演説

福山外務副大臣演説

「中央アジア+日本」対話 第4回東京対話 福山副大臣基調スピーチ

平成22年2月25日

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1.はじめに

 本日は第4回「東京対話」;「中央アジア+日本」の対話・協力枠組みにおける知的対話にお集まりいただき、誠に有り難うございます。外務省を代表して、参加者の皆様方を心から歓迎いたします。

 本日は、中央アジア5ヶ国全て、また、マニラやロンドンからもそれぞれの分野に関するご知見をお持ちの方々、さらには国内の専門家・学識者をお迎えして、中央アジアのインフラ整備というテーマの下で、活発な議論が行われることを期待しております。


2.「中央アジア+日本」対話の意義

 中央アジアは、ロシアと中国に挟まれ、アフガニスタン、イラン、パキスタンに隣接しており、その地政学的重要性は、益々高まっております。同地域は、石油・天然ガスなどのエネルギー資源や、ウラン・レアメタルなどの鉱物資源にも恵まれ、国際エネルギー安全保障の観点からも大いに注目されています。私自身、昨年11月、カルザイ大統領の就任式に総理特使として出席し、現場の状況に直に触れ、アフガニスタンに対する我が国の新たな支援内容をカルザイ大統領に直接お伝えしました。その支援パッケージの中でも、私たちはアフガニスタンと国境を接する中央アジア地域を一つの面としてとらえて発展を促進することでアフガニスタンの安定を図る方針を打ち出しています。中央アジアが隣接する、アフガニスタンと同国を含む地域一帯の安定は、私たち国際社会にとっての最重要課題のひとつです。中央アジアの安定と繁栄は、アフガニスタンを含めた周辺の地域のみならず、ユーラシア大陸全体、ひいては国際社会の安定と繁栄とも大きく相互に連関していると言えます。

 我が国は、中央アジア各国の独立直後から、道路、空港、上下水道、発電所などのインフラ整備、法制度整備、医療や教育分野、人材育成など、幅広く支援してきました。こうした我が国から中央アジア諸国に対する支援額は、2007年度までの累計で約3千億円にのぼります。また我が国は、一貫して民主化・市場経済化を進める各国の改革努力を支援し、経済・貿易、文化等多様な分野での交流を推進して、各国と友好的で良好なパートナーシップ関係を築いて参りました。

 中央アジア諸国が持続的に発展するためには、こうした二国間ベースでの取組のみならず、中央アジア諸国全体を一つの大きな可能性を秘めた地域として、対話・協力を進めることが肝要です。我が国は、こうした考えの下、2004年に「中央アジア+日本」対話の枠組みを立ち上げました。国境を越える問題に共同で対処するためにも、我が国は中央アジア諸国の自主性を最大限尊重しながら、その「触媒」として、中央アジアとの地域協力を促進することを目指しております。


3.東京対話の役割

 これまで、この枠組の中で、様々なレベルの会合が行われております。2006年には第二回外相会合を開催し、具体的な協力の指針を定めた「行動計画」を採択致しました。東京対話は、この「行動計画」に明記された協力分野の1つ、「知的対話」にあたるものです。有識者の方々による自由闊達な議論を通じて政府間対話・協力に反映できる提言を生み出し、中央アジアと日本との知的交流の活発化するために、これまで様々な重要なテーマを設け、回を重ねてまいりました。


4.第4回東京対話の狙い:テーマ「中央アジア地域における今後の物流インフラ整備」

 本日、第4回目となる東京対話のテーマは、「中央アジア地域における今後の物流インフラ整備」です。先に触れた「行動計画」では、様々な分野での地域協力が謳われていますが、輸送分野はまさにその一つであり、重要な課題です。

 整備された物流インフラは、そのまま経済発展を促進する回廊となり得ます。インフラ整備は域内経済の連携を改善し、域内貿易を促進し、さらには我が国を含む域外市場へのアクセスを容易にし、グローバル経済への統合をすすめるなど、ダイナミックな経済成長への布石となることが期待できます。個々の国の市場が比較的小規模で、天然資源が偏在している、中央アジア5ヶ国全てをあわせれば、非常に大規模で魅力的な経済圏となり得ます。また、ヒト・モノ・カネの活発な交流にともなう相互理解・信頼につながり、ひいては地域全体の安定に寄与することでしょう。我が国は、こうした視点から、これまでもこの地域の物流インフラ整備の努力を様々な形で支援してきました。

