主な要人の来日日程

日ニュージーランド共同プレスステートメント
(仮訳)

(英文はこちら)

 小泉純一郎日本国内閣総理大臣及びヘレン・クラーク・ニュージーランド首相は、2005年6月2日、東京にて会談を行い、幅広い分野について協議を行った。

1. 二国間関係

 日本とニュージーランドは、アジア太平洋地域におけるパートナーであり、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配及び市場経済といった基本的価値を共有している。アジア太平洋地域における平和と繁栄のため、日本及びニュージーランドが継続して取り組んできたことに照らして、両国が緊密に協力することは、二国間関係にとってのみならず地域のために重要であることを再確認する。

 日本とニュージーランドは、政治的及び経済的分野における多面的な協力を通じて、緊密な関係を醸成してきた。とりわけ、両国政府は、2001年及び2002年の両国首脳会談で提起され、支持された両国関係緊密化のための6つの協力分野、すなわち科学技術、観光、林業、教育、人的交流及び貿易投資円滑化の分野での協力促進において進展を見たことを評価した。

 この観点から、両首脳は、日本学術振興会とニュージーランド研究科学技術省間で研究開発協力を促進するための覚書に昨日署名が行われたことを歓迎した。ニュージーランドは、そのような交流が成長と技術革新を促進する戦略の一部をなすものとして、重点をおいている。

 日本は、ニュージーランドが愛知万博に政府が850万NZドルを拠出しつつ(民間より更に160万NZドルの提供を得て)参加したこと、また、愛知万博後引続き関連事業を行うため、同国政府が3年間で350万NZドルを支出することとしたことを歓迎した。このような努力は、両国間の交流を高めることに貢献する。

 日本政府及びニュージーランド政府は、現在の両国関係を前向きに新たな視野で見直し、また、この関係を強化する種々の方途を検討する。この過程においては、自国及び外国における情勢の変化を考慮する。

 両国政府は、以下を含む分野で更なる対話と協力を実施する。

2. 地域協力

アジア太平洋地域における協力

 日本とニュージーランドは、いずれもアジア太平洋地域において重要な役割を演じている。日本は、政府開発援助を含む支援を通じてアジア太平洋諸国の経済発展と繁栄のため、近年多大な貢献をなしてきた。ニュージーランドは、政府開発援助等のパートナーとして、アジア太平洋諸国との間で充分に確立された協力関係を価値あるものと考えており、また、「アジアに真剣に取り組む(シリアスリィー・アジア)」という事業でも示されているように、これらの協力関係を常に更新しようと努めている。

 両国は、東チモールにおける国連平和維持活動に対する貢献、スマトラ沖地震及びそれに続いて起きた津波によって荒廃した地域の救援・復興支援、アジア諸国との経済的連携の促進等において重要な役割を演じてきた。日本とニュージーランドの緊密な協力は、これらの地域の安定と発展に大きく寄与するものとなろう。

 両国は、将来の東アジア共同体の形成に向けた過程を支持し、これに積極的に参画していくことを再確認し、東アジア・サミットが高められた地域協力のための場として開かれた形となりつつあることを歓迎する。

 APECプロセスやASEAN地域フォーラム(ARF)における協力の実績に照らし、日本政府及びニュージーランド政府は、地域の課題に対して共に努力し、対応していくことへの新たな決意を再確認した。

太平洋島嶼諸国

 日本は、太平洋島嶼諸国におけるニュージーランドの不可欠の役割に敬意を示した。日本は、ニュージーランドが太平洋諸島フォーラムの議長として2003年に提起した同フォーラムの改革への貢献を高く評価する。両国は、パシフィック・プランのような地域的イニシアチブを支持することを再確認する。

 ニュージーランド政府は、2006年半ばに予定されている第4回太平洋・島サミット(PALM)を含め、日本が一連のサミットを主催し、それを通じて対話を促進する努力を行ってきたことを歓迎する。

 日本政府及びニュージーランド政府は、ソロモンにおける平和と復興を確かなものにし、ブーゲンビル和平プロセスを促進し、また、太平洋地域の安全、安定及び繁栄の為、太平洋島嶼諸国が発展するようパートナーとして緊密な協力を継続するとの意図を強調する。

3. 地球規模の課題

国連改革

 日本政府及びニュージーランド政府は、国連システムが現代の課題に対して団結して一層効果的に対処できるよう確保するための方途を見いだすため、国連の包括的な改革と再活性化に取り組むことを強調する。両国首脳は、国連安全保障理事会が、より代表性の高いものとなることが、より広範な国連改革プロセスにとっての重要な要素であることを確認する。ニュージーランド政府は、安全保障理事会のメンバーは、21世紀の現実を反映すべきであると確信する。ニュージーランドは、拡大された安全保障理事会に日本が加わることを支持する。日本政府及びニュージーランド政府は、国連の有効性、信頼性及び合法性を強化するため、緊密に作業を継続する。

