全の向上に貢献していくことは、日本の責務です。この観点から、日本は国際原子力機関(IAEA)における会議等の場で,積極的に議論に参加し、事故の経験や教訓の共有に努めています。加えて、IAEAと協力し、2013年に福島県に「IAEA緊急時対応能力研修センター(IAEA・RANET・CBC)」を指定し、国内外の関係者を対象に、緊急事態の準備及び対応の分野における能力強化のための研修を実施しています。原子力技術は発電以外にどのように使われていますか?原子力技術は、発電に加え、医療、農業、環境など幅広い分野で応用が可能です。その利用形態には、原子力発電に用いられる核エネルギー、レントゲンや放射線治療に用いられる放射線照射、及び水の循環、土壌の組成等を調べる際に利用される同位体分析などがあります。核不拡散Safeguards原子力安全Safety核セキュリティSecurity原子力の平和的利用について…

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