【山口外務副大臣】私は先週末、23日(金曜日)と24日(土曜日)にサンフランシスコで行われた日米安全保障セミナーに行ってきました。言い方は少し大げさかもしれないのですけれども、対日政策に携わっている重鎮がほとんどそろったのではないのかなというような感じでした。国務省の関係でキャンベルさんとか、もちろん、いろいろずっといましたけれども、ジョセフ・ナイさんとか学識経験者の方、日本からも何人も教授の方あるいはメディアからもお越しいただいて、非常に密度の濃い意見交換をしてきました。
サンフランシスコということは、1951年ですから約60年前に安保条約をあそこで吉田茂さん1人で署名したというゆかりの地でもありますから、非常に正直感慨深かったです。
1つ、私自身が非常に印象的だったのは、米国の方でもそうですが、日本の方からもそういう発言があったのですけれども、野田総理に対する非常に高い評価を何人かの方からお聞きして、非常にありがたいなと思った次第です。もちろん、日本の国内的な状況をすべて知った上でそういう発言があったわけですけれども、これからどうなるかということはあるにせよ、今まできちんとステディな仕事をされているように受け止めていますという発言が非常に印象的でした。
あと、国務次官補のキャンベルさんとは北朝鮮情勢をめぐる米国との連携について協議をした次第です。
【NHK 吉岡記者】キャンベルさんとの会合ですが、もう少し具体的にどういうやりとりがあったのか、差し支えない範囲でお願いします。
【山口副大臣】米国としたら、非常に強い気持ちを持っているわけです。米朝協議でもっていろいろ合意したわけだけれども、もしもミサイルが打たれるようなことであれば、それはいろいろ考えざるを得ないのではないかという気持ちを持っているということは、もう既にいろいろと報道もされているとおりでしょう。
そういうことも踏まえて、日本としてもいろいろ、そういうこととして受け止めてくれということと、もう一つは、基本的に我々は外交官の仕事として処理したいわけです。軍人の仕事にしたくないわけです。だから、そういう点も踏まえて、できるだけ最後まで事態のいい解決に向けて努力をしていきましょうということを心合わせをしました。
我々もいろいろな友達がいるわけですから、そういう友達の輪でもって、メッセージもいろいろ共有しながら、最後まで北朝鮮がミサイルの打ち上げという、みんなが心配するようなことにならないように、特に国連の決議にも違反するわけですから、そういうことにならないようにということで目指していこうという心合わせをしました。
【産経新聞 杉本記者】副大臣の方から米国側に対して、発射した後の対応等について、米朝合意の対応とか、あるいは国連安保理決議の対応等々、副大臣の方から何か向こうの方に伝えたメッセージ等はあるのでしょうか。
【山口副大臣】我々は、そういう意味では認識は非常に共有しているわけです。国連決議に違反するとか、あるいはその認識としたら、ミサイルの打ち上げというのは平壌宣言にももとるものだと思いますから、そういうところは共有しているので、実際米国としてどういうように受け止めているか、あるいは北朝鮮が米国が本気なのだろうかというテストをするようなことであれば、それは我々は本気だぞと。本気というのは、それでも栄養食品がいくということでは、必ずしもないよということを伝えたかったのだと思います。それは、今までも報道で出ていることと、ほぼ軌を一にすると思います。
【NHK 吉岡記者】中国へどういうように、日米、韓国もそうですけれども、連携して働きかけようという話はありましたか。
【山口副大臣】杉山局長が今日明日と中国に行って武大偉さんと会っていると思いますけれども、その報告はまだ見ていないけれども、そこから、いろいろとまた武大偉さんは北朝鮮の問題の議長でもあるわけですから、いろいろな伝わり方があると思うのです。
私も行こうかと思いましたけれども、杉山局長が行ってくれるわけですから、韓国にもこの間行ったし、同じ杉山局長が行った方がいいだろうと思いましたので、お任せというか、行ってもらっています。
【時事通信 北井記者】今夜からの、ソウルでの核セキュリティ・サミットに総理が明日出席されるということで、総理も今夜発たれますけれども、これと関連して、北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げるという発表をされている中でのサミットですが、総理、日本政府として、サミットの場を利用してどういった協議をどういった形で行いたいか腹案があれば教えていただければと思います。
【山根外務副大臣】直接、北朝鮮の問題を論議する場ということではないというように思っております。今回は2回目となるサミットですから、今回は、前回サミット以降の各国の取り組みの進捗、将来に向けた取り組みの方向性、原子力安全と核セキュリティの関連性等について議論されるというように予定されていると承知いたしております。
今回、総理が出席をされる意味合いということでございますけれども、3.11の事故から得られた知見と教訓を核セキュリティ強化のために、国際社会と共有しようという意味合いがあるものでございます。我が国自身が核セキュリティ強化のために、国内で取ってきた一連の具体的な措置を説明させていただくと。また、核セキュリティ強化のための国際協力と、関係国との連携強化のための具体的イニシアチブを示していくという方針でございます。