 まず、空路の物流インフラ整備として、カザフスタンにおいては新首都アスタナの空港改修、キルギスにおいてはマナス空港の近代化、またウズベキスタンにおいては、サマルカンド、ブハラを含む地方空港の拡充に関する事業を円借款で支援してきました。

 また、陸路の物流インフラ支援としては、内陸国という中央アジア諸国の地理的特質と、鉄道輸送が陸上輸送の8~9割を占めることから、我が国ではまず鉄道インフラ強化に協力してきました。カザフスタンやトルクメニスタンの他、ウズベキスタンのタシグザール・クムクルガン間の鉄道建設計画を支援しており、今年中には完工予定と承知しています。

 我が国は、道路インフラの整備についても支援を進めています。ビシュケク~オシュ間の道路改修は、険しい山岳に阻まれていたキルギスの南北の通行を活性化する効果がありました。また、カザフスタンでは、同国を東西に横断する西カザフスタン道路の改修事業により、広大な国土における物流の円滑化に貢献しました。このルートは中央アジアとロシア・ヨーロッパを結ぶ位置にあり、近隣諸国への物流を担う道路としても機能しております。

 物流インフラの整備は、国境を越えた過激派の移動や麻薬等の非合法物資の密輸の問題に対する適切な国境管理政策とあわせて行う必要があります。これらの問題は、中央アジア各国の独自の国家安全保障に直結し、しばしば輸送分野の地域協力の障害となり得ます。こうした観点から、「中央アジア+日本」対話の「行動計画」では、輸送分野に加え、麻薬・テロ対策、貿易・投資分野における地域内協力の促進も謳っています。

 特に国境管理能力の強化においては、中央アジア域内のみならず、周辺諸国を含めた広域的な協力が必要です。とりわけ、アフガニスタン情勢は、依然として不安定であり広域的な地域協力の飛躍的な前進を阻んでいます。このような中で、国際社会は中央アジア諸国と共にアフガニスタンの国境管理への取組を進めており、その一環で我が国もウズベキスタンに対し、国境の税関施設を対象とした、大型貨物用X線検査機材を供与する予定です。

 輸送インフラの整備やエネルギー供給ルートの多角化を、中央アジアの南の国々と進めることは、内陸国である中央アジア諸国が南の海への出口を見出すことにつながり得ます。こうした観点から、アフガニスタンの安定化努力と並行し、中央アジア「南方ルート」の整備に向けた努力を進めることは、地域の持続的安定と発展のために極めて重要です。我が国は、タジキスタンからアフガニスタン国境に延びる道路の整備支援やキルギスの橋梁整備支援をはじめとして、広域的輸送網の構築に資する支援を手がけてきており、今後とも努力していきたいと考えています。

 こうした中央アジア地域の輸送インフラ整備の必要性は、我が国だけでなく、他のドナー諸国や国際金融機関などの間でも幅広く認識されており、いろいろな枠組みにおいて国際会議などが開催されていると承知しております。本日は我が国のみならず、関連国際機関より専門家の方々もお迎えしておりますので、様々な角度からのアプローチを共有いただくことで、有意義な議論となり、一層の協力深化・関係発展に繋がるような有益な提言が生み出されることを期待しております。


5.結び

 我が国にとって、中央アジア諸国は、二国間や地域的なつながりのみならず、私自身がライフワークとしている気候変動問題をはじめ、核軍縮・不拡散、テロ撲滅等、様々なグローバルな課題の解決にも力を合わせて取り組むことのできる、重要なパートナーです。今後、より重層的で強固な関係を構築していくためには、日本と中央アジア諸国との間の相互理解の促進が欠かせません。

 本日の対話を通じて、日本と中央アジア諸国との知的交流が更に深まるきっかけとなることを祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。


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