外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 報道・広報 演説
演説

河野外務大臣演説

ASEAN拡大外相会議全体会合での河野大臣ステイトメント


平成12年7月28日


1.アジア経済

 アジア経済は、通貨・経済危機から急速に回復しており、アジア経済の強靱性や潜在力は再評価されて良いと考えます。他方、危機の再発を防止し、持続的な経済成長を確固たるものとするためには、不良債権の処理を含む金融セクターの改革、企業・政府のガバナンスの強化、中小企業の育成等経済構造改革に粘り強く取り組んでいく必要があります。
 アジア経済の発展は世界経済の発展にとって重要であり、国際社会としては、こうしたアジア各国の改革努力を引き続き支援していく必要があります。我が国は、アジアの一員として、厳しい経済・財政状況の中で総額約800億ドルにのぼる資金支援や人材育成のための包括的プログラムの実施に努めてきております。
 また、危機により深刻な打撃を受けた貧困層など社会的弱者を支援すべく、「日本社会開発基金」を世銀に、「貧困削減日本基金」をADBにそれぞれ新設して今年度に100億円ずつ拠出することとしております。

2.ASEAN統合を強化するための協力

 21世紀に向けてグローバル化や情報化を加速しているIT革命がアジアにおいても大きな課題となっております。ハノイ行動計画の一つであるASEAN情報インフラ(AII)やその推進のためのeーASEAN構想、更には、e-ASIA構想をASEANとその対話国が中心となって積極的に推進することにより、21世紀のアジア、ひいては世界の繁栄の実現に努力する必要があります。我が国は、先日の九州・沖縄サミットに向けて、今後5年間であわせて150億ドルを目途とする包括的な協力策を用意する旨表明し、こうした協力策を通じてITの振興と広域連携に貢献したいと考えております。
 他方、グローバル化の進展に伴い、世界的に経済格差の拡大が懸念されております。メコン河流域開発は、ASEAN10を実現したASEANが域内の格差を克服して、一体として発展していく上で重要なテーマです。我が国としては、(1)広域インフラ整備の推進、(2)流域国における貿易の促進や直接投資の増大など、民間セクターのビジネス活動の活発化、(3)貧困、環境、感染症といった流域各国に共通する「社会」セクター関連の問題への共同取組み、(4)人材育成の4点を中心に協力を進めていきたいと思います。中でも、人材育成については、ニュー・ジーランドとも協力し、メコン・インスティテュートにおいて、流域国の人材育成を推進しております。
 なお、人材育成については、我が国として特に重視して、アジア各国の努力を支援してきており、いわゆる「小渕プラン」を始め引き続き着実に協力を進めていきたいと考えております。

3.地域の平和と安定

 この地域の繁栄にとって、平和と安定が前提であることは論を待たず、ASEANとその対話国が地域の平和と安定のため協力を一層強化していくことが重要です。
 インドネシアの安定は地域の安定にとって重要です。我が国としては、民主的に選出されたアブドゥルラフマン・ワヒッド政権を支持しており、同政権の改革努力に対する支援を惜しみません。また、アチェ、イリアン・ジャヤ等の地方の問題については、我が国はインドネシアの領土の一体性を支持しており、これら問題の解決に向け、現政権を側面支援していく考えです。
 また、我が国は、この地域の平和と安定に大きな影響を与える米国や中国との関係を始め、地域の諸国との関係を発展させていくとともに、PMCを始めARFやASEAN+3といった多角的枠組みを重層的に組み合わせて、この地域の平和と繁栄に貢献していく考えです。

4.国際金融システムの強化

 通貨危機の再発を防止するためには、各国の経済構造改革努力を含めた適切な対応が必要となりますが、同時に、特に短期資本の急激な移動が各国の経済構造改革を阻害しないよう、国際金融システムの強化も必要であるとの考えに立って、ASEAN諸国と対話国が対話と協力を強化することが重要です。
 また、そうした各国の努力と国際社会の協力を補完する形で、地域の協力を進めることも重要であり、「チェンマイ・イニシアティヴ」はそうした観点から評価されるべきと考えます。