【山口外務副大臣】国会、あるいは党の方で消費税の話とか、いろいろ進んでいる中ですけれども、私自身は明日の夜に飛び立って、現地時間で3月23日(金曜日)、それから24日(土曜日)にサンフランシスコで行われる第18回日米安全保障セミナーというものに出席させていただきます。ご存じの通り、安保条約が51年にサンフランシスコで署名されたということで、今までにもう既に17回開催されていて、これからの安保条約のみならず、広い観点からの日米関係についていろいろと議論をさせてもらいます。国務省からキャンベル次官補が来るのかな、そして私も行って、民主党の方から、どちらも一期生の方にしたのですけれども、中林美恵子さん、それから自民党の方からは小泉進次朗さんに行ってもらいます。あと有識者の方で岡本行夫さんとか、あと国問研の野上所長、それからCSISの関係者の方もいて、それから国務省の関係者とかいっぱいいて、いわゆるオブザーバーという格好ですけれども、何十人もそろう大きなセミナーのようです。
【日経新聞 田島記者】今お話のあったセミナーですけれども、キャンベルさんもいらっしゃるということですが、このキャンベルさんと個別に会談をしたり、米軍再編の話ですとか北朝鮮の問題とか協議する予定はありますでしょうか。
【山口副大臣】大きな、セミナーの中でいろいろ意見交換をしようかと思っています。だから、二人だけでというよりも、そういういろいろと起こっていることを踏まえて、どういうようにこれから日本と米国が、例えば、中国との関係をどういうように発展させていくのか、あるいはその北朝鮮の権力承継を巡ってどういうように対応できるのか、あるいは日本がこの間私がお伝えしたような北東アジア経済連携というものも、セカンドトラックでやろうとしているということを踏まえて、大きな枠組みで捉えていきたいなと思っています。米軍再編とかそういうのはいわゆる審議官級でも細かくやっているわけだし、あるいは局長級でやっていますから、それはそれで進めてもらいたいなと思っています。
【北海道新聞 高橋記者】国後島に中国の水産会社が42億円ぐらいを投資して水産加工場を造るという計画が浮上しています。それで、これについて外務省として認識されているのかということと、もし把握して認識されていれば、それに対する受け止めを聞かせてください。
【山口副大臣】報道については私も承知しています。他方、第三国の話ではあるのだけれども、まるでロシアがそこの管轄権を持っているのだというような感じでやられると非常に調子が悪いので、私たちとしては、北方領土に関する我々の立場とは相容れないというように思っています。
【NHK 池川記者】本日の民主党の経済連携PTで、これまでのTPPの交渉状況、昨年12月のものが更新されたというか、3月改訂版が示されたのですけれども、それの内容についての副大臣のお考えを聞きたいというのと、内容として90から95%を即時関税撤廃すると、残る関税についても7年以内に段階的に撤廃すべきだという考え方を支持している国が多数あるという中で、今後、日本としては、どういうTPPに対してアプローチをしていくのか、今の段階でお考えがあれば聞かせて下さい。
【山口副大臣】例のとても詳細にわたるものですね。まだ、我々は交渉に参加していないわけですから、交渉がどのようになっているかというのを当事者としてまとめたものというよりも、いろいろどうなっているのでしょうかというように外から取材して、それをまとめたものですから、正確だとは思いますけれども、内容的にはそういうものなのです。とりあえずの今の現段階で我々が言えることというようなもので報告させてもらったわけです。
即時撤廃、あるいは段階的な撤廃、それを踏まえてどうようになるかという池川さんのお尋ねは一番本質的なところですけれども、特に物品について関税がかかるものについては、どうも全部が全部例外なしに即時撤廃だということではなさそうだというのは我々、外から分かるわけです。では、どういうようになるのだろうか、これはひとつの想像の域を出ませんけれども、米国がどうも、自分のところが米豪で既に結んでいる二国間のFTA、そこで108の例外品目を設けていると。その中に砂糖も入っているわけです。砂糖は米国にとって国内的にも、例えばキューバからの移民の人がさとうきびを作っているとか、いろいろな要素があるものだから米豪で除外していると。これをTPPの中でも除外してくれというようなことを言ってるやに聞こえるわけです、もしもそれがそうであれば、米国には1万品目のタリフラインがあるわけですから、そうすると108品目ということは1万分の100ということで1%です。1%はひょっとしたらいいのかというのも言えるかなと我々は、例えば私などは推測してしまうわけです。1%ということは、我々の場合は9千品目あるのであれば90品目かと。ただ、今まで940品目をほとんど例外に扱っているわけですから、そういう意味では90品目ということは、その10分の1なわけだけれども、でも0ではなさそうだなと。米は34品目なのですね、数え方が。小麦は43(品目)。例えば、機械的な言い方で米と小麦だったら77だから90に入るのかなとか、そういう計算が私の頭の中で。ただ牛肉が51品目ですから、牛肉を入れればはみ出してしまうし、私の地元では皮革産業が日本で一番大きいですけれど、55品目でもっとはみ出してしまうし、だから90品目の中にどうやって調整するのか、そういうことかなと今勝手に思っています。
そういう意味で即時撤廃ということになるのがどこまでか、あるいは、だけど段階的という10年以内というものも相当あり得るのではないかなと。それから、完全に例外というものもどうも0ではないのではないのかなというのが、今、外からいろいろ情報を取っている中で考えていることです。
【NHK 池川記者】この資料の中で、今、二国間ベースでの交渉が続いているので、9か国での話し合いがまだ進んでいないというような記述があるのですが、米国は今年中の交渉妥結を目指しているわけですけれども、ペースとしては相当厳しいのではないかと個人的には思うのですが、副大臣の見解を教えてください。
