談話・コメント

麻生外務大臣談話

米国アンチ・ダンピング手続き(ゼロイング)に関する
WTO上級委員会の報告書について

平成19年1月9日
  1. 1月9日(火曜日)、ジュネーブにおいて、昨年10月我が国が上訴した米国のアンチ・ダンピング手続きにおけるゼロイングの問題について、WTO上級委員会が我が国の主張を認める報告書を発出したことを歓迎する。
  2. 今回の上級委員会報告書は、第一審であるパネルの判断を覆し、アンチ・ダンピング手続き全体を通じて、米国が採用するゼロイングがWTO協定に違反することを認定している。同報告書は、不当なアンチ・ダンピング税賦課による貿易の制限は容認されないことを明確にするものであり、ルールに基づく多角的自由貿易の維持・発展に資するものとして高く評価する。

(参考)

  1. 米国のアンチ・ダンピング手続きにおけるゼロイング
     米国は、ダンピング決定に際して、輸出取引価格と国内価格を比較しその結果を総計して産品のダンピング率を計算しているが、個々の輸出取引価格が国内価格よりも高い場合の価格差を「マイナス」でなく「ゼロ」とみなすことで、この率を人為的に高くする手法(ゼロイング)を用いている。
  2. 我が国の主張
     我が国は、平成16年11月、米国のゼロイング方式自体とその実際の適用がWTO協定(アンチ・ダンピング協定等)に違反するとして、WTOに申し立てた。我が国は、ダンピングは産品全体で判断すべきであり、「マイナス」の価格差を無視することはこれに反するとの立場から、定期見直し等におけるゼロイングもWTO協定違反であると主張。
  3. パネルの判断(第一審)
     平成18年9月20日に発出されたパネル報告書は、一部の手続き(初回調査)におけるゼロイングのみWTO協定違反と認定。その後の定期見直し等については違反ではないとした。
  4. WTO上級委員会
     WTO紛争解決制度は二審制であり、上級委員会は最終審となる。上級委員会報告は、WTO紛争解決機関が採択することにより拘束力を有することとなるが、報告書はほぼ自動的に採択される。今回は、この上級委員会において日本の主張が認められたことになった。
  5. 米国のゼロイングに関する先例
     米国のゼロイングについてはEU等もWTOの場で争っており、上級委員会は、昨年4月、EUのケースにおいて、定期見直しでの個別適用措置についてはWTO協定違反であると判断した。
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