平成20年4月26日
4月25~27日、福田総理はロシアを非公式に訪問したところ、結果概要以下のとおり。
4月26日14時10分からワーキングランチをはさんで約2時間、ノヴォ・アガリョーヴァ(プーチン大統領公邸)において、福田総理はプーチン大統領との日露首脳会談を行った。我が国の総理が、プーチン大統領の公邸に招かれたのは初めて。会談の結果、以下の諸点につき一致した。
なお会談の最後に、福田総理よりプーチン大統領に対し、また是非日本を訪問いただきたい旨述べたのに対し、プーチン大統領より、日本が好きであり、喜んで訪日する旨述べた。
(1)総論(含む北海道洞爺湖サミット)
日露の間で、アジア太平洋地域の安定と繁栄に資するような関係を構築すべく、両国関係をすべての分野で高い次元に引き上げることで一致した。そのため、今後、両首脳間の対話をより頻繁に行うとともに、当面、7月の北海道洞爺湖サミットの際の日露首脳会談に向け、よく準備していくことで一致した。また、北海道洞爺湖サミットに向けて、主要議題について協力・連携していくことで一致した。
(2)平和条約締結問題
(イ)福田総理より、日露関係を高い次元に引き上げていくためにも、交渉を具体的に進展させていくことが不可欠である旨述べた。
(ロ)これに対し、プーチン大統領より、これまで積み重ねてきた話し合いの上に、今後とも交渉を進めていくし、その進展が得られるためにも、両国関係を全般的に発展させていきたい旨述べた。
(ハ)両首脳は、関係を高い次元に引き上げるためにも、交渉の進展を図る必要性があることで一致。また、これまでの諸合意及び諸文書に基づき、双方が受入れ可能な解決策を、首脳レベルを含め、今後とも話し合っていくこと、また、そのために、両首脳が改めて指示を出すことで一致した。
(3)幅広い分野での協力
ロシア側のアジア太平洋地域への関心の高まりを踏まえ、日露関係の今後の互恵的協力の方向性についても意見交換を行い、幅広い分野での協力を進展させながら、同地域での日露の連携を強化していくことで一致した。
具体的には、「極東・東シベリア・イニシアティブ」の具体化について話し合い、
(イ)特に、石油・天然ガス及び原子力を含むエネルギー、シベリア鉄道の物流ルートの活性化を含む運輸、そして環境等の戦略的分野で互恵的協力を具体化することについて一致した。
(i)この関連で、両首脳は、今般、東シベリアにおいて初めて、日露で油田の共同探鉱を開始することになったことを歓迎した。これは、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とロシアの石油企業が、イルクーツク州で共同探鉱を開始することになったものであり、「東シベリア - 太平洋」パイプラインの太平洋岸への建設を促進するモデル事業となり得るもの。
(ii)2012年にウラジオストクで開催されるAPEC首脳会議の成功に向け協力を進めていくことで一致した。これに関連して、プーチン大統領より、日本とのインフラ整備の分野での協力に関心があるとの発言があった。
(iii)京都議定書のメカニズムの下での協力や、日本が世界に誇る省エネ環境技術の分野でも協力を検討していくことで一致した他、気候変動に関する次期枠組みに関して連携していくことで一致した。
(ロ)また、人的交流、特に青年交流を飛躍的に拡大していくこと、具体的には、本年より、青年交流の規模を5倍に拡大し、日露合わせて毎年500名規模の青年交流を開始することで一致した。
(4)国際情勢
(イ)北朝鮮
核開発問題について、シリアの核拡散疑惑を含め議論し、両首脳は、六者会合のプロセスを通じ、完全な「申告」を得るべく協力していくことで一致した。
また、福田総理より、拉致問題を含め、ロシアが北朝鮮に対して影響力を行使するよう要請したのに対し、プーチン大統領より、今後とも協力していきたい旨述べた。
(ロ)中国
両首脳は、それぞれの中国との二国間関係の現状について紹介の上、中国との関係を一層発展していく方針であることにつき説明した。また、中国が国際社会において責任ある建設的な役割を果たすことの重要性につき指摘した。
(ハ)その他
今後とも、中央アジア、イラン、国連改革等、国際情勢について意見交換し、協力を強化していくことで一致した。
4月26日16時30分から約1時間、マインドルフ城において、福田総理は、メドヴェージェフ次期大統領との間で会談を行った。概ねプーチン大統領と同じ議題が取り上げられたが、特に、北海道洞爺湖サミットに向けた準備を中心に話し合われた。会談の結果、以下の諸点で一致した。
(1)北海道洞爺湖サミットに向けた協力
福田総理より、メドヴェージェフ次期大統領の北海道洞爺湖サミット出席を歓迎するとともに、サミットの運営のあり方、及び気候変動、開発・アフリカ、世界経済、不拡散の問題を始めとする政治問題といった主要議題についての日本側の考え方について説明した。
これに対しメドヴェージェフ次期大統領は、サミットの成功に向けて協力していく旨述べた。
双方は、サミットに向けて、気候変動分野を始めとする主要議題について、特に立場の近い気候変動に関する2013年以降の次期枠組みについて、協力・連携をしていくことで一致した。
(2)平和条約締結問題
双方は、日露関係を高い次元に引き上げていくためにも、これまでの諸合意及び諸文書に基づき、双方が受入れ可能な解決策を見出す交渉を続けていくこと、そのために両首脳より改めて指示を出すことで一致した。
(3)幅広い分野での協力
日露関係を高い次元に引き上げるべく、今後の協力の方向性について意見交換を行い、上記1.の首脳会談と同様に、幅広い分野での互恵的協力を具体化させていくことで一致した。
(4)国際情勢
イランの核問題、北朝鮮の核問題や拉致問題の解決に向け、協力していくことで一致した。