【山口副大臣】米国が一生懸命そうやって言っているものを、それは難しいなと、私が今、池川さんに同調するのも余り良くないなと。米国の気持ちはよくわかるし、そういうことでやりたいのだろうと。ただ、我々は交渉参加を今からしようかしまいか、今決めようとしているのだけれども、交渉しようという立場の人は、できるだけルールメイキンングの余地を残しておいてほしいなと思うし、そういう意味では余り早くに決まってしまうと、ルールメイキングの余地が少なくなるという、痛し痒しですね。
現実に、例えば、これから7月までに大筋まとまるかは、正直難しいなと言っている国の方が多いようです。今から4か月ですからね。だから、大枠決まった部分もあるだろうけど、実際のセンシティブなところは、なかなか、もう少し時間がかかるのではないのかなという気がします。
では年内にまとまるのか。11月のオバマさんの大統領選挙を経てということになるのだけれど、USTRとしても、大統領が代わったら、上の方は全部代わるわけです。だから、どうなるかわからない中で淡々と作業を続けるのだろうけど、正直、12月までまとまるかどうかというのはわかりません。いろいろな専門家の人が、1年、2年以上かかるかもしれないなという人もいるけれども、そういう意味では、今からどういうようになるかわかりません。日本としては、やはり、いろいろ懸念するところもあるわけですから、だから、きちんと話をして、それで、あとの8か国なり、あるいはカナダ、メキシコが入ったらあとの10か国なり、やはりいろいろ相談して、例えば、ISDSについて日本の国内でもいろいろ懸念はあるけれども、ISDSは、例えば、日本が中国に企業が進出している際に、何か一方的にパーンと収用されるということがないようにするのもISDSの役割ですから、だから、そういう意味では、その役割みたいなものも認めつつ、他方、豪州などというのは、このISDSに反対しているということも聞きますしね。だから、やはりそういう国、どういう国といろいろ連携しながらということを見定めながらやっていくには、本当は少し時間が欲しいなと。だから、まとめたいというオバマさんもおられると同時に、若干時間が欲しいなという我々の気持ちも正直なところです。
【北海道新聞 相内記者】山口副大臣は、我が国の立場と相容れないとおっしゃいましたけれども、投資額が42億ということで少し大きいなと思いました。相容れない立場ということですけれども、それを踏まえて何か対応なさるお考えがあるのかどうか。なさらないのであれば、その理由をよろしい範囲で教えてください。
【山口副大臣】ロシアの管轄権を前提しているいろいろなことというのは、我々と相容れないと思うのです。我々は、北方四島というのは我々に帰属しているという立場ですから。では、帰属しているという立場を前提としながら、ロシアとどういうように話をするのだと。では、プーチンさんが引き分けで始めと言っていることにどう対応するのだということがあります。
だから、そういう意味では、実際にこれからの交渉の中で、この北方四島に対する帰属をどういうように、向こうが引き分けと言う中で、どこまでどういうように言ってくるのだろうかということは、これからやってみないとわからないところです。だけれども、中国のこういうものを、我々第三国のところで、「中国、おまえらもうやめろよ」というところまではなかなか言いにくいところがあるのも確かです。だから、そういう意味では、実際にこれから引き分けというものがどういう状況になるのかを、想像力を働かせながら、その中で、完全に100で我々が完全に取るというのが四島一括返還、パーンと全部来る、これが100ですよね。ゼロというのが、メドヴェージェフさんの最後の時期というのは、もうほとんどゼロに見えたけど、全くどれも還ってこない、全く還ってこない、これはゼロです。そこをプーチンさんは引き分けでいいじゃないかと。では、その引き分けというのはどこまでなのか、そこがわからないのです。だけど、今、我々はとりあえず100目指してやっているわけですから、100目指してやっているときには、このロシアの管轄権を前提とした話というのは、極めて我々の立場と相容れません。そういうことだと思います。
これから、プーチンさんが言っている豪速球を我々はピシッと受け止めながら、それに対してどういうように返していくのかというのは、相当大きな枠組みだと思うのです。この間、セカンドトラックで起こすと言った北東アジア経済連携の話もその1つですし。やはり、ヨーロッパから投資がロシアに対して非常に入りにくくなっていると思うのです。ヨーロッパのあの経済状況でドイツがロシアにバンバン投資するというのは、普通考えにくいです。そうなってきたら、プーチンさんは、今までとは違った支持率の中で、どういうように国を興していくか、資源に頼っている経済からものづくりの経済にどうやって進化させていくか、だれの方を向くのだろうと。それは極東でしょう。極東地域で、我々はそれをうまく受け止めながら、だけど、この100%を我々の立場として掲げながら、どこでどういうように折り合うかということだと思うのです。
そんな中でのこの話だから、あまりこの話で突っ走ってほかの可能性のことを全くそこで度外視するようなことも、内心はしたくないです。だけど、相容れないものは相容れないのだから、それはきちんと言っておかなければいけないというのが今の状況です。
【NHK 吉岡記者】北朝鮮の関連ですけれども、いわゆる衛星を打ち上げるという中で、その落下物がどの辺りに落ちそうなのかというのを、北朝鮮側がIMO等の国際機関に通知をしているという話がありまして、IMO側、あるいは国際機関側としては、各国の政府にその内容を通知すると思うのですけれども、今のところの日本政府に対する通知の状況はどうなっているのかという点と、もしそういうものがあるのであれば、その内容について教えていただければと思います。