軍縮・不拡散

 日本政府及びニュージーランド政府は、国際的な軍縮・不拡散の努力を推進していくため積極的に作業していく決意を新たにしたことを強調する。両国は、大量破壊兵器、その運搬手段及び関連物資の拡散と戦うため作業することを含め、国際条約に基づくシステムを強化するために作業することの重要性を再確認する。この関連で、両国は、2005年のNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議が実質的事項に関する合意文書を最終的に採択することができなかったことを残念に思うとともに、両国がNPT体制の信頼性と権威を維持し強化するため、個別にまた団結して、努力を強化していく決意を新たにする。

 日本政府及びニュージーランド政府は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約に関する交渉の即時開始、国際原子力機関(IAEA)追加議定書の普遍化、並びに生物兵器禁止条約及び化学兵器禁止条約に基づく約束の実施を引き続き求める。

 両国は、北朝鮮が早期かつ無条件に六者会合に復帰すること、また、信頼のおける国際的な検証の下、核計画の完全な廃棄を行う旨コミットすることを促す。この関連で、ニュージーランド政府は、北朝鮮による日本人拉致問題に対する日本の懸念を理解することを表明する。

 両国政府は、累次のIAEA理事会決議のすべての要求事項をイランに完全に履行するよう呼びかけるとともに、EU3か国(英仏独)とイランとの間で現在行われている交渉のプロセスが建設的な成果を生み出すことを期待する。両国は、他の諸国が特に若い世代のための軍縮・不拡散についての教育を支援するよう促していく決意を共有する。

 日本政府及びニュージーランド政府は、PSI(拡散に対する安全保障構想)などの努力を通じて、軍縮及び不拡散分野において協力を継続していく。

テロ対策

 日本政府及びニュージーランド政府は、効果的なテロ対策のためには国際社会の協力が不可欠であるとの認識を共有する。両国政府は、情報交換、交通保安、出入国管理、テロ資金対策等の措置により、国際社会が国際テロとの闘いのために緊密に取り組んでいくことの重要性を強調する。

 両国政府は、APECにおける地域的貿易・金融安定化イニシアティブのような枠組み等を通じて、アジア太平洋地域のテロ対処能力向上を支援することに共通の利益を有する。日本政府は、アジア太平洋諸国のテロ対処能力を強化するため、法的枠組み、交通保安及びテロ資金対策の規制などの分野における支援に取り組んできた。ニュージーランドは、最近設立された太平洋安全保障基金を通じて、アジア太平洋地域における法的枠組みや法執行能力を強化するため、同様の支援を行っている。

 両国政府は、アフガニスタン国内及び周辺地域におけるテロの脅威との闘い及び復興支援において、並びに、イラクにおける人道及び復興のための支援において国際的な協力の重要性を再確認する。

WTO

 日本政府及びニュージーランド政府は、多角的貿易システムの重要性、並びにドーハ開発課題のもとWTOにおいて国際貿易の更なる自由化と貿易ルールの強化を促進することが重要であること強調する。両国政府は、ドーハラウンドのもとでの交渉が遅滞なく成功裡に妥結できるよう、12月の香港閣僚会議において必要な決定を行うことを可能にする作業に積極的に取り組むことを再確認する。

環境

 日本政府及びニュージーランド政府は、京都議定書の目標達成に向けての協力を継続する。両国政府は、気候変動の課題に取り組む将来の枠組みについて国際社会の討議が進展するよう、対話と協力を継続していくことを喜ばしく思う。両国政府は、既存及び新たな気候融和的な技術の開発及び普及並びにそのような技術の途上国への移転を促進すべく協力を強化する。

 両国政府は、2002年にヨハネスブルグで開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)で採択された実施計画の実施に取り組んでいくことを強調した。

4. 両国間の対話

 日本政府及びニュージーランド政府は、両国首脳の相互訪問及び様々なレベルでの対話は、両国に利益をもたらしてきていると考える。両国政府は、両国首脳及び閣僚を含むハイレベルの対話を強化していく。両国政府はまた、適切な課題について学識者及び研究者が参加する二国間対話を促進する。両国政府はまた、高級事務レベル政務協議及び経済協議の定期的開催を継続していくことの重要性を強調した。

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