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世界の学校を見てみよう!

イスラエル国
State of Israel

イスラエルの学校では今

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校舎外観

 イスラエルの教育制度は,基本的に,小学校6年,中学校3年,高校3年の6-3-3制です。市によっては,初等教育8年(日本の小1~中2),中等教育4年(日本の中3~高3)という地域もあります。

 日本と大きく違うのが徴兵制度の存在です。高校卒業時にあたる18歳から,男性は3年間,女性は2年間の兵役が義務づけられているので,大学への進学は通常,兵役後になります。しかも兵役後すぐに大学に入るのではなく,アルバイトをしたり,海外旅行をしたりして,広く社会を見聞してから入学する人が多い傾向にあります。

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科学実験の様子

 今回紹介するレオ・ベック教育センターは,地中海に面したイスラエル北部の港町ハイファ市にある,幼稚園から高校までの共学の学校です。また,発達障害などのため兵役に就かない生徒たちが21歳まで教育を受けられるクラスもあります。寮は無く,約2,500人が地元ハイファ市から通学しています。

 ドゥボヴィ副校長先生は,この学校の教育方針について,生徒たちが学ぶことの価値を知り優秀な学業成績を収めることに加え,さらに2つの重要な方針があると語ってくれました。

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小学校の授業の様子。
同じ校舎内に,幼稚園から高校まで揃っています

 1つは,地元コミュニティでの様々な社会福祉活動を通じて,社会正義を学ぶこと。イスラエルでは通常は市が運営しているコミュニティ・センターを,ここでは,ハイファ市と協力してこの学校が運営しているそうです。そのコミュニティ・センターでは,貧困や病気で苦しむ地元の子どもたちを支援する活動も行っており,生徒たちはこうしたコミュニティ・センターの活動に毎年参加し,学校を卒業する際には,学業の修了証書だけでなく,社会福祉活動の修了証書も一緒にもらうそうです。

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日本語の授業の様子

 もう1つはユダヤ人のアイデンティティを学ぶこと。イスラエルという国が誕生したのは1948年5月ですが,実はこの学校はそれより10年早い1938年に,当時,ヨーロッパからどんどん移住してくるユダヤ人の子弟教育のために,ドイツから移住してきた教育者が幼稚園創設から始めたものです。ユダヤ人というのはユダヤ教を信奉する人たちのことですが,一口にユダヤ教といっても,厳格な宗派から世俗的な宗派まで様々です。もちろん,生徒の中にはユダヤ教以外の宗教を持つ生徒も学んでいます。ここでは,生徒たちが自ら考えて自分の生き方を選択できるように,宗教と文化を学んでいるそうです。

 こうした特色に加え,学校の様々な設備や,優秀だけれど経済的に苦労している生徒たちのための奨学金制度は,北米やヨーロッパを始めとする様々な国の人たちからの寄付で支えられているそうです。また,世界の様々な国の学校とパートナーシップを結び,お互いの国のことを学びあいながら生徒たちの国際感覚を養っているそうです。

 実はこの学校にはイスラエルの高校で唯一,日本語の授業を行っているクラスがあります。学校の授業日は日本と違い日曜から金曜日の6日間(ただし金曜は午前中のみ)なのですが,日本語のクラスは日曜日に行われていました。なんとこのクラスは,「日本語を学びたい」という生徒たちの署名活動によって実現したそうです。きっかけは数年前の日本からの転校生でした。同級生(高校1年生)の友人たちを中心とした,もっと日本を知りたい,日本語を学びたい,という生徒たちの熱意にこたえ,地元のハイファ大学で日本語を学んだガイ先生が昨年秋に授業をスタートしました。そんな日本好きの生徒たちに「日本のアニメは好き?」と聞くと,ガイ先生も含めて全員が手を挙げました。イスラエルでは以前に,日本のアニメを放映する番組があったので,皆,日本のアニメを良く知っていました。アニメを通じて日本の文化やファッション,マナーや礼儀正しさも知ったと言います。日本の大学に留学したいという生徒たちもいました。日本語は難しいので,途中でドロップアウトした仲間もいたようですが,週に1回の特別授業に頑張って取り組んでいます。

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    プール。夕方から地元の人たちのスポーツセンター(有料)として開放され,収益がコミュニティ・センターの活動に使われています
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    図書館の様子
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    メモリアル・ホール。
    兵役で亡くなった卒業生の顔写真が飾られています

(2014年1月)