【山根外務副大臣】この「人工衛星」発射に関する問題をIMOに通告したとかの報道があるわけでございますけれども、これらについては、我が国としては、現在、IMO等と緊密に連絡を取っている状況でございまして、現在、IMO等において関連の回章でいろいろとお知らせするという、そういう発出に向けて作業中であるというように承知をいたしておりますけれども、現時点でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思っています。
ただ、以前のことをひも解いてみると、2009年に発射していたときは、IMOの方に事前に通知をしているということは認識をいたしております。
【山根外務副大臣】27日(火曜日)から30日(金曜日)までの日程で、イタリアのモンティ首相が、実務訪問賓客として、御夫妻で来日をされます。この訪問は、モンティ首相が昨年11月に就任されてから初めての来日となります。
モンティ首相は、今回の滞在中、野田総理との間で首脳会談を行うほか、在京イタリア大使館と日本経済新聞社の共催で、イタリア経済や欧州連合、世界経済の展望などについての講演会等を行う予定であります。
今回のモンティ首相の来日を通じまして、日本とイタリアとの友好協力関係の更なる強化が期待されるところであります。
【山口外務副大臣】トラック2ということで進めたいと思っていることですけれども、日本とか中国、韓国、モンゴル、ロシア、また米国も含めて、どちらかというと日本海周辺の国々というイメージでどういうようにこれから経済連携があり得るのか、経済分野の協力強化のあり方について民間の有識者の間で議論を行ってもらうためのトラック2会合を外務省の委嘱事業として行いたいと思っています。近く公示を行って、誰がやってくれるかを決めます。協議の結果は報告書にまとめてもらう予定です。できればできるだけ早く、夏くらいまでにまとまればいいなと私自身は思っています。
【テレビ朝日 花村記者】在日米軍の再編見直しに関してですけれども、一部報道で岩国基地を含めた日本国内の分散移転を米国側が再び打診してきているという報道がありますけれども、実際事実関係がどうかというところと、もう一つオスプレイに関してですけれども、これが沖縄に配備される前に他の米軍基地で先行配備するというようなことが言われていますけれども、特に名前が挙がっている山口県は非常に反発と批判をしていますので、その辺おっしゃれる範囲で教えてください。
【山口副大臣】日米協議で今どういうようなことを話しているかというのは、途中経過のものは申し訳ないですけど、申し上げにくいということで勘弁してください。先ほどオスプレイの話についてですけれども、我々が知っているのは本年後半に沖縄に配備されると。ただし、これ以上の詳細については何ら決まっていないというところまで我々は承知しています。通報があり次第、地元の方々にも丁寧に説明をしていきます。先ほどいろいろ岩国の話もありましたけれども、この間、実際には我々協議していないわけですけれども、名前が出て岩国の方々も当然非常に反発というかびっくりされて、事実上あれは難しくなったと思いますけれども、我々そういう意味でも一つ一つについてあうだのこうだのという話は物事をかえってややこしくすると思うのでなかなか言えないのですけれども、ただ岩国のこの間の話はもうそういうことではありませんということです。オスプレイの話についてはまだ決まってないというところで承知しています。
【テレビ朝日 花村記者】再び打診がでていることについてはどうですか。
【山口副大臣】実際、我々がどういうことでやっているかと言うと、まず米国の海兵隊の能力がどういう機能を果たしているか、それが維持されること、それが一つ最低限あると思うのです。その中でもう一つは沖縄の負担軽減。この両方を睨みながら、それが日本の防衛力にきちんとマッチする、我々の考えている防衛力のあり方ときちんとぴたっと合うというところが基本ラインとしてあると思うのです。その中で米国の国防予算が削減ということになって、米国は普天間・辺野古という話と切り離して、例えばグアム以外にもどこに持っていくかということを今決めていると。今、日米の中で局長、そして来週は審議官が話すのは、そういう話です。
【朝日新聞 松村記者】冒頭ご説明いただいたトラック2会合ですが、具体的にどういう名称なのでしょうか。その狙いをもう一度教えてください。
【山口副大臣】名前も有識者の方に一番いい名前を付けてもらったらいいと思うのですけれど。日本海の周辺の国を私自身はイメージしていますけれども、「日本海」と言って皆がすっと受け止めるかどうか、皆有識者の方に決めてもらって、「北東アジア」というのが基本的にはいいと思うのですけれども、それは皆で決めてもらったらと思います。
総理が12月に訪中されたときに、今まで言ってた曹妃甸に加えて、青島から上海の間にある連雲港というところで日中が共同でプロジェクトをやっていこうかということも温家宝首相との間で合意されました。具体的にプロジェクトを走らせていくことはとても大事だと思うのです。この連雲港プロジェクトも相当大きな規模になると思うのです。それと似たような感じで、例えばこれからロシア。ロシアについても大きなプロジェクトがいろいろ既に議論されていますから、連雲港の場合も民間の資金を主に予定しているのです。民間の方で例えばウラジオストクでLNGに関してフィジビリティスタディズが行われているという話もあります。それから、よく言われていることですけれども、ロシア・中国・北朝鮮・韓国、こういう所を突き抜けるようなパイプラインの話ももちろん議論としてあります。
