菅総理は,現地時間5月27日14時25分から約50分間,G8首脳会合に出席するために訪問中の仏ドーヴィルにおいて,メドヴェージェフ・ロシア大統領との間で日露首脳会談を行った。
- 総論
(1)今回の会談は,昨年11月の横浜APECの際の首脳会談以来,菅総理とメドヴェージェフ大統領との間の3回目の会談であり,建設的な雰囲気の中で行われた。
(2)両首脳は,東日本大震災後のロシアの提案を受けて,原子力・エネルギー等の分野での協力を進めていくことを確認するとともに,領土問題について静かな環境下で協議を継続していくことで一致した。 - 東日本大震災への対応に関連する協力
両首脳は,東日本大震災への対応に関連する協力について議論を行い,次の具体的な協力を進めていくことで一致した。
(1)原子力分野では,ロシアがチェルノブイリ原発事故から得た知見及び経験 を活かした専門家間の協議等の協力を行っていく。
(2)メドヴェージェフ大統領夫人のイニシアティブで提案された両国民間の交流については,被災地の青少年を始めとする日本の青少年によるロシア訪問及びロシアの国民による日本の観光地の訪問を一層促進していく。
(3)エネルギー分野では,ロシアでの石油・天然ガスの共同開発等の中長期的な協力を進めていく。 - 東日本大震災後の日露関係の進め方
(1)経済については,ロシア経済の近代化や極東・シベリア開発等の互恵的な協力を進めていくことで一致した。
(2)国際舞台・アジア太平洋地域での協力については,北朝鮮によるウラン濃縮問題への対応を含むアジア太平洋地域における協力を進めていくことで一致した。この関連で,菅総理から,北朝鮮の拉致問題へのロシアの協力を要請した。
(3)また,メドヴェージェフ大統領から,2012年にロシアで開催されるAPECについて日本の全面的な協力を得たいとの発言があり,菅総理から,協力したい旨応じた。 - 領土問題
菅総理から,5月15日に行われたイワノフ副首相その他のロシアの閣僚による国後島・択捉島訪問について,松本外務大臣からベールィ駐日大使への申入れに言及しつつ日本の立場を明確に伝達した。さらに,菅総理から,あらゆる分野で日露関係を発展させていく中で,領土問題を解決に向けて進展させていきたい旨述べた。その上で,両首脳は,静かな環境下で領土問題についての協議を継続していくことで一致した。 - 菅総理に対するロシア訪問の招待
昨年11月の横浜APECの際にメドヴェージェフ大統領から招待があった菅総理のロシア訪問について,今後事務方の間で調整していくことで一致した。