KIDS外務省~地球に生きる君たちへ~ KIDS外務省

世界の学校を見てみよう!

アメリカ合衆国
United States of America

アメリカ合衆国の学校では今
サンフランシスコ編

  • (地図)

クラレンドン小学校


クラレンドン小学校の校舎

 サンフランシスコ市内の小高い丘に建つクラレンドン小学校は,市内に72ある公立小学校のうちの1つです。幼稚園が併設されており,幼稚園児と小学1年生から5年生まで,あわせて約600人の子供達が通学し,児童の様々な人種構成は,サンフランシスコの人種の多様性を反映しています。(参考:アジア系29%,白人27%,ヒスパニック系12%,多人種混合7%,黒人3%)

 カリフォルニア州で成績,人気共に常に上位にランクされるこの小学校には,一般の公立小学校には珍しく,多言語・多文化教育を重視する2つのプログラムがあります。1つはセカンド・コミュニティというイタリアの言語と文化を学ぶプログラム。もう1つは日本語と日本文化を学ぶJBBP (Japanese Bilingual Bicultural Program)と呼ばれるプログラムです。児童は,国語(英語)や社会,算数,理科などの一般科目に加えて,外国語と外国文化を学習します。


1年生の体育の授業

 セカンド・コミュニティでは,幼稚園から3年生まで週3回,4年生と5年生では週2回イタリア語を学びます。JBBPでは,児童は毎日30~45分,日本語と日本文化を学びます。一般科目の授業は英語で行われますが,JBBPの教師は日本語も話すバイリンガルなので,日本語を母国語とする生徒が一般科目を学ぶ際のサポートを行うこともあり,教師は児童にとり,言葉の架け橋の役割も果たしています。

 日本の学校では時間割があらかじめ決まっていますが,アメリカの学校では通常,毎日の時間割は担任の教師が決めます。一般科目,外国語・外国文化の授業の他,体育,美術,音楽,コンピューターなどの授業があります。児童達は,毎日平均して1時間の宿題をこなします。また日本の学校と違い,放課後の課外活動はありませんが,NPOなどが運営するアフタースクール・プログラムと呼ばれる活動があり,クラレンドン小学校では鼓(つづみ)を練習するプログラムなどがあります。また多くの子供達は習い事をしています。男子児童の間ではサッカー,女子児童の間では女子サッカー,バレエ,ピアノなどのお稽古が人気があります。


4年生の日本語授業の風景

 JBBPで学ぶ児童は,日本語を学ぶだけでなく,1年を通じて,様々な日本文化に触れる機会があります。お正月には餅つきやお雑煮作り,春にはひな祭りやサンフランシスコの日本街で行われる桜祭り,5月は子供の日の行事,秋にはお月見や運動会,12月には学芸会が開催され,幼稚園の時からこれらの行事への参加を通して日本への理解を深めていきます。また行事には,母親だけでなく,多くの父親も参加し,子供の成長を見守ります。


日系人の人権活動家フレッド・コレマツ氏の半生を演じる子供達

 また授業の一環として,今年は日系アメリカ人の歴史について学ぶ特別プログラムも実施されました。第二次世界大戦中に,アメリカにいた日系人は敵として見なされ,アメリカの強制収容所へ入れられた歴史がありますが,強制収容の不当を訴え,人権活動家として活躍した日系人フレッド・コレマツ氏の功績について学んだ児童達による演劇が披露されました。

 ボランティア精神が深く社会に根付いているアメリカでは,保護者による学校への関与や支援は大変活発です。子供の学校教育をより充実したものにするため,保護者は学校行事の企画や実施,遠足の付き添い,学校の敷地清掃などのボランティア活動の他,財政的な支援,PTAによるコンピューターの寄贈もあり,学校と保護者の結びつきは非常に強いものがあります。

 なお2014年,クラレンドン小学校は,アメリカ教育省が優れた学校に授与する「ブルーリボン賞」を受賞しました。また同校幼稚園の新入児44人枠に対して1421人の入学希望があり,市内で最も人気の高い小学校となりました。


  • 日本語を学ぶ子供達の作品

  • 親しみやすい人柄で子供達に人気のピーター・ヴァンコート校長

  • 教室に貼られた世界地図

(2014年11月)