プーチンさんがこの間、記者会見をされて領土問題の話もされたわけですけれども、領土問題が後ろに行くくらい、いろいろな経済協力の話もしていこうという話もありましたけれども、日本として構想力を持っていろいろな意味で、この北東アジアの経済が発展するというところは、いろいろな良い効果を及ぼしますから、そういう狙いを込めています。
最初のメンバーの中に、当然北朝鮮は入ってないのですけれども、やはり北朝鮮が将来的には、あの場にいれて欲しいなと、その場合には北朝鮮はその前にきちんと整理する大きな話があるでしょうというところはあるでしょうし、そういう意味でいい形にいろいろな話が好循環を起こすようにという気持も込もっています。
最初はトラック2ということでいろいろな有識者の方に議論していただいたらと思っています。イメージ的にはどこかで、日本の中にも研究機関はありますし、中国・韓国にも研究機関はありますし、ロシアにもあるでしょう、それからモンゴルにも当然あると思うのですけれども、そういうところを寄り合って会議でもできればなというイメージはあります。特に9月にはウラジオストクでAPECの首脳会議がありますので、そういうものとひっかかると非常に意味のある会議になるのではないかなと思っています。
【読売新聞 中山記者】今日の衆議院予算委員会の中で、総理の答弁ですけれども、北方領土問題につきまして、歯舞・色丹は面積で言うと全体の7%で、残りが93%であると。この二島返還だけでは引き分けということにはならない。先日のプーチン首相のメディア等の会見についての発言だったわけですけれども、これは面積について言及があったわけなのですが、総理として、北方領土問題の解決に当たって、面積に着目した解決方法を検討していらっしゃるのかどうかをお伺いしたいと思います。
【山口副大臣】今回、プーチンさんが領土問題について、実際には3月4日の投票を待たずに言及されたわけですが、これはとても大きな意味を持っていると思っています。メドヴェージェフ大統領のときに非常に難しいという印象を我々は持っていましたし、現実にまだ難しいという状況は本当のところ変わっていないと思っています。だから、プーチンさんになったら急に領土問題が片付くだろうというような楽観はしていません。
そういう意味では決して、それでは二島だけだったら全然足らないから、もうちょっと取りたいな。それは日本にしてみたら、四島が我々の領土ですから、そういう意味では、小さな二島だけでは全然駄目だという気持ちを私も当然持っているわけですけれども、今まで非常に難しかったものが、いろいろな背景の中でプーチンさんが、彼の言い方で引き分けということもあり得べしという言い方をしたことについては、これからいろいろな議論をして、今までの交渉の合意にどんなものがあったか、そういうことを振り返りながら柔軟に対応したいと思うのです。
また、総理の中で決め付けて、これでなければいけないという気持ちはないと思います。総理は四島が日本の領土だという原則が頭の中にきちんとあるということだと思っています。
プーチンさんにしてみましたら、それはヨーロッパで経済があれだけおかしくなっているわけだから、今までヨーロッパから来ていた投資についても非常に心配しているだろうし、その中で極東の意味というものはプーチンさんの気持ちの中で非常に大きいということは私たちも敏感に感じていますから、そこら辺は大きな枠組みの中で、それぞれが良い結果が出るように大きな観点で持っていきたいなと思っています。
【NHK 吉岡記者】今のロシアの話と、冒頭の有識者会議の話と関連するのですけれども、そうなるとトラック2の中では、そういった経済連携に領土の問題も加えて話をするということだと思うのですけれども、尖閣についてはいかがでしょうか。
【山口副大臣】有識者会合の中で領土の話というのは、私は出ないと思うのです。というのは、経済連携的な話をやってもらいたいなと思っていますので、それは日本と、それからこの日本を含む6つの国がどういうようにこれからお互いのつながりを強めていくかという話ですから、そういう意味では日露という中での領土問題というのはちょっと1回、別のところで議論しておいてもらった方がいいと私は思っているのです。
でも、その中で、それも韓国との間には竹島、中国との間には尖閣という形があるわけですけれども、今日も中国の程永華大使と昼食を挟みながらかなり深い話もさせてもらったのですけれども、どういうように日本と中国が、あるいは日本と韓国が前向きの、それから未来に向かった深い関係、いい関係になれるかというところを非常に大使も一生懸命考えておられました。尖閣については、それは現実に我々の実効支配ができているわけですから、そういうことをきちんとしながらその話をしていけばいいのであって、無用の、ある意味で摩擦が起きないようにしながら、やはり日本と中国にかかわらず、このアジア全体として一つの大きなつながりができるようにというのがお互いのいい結果に結び付くと思うのです。
そういう意味で、アジアというのはヨーロッパと違いますから、宗教も違ったり、言葉も違ったりとか、ヨーロッパみたいにひとつに急にはなれないと思うのですけれども、そのつながりを、例えば経済を通じて緊密にしていくということがいろいろな意味での困難を、あるいは違いを乗り越えていく一つの大きな要素になりますので、そういう趣旨でこのプロジェクトが進めばいいと思っています。
尖閣については、そういう意味では領土の問題、先ほどロシアのこともちょっと別にということを言いましたけれども、尖閣の問題もここでは、我々の実効的支配がきちんと行われているということも踏まえて、この有識者会合の中ではとりあえず置いておいてもらってもいいのではないかなと思っています。
(1)北アフリカ・欧州訪問について
