演説

福田総理大臣演説

「アジアの未来」福田総理スピーチ
『太平洋が「内海」となる日へ ―「共に歩む」未来のアジアに5つの約束―』

平成20年5月22日

全文ファクトシート

1.導入

(1)ミャンマーのサイクロン災害、中国西部大地震の被害者へのお見舞い。

(2)胡錦濤中国国家主席、李明博韓国大統領の訪日。

(3)今回はより長期的な視野に立ち、太平洋というプリズムを通じた今後30年のアジアの行く末を考察。

2.希望と機会のアジア、太平洋

(1)1977年「福田ドクトリン」→日本と東南アジア諸国は同僚のような関係。

(2)アジア、太平洋は、「希望と機会」のアジア、太平洋。アジアの過去30年の経験・持てる力をアフリカ開発に役立てていくことをTICADIVで呼びかけたい。

3.この先30年、太平洋が「内海」へ

(1)今後30年間、太平洋は、地中海のように人や物資が行き交う「内海」となる。アジアは世界史の主役。アジアは、海を通じて世界とつながり、南北アメリカ、ロシア、インドを含め太平洋を「内海」とする国々のネットワークを形成し、拡大と発展。

(2)キーワードは「開放」。日本としても、アジア・太平洋、多様な世界に自らを開いていき、ともに無限の可能性を求めたい。経済連携を進め、域内の生産・流通のネットワークを強化する方策についても、アジア諸国や米国と一緒に考えていきたい。

4.5つの約束

 拡大と発展をやめないネットワーク構築のため、1)アジア諸国が、視野を太平洋に広げ、このネットワークに参加していくための体力をつけること、2)必要な環境を整えること、が必要。

 ⇒ 日本は5つを具体的行動を約束。

【約束1】ASEAN共同体実現の断固支持

 ASEANの安定と繁栄は日本の利益。2015年までの共同体実現に今まで以上に協力。

(1)ASEAN憲章発効後、ASEAN大使を任命、遠くない将来にASEAN代表部を設置。

(2)日ASEAN包括的経済連携を通じ、ASEAN単一市場形成を推進。

(3)「アジア格差解消の30年」宣言、メコン地域に対しては、格差是正とともに東西回廊を支援。

(4)環境保護と経済成長の両立、省エネ、食料安全保障の備え、鳥インフルエンザの蔓延防止等、日本とASEANの間には協力できる多くの課題が存在。

 ⇒ 日本とASEANは、「将来ビジョンを分かち合い、共に考え、共に行動するパートナー」

【約束2】日米同盟の強化

 米国は、アジア・太平洋地域の最も重要なメンバーの一つ。アジアには不安定・不確実な要素が残存。朝鮮半島問題の解決は、北東アジアの安定的発展に不可欠。日米同盟は、日本のみならず、アジア、太平洋の安全装置、繁栄のいしずえであり、公共財として強化。

【約束3】「平和協力国家」として尽力

 日本は、自らを鍛えつつ、アジアと、世界の平和実現に労を惜しまず汗をかいていく。

(1)マラッカ海峡を中心とするシーレーンの安全確保における協力を推進。

(2)インド洋における給油活動をはじめとするテロとの戦いを継続。

(3)平和構築人材育成を通じ、アジア諸国の専門家とともに、アジアの外でも一緒に汗をかく。

(4)「防災協力外交」を追求。まずは、ASEAN、ひいてはアジア・太平洋各国と防災協力。アジア各国の緊急援助関係機関同士のネットワークを構築し、大規模災害時に連携して緊急援助に当たる体制づくりを検討。

 ⇒ 鳥インフルエンザへの備え等とも併せ、「アジア防災・防疫ネットワーク」を構築。

【約束4】アジア、太平洋の知的・世代的交流のインフラを育成・強化

(1)留学生30万人計画を推進。

(2)年間6000人規模の若者を日本に招く21世紀東アジア青少年大交流計画を推進。

(3)アジア・太平洋域内の大学間交流を飛躍的に拡大し、欧州の「エラスムス計画」のアジア版を目指す。

(4)東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)を将来的にアジア太平洋のOECDのような役割を果たす機関として育てていく。

【約束5】気候変動問題への取組、低炭素社会の実現

 アジア地域は世界最大の温室効果ガス排出センターとなることがほぼ確実。ポスト京都の枠組みで早期に合意を達成し、低炭素社会の実現に向け、アジア、太平洋の諸国とともに努力。日本には貢献できる面が色々あり、アジア各国に協力していきたい。

5.結語

(1)今後、アジア、太平洋は、気候変動、水、エネルギー、食料、爆発する人口の都市への集中といった挑戦に直面。社会の混乱を吸収し、問題を未然に摘むためには、よりよい統治の仕組みの確立が必要。

(2)日本も、過去、公害、バブル崩壊、デフレ不況等の問題を抱えていたが、それらを何とか解決してきた問題解決国家。「もったいない」の心は、低炭素社会構築の基礎となる風土。⇒ 経験を語り合える仲間でありたい。

(3)一方、女性の社会進出、直接投資の受入れ、アジアの優秀な人材の活用といった分野で、日本はアジア、太平洋諸国から少なからず学ぶことが可能。日本も、より開かれた国へと変わることが必要。

 ⇒ 相互に学びあい、励ましあう関係を持ちたい。

(4)日本は、アジア・太平洋の安定・発展の中核として、活躍の場を広げていきたい。

(5)アジア・太平洋圏の人々との間に、心と心の信頼をさらに強く通い合わせながら、「共に歩む」絆をつくっていきたい。

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