平成7年アジア太平洋経済協力(APEC)東京高級事務レベル会合
及び同大阪閣僚会議に係わる公金詐取事件
平成13年9月6日
- 本6日、浅川明男外務省欧州局西欧第一課課長補佐が、平成7年のアジア太平洋経済協力(APEC)東京高級事務レベル会合及び同大阪閣僚会議に係わる公金詐欺容疑で警視庁に逮捕されました。本事件は、平成7年10月のAPEC東京高級事務レベル会合を開催したホテルニューオータニ及び同年11月のAPEC大阪閣僚会議を開催したホテルニューオータニ大阪の室料等の経費について、浅川課長補佐(元APEC準備事務局次長)及びホテルニューオータニ関係者2名が、実際に要した室料等に水増し額を上乗せした金額の支払いを請求し、それぞれの会議について約1億1000万円及び約3億1300万円を詐取したものと承知しています。今次事件により外務省より新たな逮捕者を出したことは誠に遺憾であり、相次ぐ当省職員による不祥事に関して、国民の皆様に対し心よりお詫びを申し上げます。
- 浅川課長補佐に関しては、当省としても同人及び関係者に対して内部調査を続けて参りました。その過程において、今回の逮捕事由となったAPEC高級事務レベル会合及び同大阪閣僚会議に関する捜査当局による捜査の本格化に伴い、当省としては、警察当局の要請に応える形で関連情報を積極的に提供する等、捜査に全面的に協力して参りました。
- 他方で、上記内部調査を通じ、浅川課長補佐が所属する西欧第一課庶務班において「欧州青年日本研修」招聘事業に関し不正経理が行われていた疑い(注)が生じ、西欧第一課及び本件事業の執行を委託されていた(社)国際交流サービス協会(IHCSA)の関係者に対して鋭意聞き取り調査を行うとともに、会計書類の精査を行ってきました。本件疑惑についても、これまで関連情報を警察当局に随時提供して参りました。浅川課長補佐の逮捕を受けて、本件に関する被害届を本日警視庁に提出しました。今後は本件についても警察当局の捜査が行われるものと理解しております。
- 外務省としては、APEC東京高級事務レベル会合及び同大阪閣僚会議に係わる公金の詐欺容疑及び「欧州青年日本研修」招聘事業に関する疑惑が一刻も早く解明されるよう、引き続き捜査当局に対して全面的に協力して参ります。
浅川課長補佐については、本6日付で大臣官房付としました。また、今後の捜査の
進展をにらみながら、同人を含む関係者に対して厳正な処分を行う考えです。
- 外務省としては、当省職員による一連の不祥事を踏まえて、同種の事案がないかどうか鋭意調査を行っているところです。また、再発防止策として、職員の国家公務員としての倫理観の再徹底を図るとともに、右に加えて、本省業務に関する監察の早期実施や、在外公館に対する集中的かつ広範囲にわたる査察の実施、また、調達業務の一元化を視野に入れた会計手続の早急な改善等、種々の検討を行っています。このような一連の調査・
作業を通じて、外務省としては、改めて綱紀引き締めを図り、不正が生じない仕組みを作り出すことによって、外交に専念できる体制を一日も早く再構築し、国民の皆様の信頼を取り戻すことができるよう、全力で努力していく考えです。
(注)「欧州青年日本研修」招聘事業に関する不正経理の疑い
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本件招聘事業の実施に際しては、西欧第一課に対して被招聘者の宿泊及び食事等の経費が概算払いされ、西欧第一課は食事、宿泊等の手配を(社)国際交流サービス協会に事務代行させてきた。 |
(2) |
平成7年11月から同12年3月までの間、これを担当してきた西欧第一課庶務班の職員は、前後14回にわたり、同協会担当者から上記概算払いの精算金として、現金又は同協会振出の小切手により合計約2200万円を受け取っていた。 |
(3) |
他方、同課庶務班の職員は、会計課に対しては概算額でもって精算手続きを行っており、上記の現金(小切手を換金した現金を含む)については、本来行われるべきであった国庫返納が行われておらず、不正に費消された疑いがある。 |
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