【山根外務副大臣】2月23日(木曜日)から3月1日(木曜日)まで、英国、チュニジア、リビア、スイスを訪問しました。英国ではソマリアに関する首脳級会合に出席をし、ソマリア和平やテロ・海賊対策、人道問題といった懸案について包括的に議論をいたしました。また、私からは4500万ドルの新たなソマリア支援や海賊対処への取組について発言をいたしました。
チュニジアでは第1回シリア・フレンズ会合に出席をいたしました。会合では、シリア当局による暴力の停止と政治的移行への圧力を一層強化するという一致したメッセージを発出をして、協調的な人道支援に向けた取り組みについて議論をいたしました。私からは、シリア当局に対して暴力の停止を要求し、シリアにおける政情不安及び人道状況の悪化により発生した難民・国内避難民等への支援のため、300万ドルの緊急無償資金協力を行う旨を発表いたしました。
リビアではアブシャグール副首相を始めとする関係閣僚と会談をいたしました。会談の場で私からはリビアの復興と成長に大きな希望が感じられるという旨のメッセージを伝えるとともに、リビア復興プログラムへの586万ドルに上る資金拠出を表明をいたしました。リビア側からは、リビア人に対する職業訓練や経済多角化の面での支援要請がございました。今回は、リビアにおける政変後、我が国の政務レベルでは初めての訪問となりました。
スイスのジュネーブでは、第19回人権理事会ハイレベルセグメント及び軍縮会議に出席をし、それぞれの分野での我が国の取り組みについてステートメントを行いました。
(2)バトボルド・モンゴル首相の来日について
【山根副大臣】10日(土曜日)から15日(木曜日)まで、モンゴルのバトボルド首相御夫妻が実務訪問賓客として来日をされます。バトボルド首相は、滞在中、野田総理と首脳会談を行うほか、玄葉大臣が表敬訪問を行う予定でございます。また、日本の民間企業との意見交換も行う予定でございます。本年は、日本とモンゴルの外交関係樹立40周年の節目の年にあたります。バトボルド首相の来日が、「戦略的パートナーシップ」の構築を目指す我が国とモンゴルとの関係を一層発展させる契機になることを期待をいたします。
(3)トンシン・ラオス首相の来日について
【山根副大臣】また、14日(水曜日)から18日(日曜日)まで、ラオスのトンシン・タンマヴォン首相が実務訪問賓客として訪日をされます。トンシン首相は、滞在中、野田総理と会談する予定でございます。今回のトンシン首相の訪日を通じまして、日本とラオスとの関係が一層強化されることを期待をいたします。
【朝日新聞:松村記者】ロシアの大統領選挙ですけれども、プーチンさんの返り咲きが確実になったということで、まず政府としての受け止めと、投票直前に北方領土に関して、最終決着させたいという意向表明がプーチンさんご本人からございましたけれども、外務省として北方領土問題の解決・進展に向けてどのように糸口を探っていかれるのか、お考えをお聞かせ下さい。
【山根副大臣】まず大統領選挙についてでございますけれども、ロシア中央選管の発表によりますと日本時間5日午前5時時点でプーチン首相が64.03%の票を得て次期ロシア大統領に当選する見通しであるとの情報に接しております。その後も開票結果については逐次情報が入っておりますけれども、今申し上げた数字等について大きな変化はないものと認識しております。アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中、ロシアとの間でこの地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築すべく、あらゆる分野で協力を深めていくというのが我が国の対ロ外交の基本方針でございます。新大統領が就任した後もこうした方針に基づいて、日ロ関係の発展に向けた協力を、さらに進めていきたいという立場・認識であります。
また北方領土の問題についての発言でございますけれども、プーチン首相が北方領土問題について、相互に受け入れ可能な妥協点を探り、最終決着させたいと発言したとの報道は承知いたしております。プーチン首相の発言が日ロ関係における領土問題解決の重要性を指摘し、その解決に意欲を示したものと期待をいたしております。領土問題の中身については、政府間で静かな環境の下で協議を行っていく考えであります。両国間のこれまでの諸合意及び諸文書、法と正義の原則に基づいて領土問題の解決を図っていきたいというように考えております。
【北海道新聞 高橋記者】ロシアの大統領選挙で、プーチンさんの得票数は64.03%というのがございましたけれども、その数字に対する評価というか、その受け止めを一点伺いたいのと、あと、北方領土の問題ですけれども、今、静かな環境の下でというご発言がありましたけれども、もう少し具体的にどのように今後交渉していくといったお考えがあれば、伺いたいと思います。
【山根副大臣】ロシア国内の政治プロセスについてのコメントは、差し控えさせていただきたいと思いますので、ご容赦いただきたいと思います。
それから、今後、どのように領土問題をやっていくのかというご趣旨のご発言であろうかと思いますけれども、先ほどもお話をしたことにつきるのでございまして、国会答弁等でと同じ発言に大臣ともなりますけれども、両国間のこれまでの諸合意及び諸文書、法と正義の原則に基づいて、領土問題の解決を図っていきたいということに変わりはありませんし、これからもこの方針に則っていくということでありますし、更なる情報等については、注視していきたいと思っております。
【毎日新聞 西田記者】中国政府が尖閣諸島などに固有の領土としての名称を付けたということを発表しました。これに対する、政府として、いつ、どういう対応をして中国側がどういう反応があったかということも合わせて、お聞かせください。
