08カンボジア:南部経済回廊に架かる「つばさ橋」(写真提供:久野真一/JICA)2019年は、ASEAN自身が「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)※2」を発表した画期的な年となりました。同年11月、バンコクで開催されたASEAN関連首脳会議において、安倍総理は、このAOIPを全面的 に支持するとともに、日本のFOIPとAOIPのシナジーを追求したい旨発言しました。日本は、今後も「自由で 開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を一層具体化していく考えです。※1 FOIP:Free and Open Indo-Pacific※2 AOIP:ASEAN Outlook on the Indo-Pacificラオス:東西経済回廊に架かる「第2メコン橋」(写真提供:久野真一/JICA)ASEAN連結性支援ASEANとの繁栄のパートナーとして日本が重視しているもののひとつに、ASEAN連結性支援があります。ASEAN連結性とは、鉄道・道路等、国をまたがるインフラ整備や税関手続き等の制度面での共通化を通じて、物流や人の流れの円滑化を促進することで、域内の経済的一体性を高めるASEANのイニシアティブです。ASEANは、2016年に、ASEAN連結性マスタープラン2025を採択し、物理的連結性、制度的連結性、人と人との連結性を促進するべく、日本を始めとするASEANの対話国と協力を進めています。ASEAN域内の連結性の促進は、ASEANが共同体としての存在感を強化し、地域の平和、安定及び発展に繋がります。こうした取組を資金面から支えるべく、日本は2019年11月の日ASEAN首脳会談において、ASEAN地域を中心に、質の高いインフラ、金融アクセス・女性等支援等の分野について、3年間(2020年〜2022年)で官民合わせて30億ドル規模の資金の動員を目指すべく、JICAを通じて12億ドルの出融資を提供する対ASEAN海外投融資イニシアティブを発表しました。日本は、共に連結性の推進を掲げる「自由で開かれたインド太平洋」と、2019年にASEANが採択した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」のシナジーを追求しつつ、引き続きASEAN連結性を様々な形で支援していきます。自由で開かれたインド太平洋法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序は、国際社会の安定と繁栄の礎です。特に、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域は、世界人口の半数以上を養う世界の活力の中核です。インド太平洋地域の海洋秩序は、海賊、テロ、大量破壊兵器の拡散、自然災害、違法操業などの様々な脅威に晒されています。こうした脅威を取り除くとともに、国際スタンダードにのっとった「質の高いインフラ」整備等により域内の連結性を高めることなどを通じて、インド太平洋地域における法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を維持・強化することにより、この地域をいずれの国にも分け隔てなく安定と繁栄をもたらす「国際公共財」とすべ く、日本は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)※1」の実現に取り組んでいます。具体的には、①航行の自由、 法の支配などの普及・定着、②国際スタンダードにのっとった「質の高いインフラ」整備等を通じた連結性の強化などによる経済的繁栄の追求、③海上法執行能力の向上支援、防災、不拡散などを含む平和と安定のための取組を進めていきます。
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