演説

前原外務大臣演説

世宗研究所「有識者との対話」前原外務大臣冒頭基調リマークス(要旨)

平成23年1月15日

  • (写真)世宗研究所「有識者との対話」前原外務大臣冒頭基調リマークス

 韓国を代表するオピニオン・リーダーの方々と、今回訪韓の機会に意見交換出来ることは大変嬉しく、会合の開催に尽力頂いた陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所日本研究センター所長及び宋大晟(ソン・デソン)世宗研究所所長ほか、お集まりの方々に心から感謝申し上げる。外務大臣就任後4ヶ月足らずで初めての韓国訪問であるが、国会議員としての17年間はほぼ毎年訪韓し、昨年からは「戦略的日韓関係を構築する議員の会」の会長として、韓国の様々な方々と意見交換してきた。日韓関係の強化は、二国間のみならず、地域の安定と発展のために極めて重要であり、今後とも日韓関係発展のために精力的に活動していきたい。

 昨年は、46名の兵士が死亡した天安艦撃沈事件や民間人2名及び兵士2名が死亡し、多くの負傷者を出した延坪島砲撃事件等、皆様にとって大きな問題がいくつもあった。まず、この機会に、日本政府を代表して、犠牲者の方々のご冥福をお祈りするとともに、韓国国民の皆様に哀悼の意を捧げたい。こうした北朝鮮の理不尽な行動に対し、国際社会として非難し、一致団結して対応するとともに、日本政府として韓国の立場を支持し、日韓両国が連帯を強化する。

 北朝鮮の核問題については、2005年9月の六者会合共同声明において、北朝鮮は核放棄に向けたロードマップに合意した。北朝鮮はこれを履行するどころか、昨年、ウラン濃縮を自ら公表し、新たな重大な懸念を国際社会に巻き起こした。昨年12月にクリントン米国務長官の主導の下に開催した日韓米外相会合では、北朝鮮の核開発、延平島砲撃事件及び天安艦沈没事件等の挑発行動に対して三カ国が一致して対応していくことを確認した。三カ国として、中国の六者首席代表による緊急会合提案を否定するものではないが、北朝鮮の挑発行動にかんがみれば、「対話のための対話」を行うべきではなく、北朝鮮の具体的な行動が必要であることを確認した。自分(大臣)は、外相会合後、斎木亜洋局長(当時)をモスクワ及び北京に派遣し、日韓米外相会合で確認した内容を説明し、北朝鮮問題に関し、日韓米のみならず中ロも交えた形で毅然と対応するよう進めてきた。本年に入り、北朝鮮が韓国に対し対話再開を呼びかけ、現在、南北対話が焦点となっているが、日韓米外相会合では、北朝鮮の具体的な誠意ある対応が重要であり、南北対話が優先的に実施されるべきであるとの方針を確認したところであり、今後ともその方針に沿って韓米と連携していく。朝鮮半島の非核化に向けた皆様の御高見を伺いたい。また、本件については、この後に予定されている日韓外相会談でも議論するつもりである。

 日韓関係について、日韓両国は極めて重要な戦略的パートナーである。昨年の日韓併合100年に続き、本年を未来志向の新たな100年を切り拓いていく元年と位置づけ協力関係を一層深めたい。併合100年の節目を迎えた昨年、8月10日に発出した菅総理談話に表された歴史認識に立ち、日本側として具体的行動をとっていく考えである。この関連で、昨年、朝鮮王朝儀軌等の図書の引渡しを担保するための協定が国会で審議されなかったのは残念であったが、本年の通常国会で出来るだけ早く承認が得られるよう引き続き努力していく。その他、在サハリン韓国人問題を含め具体的な取組みを進めていきたい。

 また、日韓間の人的・文化交流さらには経済関係についても、「ウィン・ウィン」の関係を築いていきたい。

 人的交流については、ソフト面での発展に資する協力を進めたい。この点については、韓国は日本の二歩も三歩も先を行き、特に、映画については世界水準をリードするなど、その取組に高い敬意を表したい。映画を含む文化交流につき、地に足のついた取組を行っていくことが重要。自分が数年前に見て印象に残った映画に、「チルソクの夏」という映画がある。釜山と下関の高校生が、毎年運動会を交互に共催する中で、日本の女子学生と韓国の男子高校生が恋に落ちるというほのぼのとしたストーリー。日韓双方が様々な交流を通じ、相互認識を深め、相互交流を活発化させることが重要である。自分が前任の国交大臣として胸を張れる実績として、日本への外国人観光客を増やす取組を進めた結果、一昨年六百数十万人だった来日観光客数が、昨年は、円高や尖閣衝突事件後の中国人観光客の減少はあったものの、これまでの記録である835万人を越え、過去最高記録を更新する見込みである。来日観光客のうち韓国からの観光客数が最大であり、感謝する。同様に、韓国への日本人観光客も近年増加しており、相互訪問・人的交流を通じ、お互いの文化・風習に触れあう中で相互理解を一層深めていきたい。

 経済については、さらなる経済協力の観点から、出来るだけ早く両国間のEPAの交渉を再開し、まとめていきたい。先ほど、錚々たる韓国財界人・経営者の方々と懇談し、様々なご意見を伺った。EPAに積極的な意見もあれば、慎重な意見もあった。日韓関係の高みから中長期的に考えれば、日韓両国は、人口減少・少子高齢化に直面しており、自国の市場のみに依存していては経済は縮小を余儀なくされるという共通の課題を抱えている。日韓両国が外に目を転ずれば、発展するアジアが目前に広がっており、今後10年間で8兆円のインフラ需要も見込まれるとされる。日韓EPAにより多少の不均衡が短期的には生じることはあっても、日韓両国が貿易・サービス、技術交流、投資等を活発化させ、日韓・韓日が互いに切磋琢磨し、「攻め」の姿勢で協力していくためにも日韓EPAは大きな意義を有する。

 今後の日韓両国を巡る戦略環境・世界情勢にかんがみ、両国の協力関係を一層強化していきたい。残りの時間は、皆様方のご意見を伺いたい。今後とも外務大臣あるいは国会議員として、日韓・韓日関係の発展に努力していきたい。

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