【山根副大臣】これについて、尖閣諸島が、我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところでございまして、現に我が国がこれを有効に支配をいたしております。尖閣諸島をめぐる解決すべき領有権の問題は存在していないということであります。こうした、ご指摘の中国外交部スポークスマン談話における尖閣諸島に関する独自の主張は、全く受け入れられないものであります。いずれにいたしましても、日中関係、我が国にとって最も重要な関係の1つでございまして、大局的観点から、幅広い分野での具体的協力を進め、戦略的互恵関係を深化させていく考えでございます。尖閣諸島をめぐる事態により、日中関係の安定的な発展が阻害されることは望んでおりません。
また、尖閣諸島の命名を中国側が行ったことについては、強く抗議を既にしたところでございます。尖閣諸島に関する我が国の基本的立場は、先ほど申し上げましたとおりであって繰り返しませんが、中国側が行った今回の尖閣諸島に関する命名は全く受け入れられず、極めて遺憾であって、強く抗議をするものであります。政府としては、外交ルートを通じて、直ちにかかる中国側の行為は全く受け入れられず、強く抗議する旨を申し入れたところでございます。
【毎日新聞 西田記者】今の抗議に対して、中国政府側はどういう対応をしてきたかというのは言えますでしょうか。
【山根副大臣】これについては、私どもの方からは、申し入れのルートのご質問はございませんけれども、在中国大使館の公使から先方の外交部アジア司副司長に申し入れを行い、更に中国・モンゴル課長から在京中国大使館の公使参事官に抗議をしたというところでございます。現在のところ、中国側からそれについて特に反応というものはまだ受けていないというところで、私の方から敢えて今発言させていただくような内容の反応というものは受け取ってはおりません。
【NHK 吉岡記者】冒頭ご紹介いただきました、ラオスのトンシン首相の来日の件ですが、一部報道で既に首脳会談で送電線整備などのために41億円程度の円借款を供与する見通しだという話がありますが、事実関係と、もしそれが事実であれば狙いについて伺えればと思います。
【山根副大臣】そうした報道があったということはございますが、ラオスに対する南部送電線の整備支援については円借款供与を前向きに検討しているということは申し上げられるかと思います。少し付言いたしますと、他方トンシン首相訪日時の扱いも含め、現時点では何ら更なる決定はされていないということでございます。
【毎日新聞 横田記者】韓国の李明博大統領が本日、独立記念式典で演説をされたのですけれども,その中でいわゆる従軍慰安婦問題について,様々な懸案の内で至急終わらせなければならない人道的な問題だと言及をされました。李明博大統領は去年の日韓首脳会談以来この問題に強く言及されておりますけれども,今回のこの演説というのは大統領就任以来は初めての言及ということで,このあたりの受け止めと日本政府としての対応をお願いします。
【山口外務副大臣】演説の中でいろいろなことを,李明博大統領は全体像として言っておられるように思います。我々は未来を一緒に開いていくべきパートナーだということも言われているということ,それから歴史の真実から顔を背けないということの中でそういうことが出てきているわけですけれども,我々の立場は申し訳ありませんが,最初からきちんと決まっていますから,法的には完全に最終的に解決済みですというところで決まっていますから,そこは申し訳ない,変わるべくもありません。あと野田総理が人道的な観点からどういうことができるか,知恵を絞っていきましょうということを去年の12月にお二人で話しておられるわけですから,今人道的な観点から何ができるかの知恵を絞っているところです。そういう意味で我々も,長い歴史の中の話ですから,我々の前の世代,あるいは前の前の世代からずっと続いてきている話ですけれども,そこはきちんと受け止めているつもりですから,そういう意味では受け止めていることをしっかり分かっていただければなと思います。
【朝日新聞 松村記者】その昨年12月の日韓首脳会談で慰安婦などの問題を巡って見解が分かれて以降,なかなかその日韓関係というものを立て直す機会というのがなかなか見つからないのかなと思うのですけれども,今後日韓関係をどのように立て直していこうというお考えなのか,何かアイデアがあればお教え下さい。
【山口副大臣】世の中,いろいろ大きな枠組みでもって進むと思いますから,例えば昨日であれば朝鮮半島に関しては米国と北朝鮮との間で栄養食品とか,あるいは核の話でもって合意ができたわけです。いろいろな不完全なところがある。お互いそれぞれ例えば米国と北朝鮮についても完全に満足してやっているわけではないと思います。そんな中で前に前に進んでいるという状況もありますから,それは韓国との間でも,この問題を我々は決して軽く受け止めているわけではありませんし,他方いろいろな問題がある中での話ですから,金正日さんが亡くなってから,新しい体制の中で日米韓は良く連絡を取ってきているつもりなので,そういう意味では大きな枠組みの中で物事を進めていきたいと思っています。
【日経新聞 田島記者】先ほど,慰安婦問題の人道的な観点から知恵を絞っていくというお話があったのですけれども,法的には解決済みという立場を変えない中で,どんな知恵があるのか。過去にアジア女性基金というような枠もありましたけれども結局頓挫してしまいましたが,何か考えられるものがあるのかどうか,そこを教えていただけますでしょうか。
