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外務報道官談話

米国1916年ダンピング防止法の廃止について


平成16年12月4日


  1. 12月3日(現地時間)、ブッシュ米大統領が米国の1916年ダンピング防止(AD)法を廃止する法案に署名し、同法は廃止された。わが国としては、こうした形で同法の廃止が実現に至ったことを歓迎する。

  2. 1916年AD法は2000年9月にWTO協定違反が確定しており、わが国は、同法を速やかに廃止するよう米国政府に対して繰り返し申し入れを行ってきた。政府としては、今回の同法廃止は、米国政府がこうしたわが国の申し入れを踏まえ、米国議会に対しWTO勧告の実施に向けて行ってきた働きかけが結実したものと認識している。

  3. わが国は、米国に対し、WTO協定違反が確定している他の米国内の法制度についても、WTO協定に整合的なものとすべく速やかに是正することを引き続き求めていく。

    (注)わが国は、1916年AD法のWTO協定違反が確定した以降も同法に基づく訴訟により損失を受けている者の保護を図るため、今臨時国会において所要の法律(アメリカ合衆国の1916年の不当廉売法に基づき受けた利益の返還義務等に関する特別措置法)を整備した。

(参考)

1.1916年AD法の概要

 1916年AD法は、米国内産業に被害を与える意図(略奪的意図)を持ってダンピング輸入又は販売した者に対して、罰金や懲役を科し、ダンピングの被害者に被害額の3倍の損害賠償を認める法律。

2.これまでの経緯

(1) 我が国及びECは、1916年AD法がWTO協定違反であるとしてWTOの紛争解決手続の下で申立てを行い、パネル及び上級委員会(appellate body)の審理を経て、2000年9月に同法のWTO協定違反が確定した。

(2) しかしながら、米国がWTO勧告(1916年AD法をWTO協定と整合的なものとすること)を実施せず、2001年12月に実施期限が満了したため、2002年1月、我が国はWTOの紛争解決機関(DSB)に対し、対抗措置(1916年AD法と同様の内容の「ミラー法」を我が国として制定するとするもの)の承認を申請した。これに対し米国が対抗措置の規模・内容に異議を唱え、問題は仲裁(arbitration)に付託された。

(3) 2002年3月、日米間の合意により、同法廃止に向けての更なる時間的猶予を米国に与えるため、仲裁手続を中断、現在に至っている。EC・米国間の仲裁も同様に手続が停止されたが、2003年9月、ECの要請に基づき仲裁手続は再開され、本年2月、認められる対抗措置の規模は1916年AD法に基づく賠償の最終判決額及び和解額の累積的合計額を限度とするとの決定が出されている。ただし、米国内の訴訟で実際の損害が企業に発生していない段階での対抗措置の発動は認められないとの仲裁判断が示され、かつEC企業が1916年AD法に基づく米国内裁判で敗訴したことはないため、現時点ではECの対抗措置についての準備(WTOへの再申請及び対抗措置のための規則の制定)は進んでいない。

(4) 我が国は、1916年AD法が国際法(具体的にはWTO協定)違反であることが確定したにも拘らず、同法に基づく訴訟に日本企業が巻き込まれ、多額の損害を被り続ける事態が今も継続している(後述4.参照)ことを問題視している。WTOの紛争解決制度の信頼性を確保するとともに、我が国企業を救済する観点から、米国政府に対し、遡及効を有する廃止法案の早期成立を強く求めてきた

3.米国内の状況

(1) 2003年1月に開会した第108議会で、下院に1本、上院に2本の1916年AD法廃止法案が提出された。上院の1本は遡及効(法案成立前の事案に対しても廃止の効果が及ぶ)を有しているが、残りの2本は遡及効を有していないものであった。下院においては、遡及効を有さない法案が本年1月28日、司法委員会で可決されたものの、本会議での審議の目途は立たず、上院の2本の法案については委員会レベルでの審議さえ行われなかった(第108議会の閉会をもって廃案)。

(2) これらの法案とは別に、10月8日、両院協議会は、1916年AD法を遡及効のない形で廃止する条項を含んだ「2004年関税関連一括法案(Miscellaneous Trade and Technical Corrections Act of 2004)」についての報告書に合意し、同日、下院を通過。大統領選挙前の会期は同日終了した。11月16日より開始されたレームダック会期において、19日に上院が同報告書を可決した。これにより同法案はホワイトハウスに送付され、12月3日(現地時間)、大統領の署名によって施行された。

4.(株)東京機械製作所(TKS)・ゴス社の係争案件

(1) 2000年3月、米国新聞輪転機メーカーのゴス社が、1916年AD法に基づき、(株)東京機械製作所(TKS)及びその米国子会社をアイオワ連邦地裁に提訴した。

(2) 2000年9月に同法のWTO協定違反が確定したが、上記のとおり、その後も同法は撤廃されていない。そのような中で、2003年12月3日、アイオワ連邦地裁陪審は、ゴス社の訴えを認め、TKSに対して被害認定額の3倍(約3,200万ドル)と、原告側弁護士費用(約400万ドル)を支払うよう命じる評決を下した。

(3) これを受け、2003年12月15日、TKSは、同地裁に対して、(イ)再審理(新たな陪審による審理やり直し)及び(ロ)法律問題としての判決(陪審の判断を覆す判決を裁判官に要請)の申立てを行った。同地裁は、本年5月26日、TKSによるこれら異議申立てをいずれも却下する最終決定を下した。これを受けて、6月23日、TKSは第8巡回区連邦高裁に対し、控訴した。

(4) 我が国政府は、8月26日、WTO協定違反であることが確定した同法に基づいて司法判断が下され日本企業に損害が生じるような事態は看過できないとの観点から、連邦地裁の判決は破棄されるべきとの趣旨のアミカス・ブリーフ(第三者の意見書)を連邦高裁に提出した。

5.損害回復法

(1) WTO協定上の対抗措置と並行して、ECは2003年12月、1916年AD法の損害回復法を制定した。これは、EC企業が米国で1916年AD法に基づき提訴された場合に、(イ)同訴訟による判決のEC内での執行を禁じるとともに、(ロ)訴訟によって生じた損害や費用をEC内で提訴することで米国企業から取り戻すことを認めたもの。ただし、今のところ同法に基づく訴えが提起されたことはない。

(2) 我が国政府においても、損害回復法の必要性を認識し、今臨時国会にECと同趣旨の損害回復法を提出し、同法は成立した



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