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世界の学校を見てみよう!

カメルーン共和国
Republic of Cameroon

カメルーンの学校では今

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児童たちと先生

 カメルーンでは,小学校だけが義務教育で,その卒業証書を持っているかどうかは,その後の社会生活で重要な意味を持っています。学費は原則として無料ですが,新学期開始の登録時に,学校によって違いはあるものの,2500から3000セーファーフラン(日本円にして400~500円)の登録料を払います。この額は,一般の人にとっては,かなりの額になります。

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校舎

 カメルーンの小学校は日本と同じ6年制です。今回訪問したムファンデナ小学校は,首都ヤウンデの中でも比較的貧しい人々が住んでいる地区にあり,子どもの年齢層は6歳から16歳まででした。本来なら12歳で中学校に行きますが,児童の親に登録料を払うゆとりが無かったり,日本とちがって落第があり,各学年末テストに合格できずに同じ学年をくり返したりするので,このような幅広い年齢層になっています。児童のなかにはチャド,中央アフリカ,コンゴ民主共和国,ニジェール等から来た難民もいますが,皆フランス語圏であるため,カメルーンの学校生活に早く慣れてしまうそうです。小学校には制服がありますが,買うことができない家もあり,私服で登校している児童も何人かみかけます。

 子供たちは朝7時頃家を出て,歩いて登校します。授業開始時刻は7時30分。一回の授業は30分から45分で,7時間目まであります。下校時刻は14時です。朝ごはんを食べずに登校してくる子どもが多いので,学校の校庭にはチョコレートやキャンディ,ピーナッツ,粉ミルクとパン粉を混ぜたお菓子,揚げパン等の売り子が屋台を出しており,お腹がすいたらそこで1個につき25フランセーファー(約5円)を出して買います。授業は9月から12月半ば,1月から3月半ば,4月から6月まで行われ,一年の中でキリスト教の復活祭休み,日本の夏休みにあたる長い休み(常夏のカメルーンは,「夏休み」という言い方をしません),クリスマス休みと,大きな休みが3回あります。

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    校庭でお菓子を売る女性
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    休み時間に校庭で遊ぶ児童

 ムファンデナ小学校は2006年に日本のODA(政府開発援助)によって,日本の業者が建設しました。カメルーンには日本の援助によって各地に112校が建設されており,ドン・ジャポネ(フランス語で「日本からの贈り物」という意味)と言って広く親しまれています。校長先生は,「日本が建設した学校は,きれいで,がんじょうで,雨もれがない!」とほめたたえていました。というのも,カメルーンは資金不足で,学校が建てられても,泥,わらなどを使った粗末なものが多く,雨期にはバケツをひっくり返したような大雨が降るので,くずれる危険にさらされている中,授業が行われているケースも少なくないそうです。学校の建物が危ないので,通わせない親もいるようです。その点,日本が作った小学校は危険がなく,親も安心して学校に通わせることができるとのことです。

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できあがったサンタクロース

 2012年12月に日本大使館職員が小学校を訪問し,五年生の図工の授業を見学しました。JICA(国際協力機構)から派遣されている山本シニア海外ボランティアが折り紙でサンタクロースの作り方を子供たちに教えていました。まず,色紙がないので,白いA4サイズの紙をクレヨンや色鉛筆で塗ります。それを正方形に切り,山本さんの指示に従って,折っていきます。カメルーン人の先生も一緒に学びながら教えます。カメルーンの初等教育省の学習指導要領によると,図工も体育も音楽も必須科目です。しかし,これら三科目ははさみ,のり,絵の具,ボール,楽器などの教材や教具をそろえられなかったり,先生も学んでこなかったりするため,長年行われてこなかった科目でした。そこで,日本のシニア海外ボランティア,青年海外協力隊員が知恵を出し合って,身近にある材料で授業を始めました。彼らの活躍は大成功を収めています。たとえば体育の授業では,ペットボトルをつぶし,丸めてテープでとめたものをボールとして使っています。子どもたちはこの手製のボールに大喜びで,体育の授業に意欲的に参加しています。日本人ボランティアの地道な活動のおかげで先生たちも少しずつ,体育や図工の授業の進め方が分かってきました。

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日本人ボランティアが発案し,
カメルーン人の先生が作ったボール

 小学校五年生の児童に,放課後や長い休みにやっていることを聞いてみたところ,家事の手伝いや勉強と答えていました。しかし,実際は家計の足しにするため,道ばたに物を売りに出ている子も多いようです。日常生活で困ったことは?と聞いてみると,兄弟げんかをよくする,とのことでした。日本と違って,4人や6人等,大勢の子どものいる家庭が多いです。日本人のイメージを聞くと,ボランティアが活動しているからか,知らないことをたくさん教えてくれる人たちという返事で,日本は興味あるものばかりあるので,将来働きに行きたいとのことでした。

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    サンタクロースを仕上げる児童
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    体育の授業の様子
    (日本人ボランティアが導入した組体操)

(2013年1月)