【山口副大臣】アジア女性基金というのは,形としては日韓の形ということでやっていることに対して必ずしも100%満足ということではなかったと思うのですが,ただ頓挫しているというよりも,必ずしもうまくいかなかったというよりも,そういう中で一回終わったと。だけどフォローアップは毎年ずっとやっているわけです。けして額は大きくはないけれどもフォローアップはやっていますから。法的に最終的に完全に解決しているということは申しわけないけれど変えられない。その中でどういうものがあり得るかについて,どういう知恵を皆で集められるかという工夫は考えられるのではないかと思いますけれど。いろいろな意見があると思うのです。それを有識者の人に集まってもらうというのも一つかもしれないけれども,もう少し考えさせてください。
【日経新聞 田島記者】有識者の方に集まってもらう,これからそういう何か会議みたいなものを作るお考えがあるということでしょうか。
【山口副大臣】まだ全然,知恵を絞っている段階ですから,まだその知恵が具体的にそういう形になるのかどうかは全く決まっていません。
【NHK 吉岡記者】昨日発表された米朝の協議の合意の内容についてですけれども,伺いたいのは,合意の内容によると,大筋で一致しているのが,北朝鮮が栄養補助食品の支援を受ける一方で,3つのモラトリアムを履行するという中で,少し中期的な外部スパンで見れば,モラトリアムはあくまでモラトリアムであって,一時停止,すなわちそれは,また挑発的な行動に出ようと思えばできるという見方をできると思うのです。
それで,米国の食糧の栄養補助食品の支援というのが12か月ぐらいを目途に,それ以上を見ながらやっていくという方針のようですけれども,その例えば1年後とか,2年後という時期を見たときに,再び栄養支援を受けた後に,北朝鮮が再び定石行為に,行動に戻るリスクはないのかなというのが1つと,それでも,やっぱり米国が合意したというのは,彼らなりの事情があって,大統領選挙があるし,大きな目で見ればイラク,アフガニスタンに加えて,最近,イランも非常に不安定だという中で,北朝鮮に対応するにはなかなか余裕がないから,とりあえずこの1年とか,しばらくの間はおとなしくしておいてもらおうかというような,お互いに思惑が一致したようなところが,見方によってはあるのではないかと思っていて,そういう中で,やはり日本政府として,北朝鮮ではなくて米国に対して,何らか,そのまま今回の合意を支持する,あるいは歓迎するという以上に求めているものはあるのかどうか。
例えば,ミサイルのモラトリアムにしたって,長距離というミサイルだけであって,日本を標的にしている中距離ミサイルに関してはないわけで,米国と日本の利害というのは必ずしも一致していないと思うのです。そういうところで,今後,米国に対してどういう働きかけ等を行っていくのか,副大臣なりの分析と見通しを伺えればと思います。
【山口副大臣】よく玄葉大臣からも,日米韓の緊密な連携ということを言っていると思うのですけれども,もう一つは,中国という存在もありますから,中国との協力,それをどう進めるかということもあると思うのです。そういう意味では米国,今,吉岡さんがおっしゃったとおりいろいろな背景の中でということは,当然あるとは思うのですけれども,交渉というのは鏡の部分もありますから,こっちがまとめようかと思っていくと,向こうはまとめてみようかという気持ちになりやすいし,こちらが絶対まとめてやるかなどと思っていると,絶対,向こうだってそう出てきますから,そういう意味では,いい波動が流れているのであれば,それはどんどん次に進む可能性はあると思うのです。金正恩さんという若い,29歳ですか,方が継承しつつあるという中で,それは,彼としても,あるいは彼の周りの方々にしても,どういうように国を安定させるかということは,相当深刻な問題として受け止めているでしょう。そんな中で,では冒険的な行動に出るかどうか。やはりそれは,我々はむしろ,安定的な形に持っていけるような環境づくりというか,空気づくりというか,波動をつくっていった方が良いと思うのです。そういう意味では,米国が今回やったことに対して,私はポジティブに受け止めていますけどね。
日本にとっては,拉致の問題もありますから,米国のみではなくて,いろいろな角度からそれに攻めていくというか,取り組んでいくという意味で,対中国もうまく連携を取りながら協力をうまくやっていくということが,私は必要ではないかと思っています。全部はちょっと必ずしも申し上げにくいけれども,日本としていろいろなルートで,この問題,拉致の問題,決して言葉だけではなくて,また少しずつ前に進めたいと思っています。
【朝日新聞 松村記者】今おっしゃった拉致問題の件ですけれども,今回米朝双方の声明の中に拉致問題の言及がなかったと。デービスさんは直接米朝協議で提起して頂いたということだったのですけれども,その中で拉致問題が置き去りにされるのではないかという懸念もある,指摘されている中で,拉致抜きで六者協議再開に向けた動きが進むことに関して何か心配はないのか,また,拉致問題が置き去りにされるのではないかという不安の声に対してどのように政府として応えていくか。
【山口副大臣】結論から申し上げて拉致問題を置き去りにするつもりは全くありません。我々にとって一番大事な問題は拉致問題だと思っています。そういう意味で,米国もそのことはよくわかっていて,北朝鮮と話をするときにもそのことをきちんと踏まえた上でいろいろやってもらっているようです。
そういう意味では,米国との関係ではもちろんそういうことなのですけれども,私たちは,六者協議がこれからどういうようになるかわかりませんけれども,六者協議がこれが抜きで行われることがないようにきちんとやっていきます。
他方,先ほど申し上げたように,議長国の中国ともかなり緊密に協力関係を築きながら,中国もそのことはよく分かっています。全体の中でこのことが抜きで進まないように必ずやっていきます。