KIDS外務省~地球に生きる君たちへ~ KIDS外務省

世界の学校を見てみよう!

アメリカ合衆国
United States of America

アメリカ合衆国の学校では今

(写真)1
校舎

 アメリカには,全国共通の教育制度はありません。州によって,また学区によっても制度は異なります。たとえば,アメリカ東部・バージニア州の公立学校では,小学校(Elementary),中学校(Middle School),高校(High School)の6-2-4制が一般的で,同期間が学年に関係なく義務教育です。

クーパーミドルスクールは,バージニア州マクレーンの緑豊かな地域にある公立の中学校です。生徒たちは,自宅から通学バスに乗って,または家族に車で送り迎えをしてもらって通学しています。2階建ての校舎は横に長く,広々としていて,校舎の中へ入ると,教室やロッカーは生徒たちの描いた絵や作品で飾られています。

(写真)2
科学の授業

アメリカの中学校は,学年ごとに学級があり授業のレベルが決められているのではなく,それぞれの生徒がそれぞれの習熟度にあったレベルの授業を取るのが一般的です。クーパーミドルスクールでも同様で,生徒たちのいる教室に先生が授業を教えに来るのではなく,生徒たちがそれぞれの授業の教室へ移動します。生徒たちは,一人一人取っている授業が違うため,どんな課題があるのか,学校をお休みしたら何をしなければいけないのかを自ら理解する必要があります。クーパーミドルスクールの方針は,責任感があり,情報の多い社会で知識豊かに自分の考えを伝えられる人になれるよう指導することです。

クーパーミドルスクールには学級というものがないかわりに,学年ごとにいくつかのチームがあります。アメリカの生徒は,中学生の成績が高校進学,さらには大学進学のための評価にも影響を与えるので,一つ一つの授業の成績を気にして,悩みを抱える生徒もいます。同校では,チームの中で日頃連絡を取り合い,集まりや課外活動を行っています。一つのチームを一人のカウンセラーが担当し,生徒からの悩みの相談に乗ってくれます。また,先生,生徒,生徒の家族は,メールを通して気軽にコミュニケーションを取れる環境にあります。

(写真)3
数学の授業

必修科目は数学,国語,理科,科学,社会,公民です。8年生は,公民が必修になっています。地域でのボランティア活動や,学校の掲示物を作ることも授業の単位として認められています。選択科目には,演劇,音楽,美術,技術,ジャーナリズム,外国語(スペイン語,フランス語,ドイツ語,日本語),家庭科,リーダーシップを学ぶ授業などがあります。一つの授業につき,必修科目は30人程度,選択科目は10人程度の人数となっています。

クーパーミドルスクールは、生徒たちの習熟度に合わせて、幅広いレベルの外国語の授業を行っています。小学校のころから日本語学習を始めた生徒たちのための日本語イマージョンクラスと、中学校から日本語を学び始める生徒たちのための日本語初級クラスがあります。イマージョン教育とは、様々な科目を外国語で学ぶ授業のことです。生徒たちは、外国語そのものを学ぶのではなく、先生が話していることを外国語で理解し、外国語で発言できるよう学びます。クーパーミドルスクールでは、すでにイマージョン教育を受けてきた生徒たちに、丁寧に文法とスペリングを教えています。日本語を勉強している生徒は、日本文化、漫画、アニメ、ポップカルチャーなどに興味を持っています。

(写真)4
生徒たちによるボランティア活動の様子

授業が終わると,一度家に帰ってから課外活動をしている生徒もいます。日本と同じようにスポーツが人気ですが,日本とは異なり,スポーツの試合は開催されるシーズンが決まっているので,年間を通してシーズンごとに違うスポーツの部活動に参加することができます。また,生徒の中には,小さな子供をあやすベビーシッターの仕事をしてお小遣いをもらっている子もいます。

学校のお休みは,冬休みと春休みは約2週間,夏休みは2ヶ月半ほどあります。今年雪がたくさん降ったバージニアでは学校が何度も閉鎖になったので,その分を取り戻すため,次のお休みの期間は短くなるようです。

(2014年4月)