生徒たちと校長先生(中央の女性)
オマーンの教育制度は日本と同じく、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年となっています。
首都マスカットのクルム地区にあるクルム・プライベート・スクールは、男女共学の私立校です。同校は1983年に設立され、幼稚園から小学校、中学校、高校まで一貫教育を行っています。全校生徒数は700人、教員数は64人です。教育方針は「思いやりの心、人とのつながりを重んじること」で、人間形成に重きをおいています。
授業は朝礼の後、午前8時~午後2時まで、アラビア語と英語の半々で行われます。高校のカリキュラムには選択科目は一切なく、1~3年生まで全科目必修です。驚いたことに、体育の授業には空手が取り入れられています。ただし、体育だけは男女別々です。
女子の体育の授業
特に日本と異なるのは、イスラム教国だけに、宗教上、女性は人前で肌をさらすことが禁じられているため、女子の水泳の授業では、プールの回りに覆いが張り巡らされることです。
校則では時間厳守と制服の着用が定められています。男子はディシュダーシャというオマーン独特の衣装を、女子は白のYシャツに濃紺のノースリーブのワンピースを着用することになっています。
毎年6月15日から3ヶ月間の夏休みが始まります。その直前、生徒たちは試験勉強に追われ、学校では試験の話題でもちきりです。同校は進学校で、大学進学率は100%。生徒の90%がオマーン唯一の総合大学スルタン・カブース大学に進学し、10%が海外に留学します。
放課後、生徒たちはまっすぐ帰宅し、宿題や予習、復習に追われているようですが、みんな、学校生活は楽しいと答えてくれました。
授業風景
オマーンの夏は6月~8月で、気温が日中45℃以上にも上がるため、外で遊ぶことはほとんどなく、テレビをみて過ごしているようです。また、生徒はみんな裕福な家庭の子供たちなので、夏休みはほとんどが海外へ避暑に行くそうです。
日本については、経済大国や電気製品を連想する生徒が多いようです。昨年10月に大使館に同校の生徒を招待し、邦楽コンサートを開催したこともあって、生徒たちは日本の伝統芸能や文化などに大変関心を示し、ぜひ日本へ行ってみたいという声が多く聞かれました。
財団法人世界の動き社発行月刊「世界の動き1999年8月号」より