ハイチの教育制度

授業の様子
ハイチの教育制度は日本と同じように初等教育6年,中等教育3年が義務教育ですが,就学率は極めて低いのが現状です。同国では,1人あたりの国民総所得(GNI)が650ドル程度の最貧国で,国民の大半が1日1ドル以下の生活を強いられています。また,失業率も60~70%といわれています。ハイチ国民の非識字率は約39%であり,教育普及率の低さは社会的・経済的な足枷となっており,就学年齢(6歳~11歳)の児童の45.9%しか小学校に通えずにいます。
ジュールベルヌ小学校

幼稚園のクラスの様子
今回訪問したペチョンビル市郊外にあるジュールベルヌ小学校(幼稚園を併設)では現在,フランスのNGOに所属している教員によって授業が実施され,園児と小学生1年生から6年生までの382名を受け入れています。
各学年1クラスに20から30名の子供たちが在籍し,教師9名と師範学校の生徒が各クラス1名ずつ助手として教師をサポートしており,きめ細かい指導を実施しています。小さな規模の学校ですが,子供たちは母国語であるクレオ-ル語や公用語のフランス語のほか,算数,社会科(歴史,地理),理科,美術,図工,音楽,体育の授業等を受けています。低学年は7時から12時まで,高学年は8時に授業が開始され,13時には終了します。新学期は10月から始まり,7月下旬まで,長期休暇はクリスマス休暇が2週間,2月と4月にそれぞれ1週間,夏休みは8月,9月の約2ヶ月となっています。
児童の生活

ハイチでは政府が現在学校給食プロジェクトの推進をはかっていますが,この学校では,まだ給食はありません。家に帰って昼食をとったり,家からもってきたジュースやパン等を学校で食べたりします。現在給食室を建設中で,これができると温かい昼食をとれるため,子供たちは給食が出る日を心待ちにしています。
ハイチのほとんどの学校ではそれぞれ制服があり,色デザインともに指定があります。特に女の子は母親に髪をむすんでもらい,制服と同じ色のリボンを付けたり個性的な髪型を楽しんでいます。
また,クリスマスやハイチの祝日に関連して行われる学校行事では,衣装を着て演劇や歌の発表会を催したり,クレープを作ってみんなで食べたりするので,子供たちは,これらの行事をとても楽しみにしています。放課後は,家に帰って宿題をしたり,縄跳びやスポーツをしたりして過ごしています。日曜日には家族と教会に行ったり,家事の手伝いをしたりして過ごしているそうです。長期休暇の間は家事を手伝ったり,親戚を訪ねたりして過ごす児童が多いようです。
(2012年12月)