5.WTO

 最近、国内では二国間自由貿易協定への関心が高まっておりますが、我が国は、これをあくまでも多角的貿易体制を補完するものとして位置づけ、WTOに体現される多角的貿易体制の強化こそが最重要課題と考えております。そのため、各国の幅広い関心事項に対応し得るWTO新ラウンドの早期立ち上げに向け引き続き努力していきます。また、特に、途上国が多角的貿易体制の利益を一層享受するためには貿易関連のキャパシティ・ビルディングが重要であり、我が国としても具体的なイニシアティヴをとってフォローアップしていく考えです。
 中国等のWTO加盟が早期に実現することを強く希望しております。また、今回のPMCで、WTOの新ラウンド早期立ち上げに向け、ASEAN諸国と対話国が途上国の関心にも配慮した形で協力を強化することの重要性につき認識を共有することができれば極めて有益であると考えます。

6.国境を跨ぐ問題

(1)人間の安全保障

 グローバル化の進展や宗教・民族対立の中で、貧困、環境破壊、紛争、薬物、国際組織犯罪、女性と児童の密輸、海賊、感染症といった人間の生存への脅威が深刻化しております。
 我が国は、国家の安全と繁栄の確保を基礎としつつ、人間一人一人に着目した取り組みを進めるとの「人間の安全保障」を重視しています。このような認識に立って、我が国は、昨年、「人間の安全保障基金」を国連に創設し、また、アジアでは特に開発への協力を通じて貧困対策や社会的弱者支援に力を入れておりますが、ここでは国際組織犯罪、海賊と感染症の問題について触れたいと思います。

(2)国際組織犯罪

 国際組織犯罪については、「国際犯罪に関するASEANの地域行動計画」を含め我が国としてもできる限りの協力を行う方針です。また、国連国際組織犯罪条約については、本年中の採択が重要であり、各国の参加を呼びかけたいと思います。更に、国際組織犯罪に有効に対処するためには、途上国の刑事司法、法執行制度・能力を強化するための国際協力が不可欠であり、こうした分野でも我が国として協力を継続していきたいと考えています。

(3)海賊

 近年東アジア地域において頻発する海賊行為は、我が国を含む地域の通商・貿易を阻害する問題であり、沿岸国を始めとする地域の協力を強化する必要があります。先般、アジア各国の参加を得て東京にて「海賊対策国際会議」を初めて開催し、海上警備機関相互の協力強化や情報交換ネットワークの構築に合意しましたが、これは海賊対策のための地域協力を進める上で重要な第一歩となったと評価しております。
 この会議の成果も踏まえ、我が国は、9月にインドネシア、シンガポール、フィリピン、マレイシアの4ヶ国に政府調査ミッションを派遣し、海賊対策のための地域協力を進めるべく具体的な協議を行う考えです。

(4)感染症

 感染症は、アジアでも深刻であり、住民一人一人の生命への脅威という保健上の問題に留まらず、経済・社会開発への重大な阻害要因でもあります。
 我が国は、九州・沖縄サミットに向けて、「沖縄感染症対策イニシアティヴ」を発表し、この分野で今後5年間で総額30億ドルを目途とする協力を行うほか、我が国が国連に設置した「人間の安全保障基金」を活用してNGO支援を強化することとしましたが、こうした支援を通じてこの地域の感染症対策に貢献していく考えです。
 また、感染症対策の実施に際しては、援助国、国際機関、NGOとの連携も重要であり、「日米コモン・アジェンダ」の枠組みの下、6月末にHIV/AIDS、結核が深刻なカンボディアに日米合同のプロジェクト形成調査団をNGOの参加も得て派遣したところです。また、アジアにおけるマラリア・寄生虫対策を進めるため、タイを拠点とした人造りとそのネットワークづくりを目指し、「国際寄生虫対策アジアセンター・プロジェクト」を開始しました。
 感染症はアジアの繁栄にとっての脅威であると認識してASEANと対話国が共同行動をとって対応していく必要があることを強調したいと思います。

7.国連

 国連ミレニアム・サミットでは、21世紀の平和と繁栄のため、アジアからも積極的に声を出していく必要があります。
 例えば、現在の国連の安保理の構成は50ヶ国にのぼるアジアのメンバーが十分に代表されているとは言えず、安保理の構成が現在の国際社会を反映したものとすべく努力する必要があります。このような観点から、我が国としては、ミレニアム・サミットを契機として、途上国と先進国の双方を含めた常任・非常任議席双方の拡大を伴う安保理改革の早期実現を図っていくことが重要であると考えております。
 また、環境、感染症、国際組織犯罪、貧困など国境を越えた人間への様々な脅威に対応するため「人間の安全保障」を重視していくことや軍縮・不拡散の取り組みを強化することも重要です。

8.九州・沖縄サミットに関する報告

 (省略)



河野外務大臣演説 / 平成12年 / 目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省