平成21年2月18日
(写真提供:内閣広報室)
2月18日、麻生総理大臣は、サハリンIIプラント稼働式典への出席のためサハリンを訪問した際に、メドヴェージェフ・ロシア大統領と会談したところ、結果概要以下のとおり。なお、メドヴェージェフ大統領は、麻生総理が今回の式典の出席に応じたことを非常に喜び、会談は全体として非常に良い雰囲気の下で行われた。
(1)サハリンIIの本格始動という記念すべき日に、ロシアと、アジア太平洋地域における戦略的な関係を構築する上で重要な一歩を踏み出す会談となった。
(2)また、サハリンIIは我が国のエネルギー供給源の多角化につながるものであり、エネルギー安全保障の観点からも、今回の会談は戦略的な重要な意義を有する。
(3)昨年11月の首脳会談の結果を踏まえ、アジア太平洋地域における双方の関心事項に関する具体的作業に着手。
(イ)領土問題については、少人数で突っ込んだ議論が行われ、両首脳は、以下の点で一致をみた。
(i)第一に、この問題を我々の世代で解決すること。
(ii)第二に、これまでに達成された諸合意及び諸文書に基づいて作業を行うこと。
(iii)第三に、メドヴェージェフ大統領が指示を出した、「新たな、独創的で、型にはまらないアプローチ」の下で作業を行うこと。
(iv)第四に、帰属の問題、即ち、国境の画定の最終的な解決につながるよう作業を加速すべく追加的な指示を出すこと。
(ロ)特に、我が方としては、(イ)(iii)のメドヴェージェフ大統領のアプローチについては、平和条約交渉に新たな方向性を与える可能性があるものと受け止めており、我が方として、今回、この新たなアプローチの下で共に作業を行っていくことに同意した上で、帰属の問題の解決に向けた取組を強化することで一致をみた。
(ハ)領土問題に関する具体的なやりとりは以下のとおり。
(a)麻生総理からは、昨年11月の首脳会談後にメドヴェージェフ大統領が事務方に具体的な指示を出されたことは、この問題の解決に向けた大統領の強い意思の表れとして嬉しく思う旨述べた上で、これまでに達成された諸合意及び諸文書を基本としつつ、大統領が指示を出したような「新たな、独創的で、型にはまらないアプローチ」の下で、帰属の問題の最終的な解決を目指していきたい旨述べた。
(b)これに対し、メドヴェージェフ大統領は、この問題について双方に受け入れ可能な解決を見つける作業を継続する用意がある、この問題は世界にある他の問題と同じように解決可能と思っていると述べた。
(c)その上で、両首脳は、この問題を我々の世代で解決すべく、帰属の問題の最終的な解決につながるよう、具体的な作業を加速するよう事務方に追加的な指示を出すことで一致した。
極東・東シベリアにおける互恵的な協力については、次の点で一致をみた。
(イ)官民一体となって具体的プロジェクトの形成に取り組んでいくこと。この関連で、本年6月にロシアNIS貿易会の極東ミッションを派遣し、また、本年秋に貿易経済に関する日露政府間委員会の次官級の地域間交流分科会を開催すること。
(ロ)2012年にウラジオストクで開催されるAPECへの我が国の協力の一環として、APEC会場となるルースキー島への橋の建設に我が国の企業(IHI(石川島播磨重工業)及び伊藤忠商事)が参加し、技術協力等を行うことになったことを歓迎。
(ハ)極東・東シベリアの天然ガスの生産、供給をめぐる新たな協力の可能性について、資源エネルギー庁とガスプロムの包括的な協力の下で話し合っていくこと。
(ニ)サハリンに隣接するオホーツク海や、北方四島を含む日露の隣接地域での生態系保全協力について、昨年7月に実質合意したプログラムが、近く署名される見通しとなったことを歓迎するとともに、近く、双方の専門家が一同に会したシンポジウムを開催することで調整していくこととなった。
昨年11月の首脳会談において、本年、首脳レベルの集中的な話し合いを行っていくことで一致したことを踏まえ、当面の日程について次のとおり一致。
(イ)4月2日にロンドンで行われる金融・世界経済に関する首脳会議の際、日露首脳会談を行う可能性を探ることとなった。
(ロ)プーチン首相の訪日について、5月に行うことで一致。
(ハ)更に、7月の伊でのG8サミットの際に首脳会談を行う方向で調整することを含めて、日露間での首脳レベルでの政治対話を加速していくこととなった。
四島交流等は信頼醸成の観点から重要であり、お互いに継続していく意向であることを確認。その上で、友好的かつ建設的にこの問題を解決させるべく事務方に至急作業させることで一致。
ロシアが上海協力機構議長国として、3月末にモスクワで開催することを提案しているアフガニスタンに関する国際会議に、我が国よりの出席の意向を伝達。我が国は上海協力機構主催の会合に初参加。
(イ)麻生総理より、世界的な景気減速の中、保護主義の台頭に警戒しなければならないと述べ、ロシアが一部関税の引き上げ措置をとっていることを念頭に懸念を表明。
(ロ)これに対し、メドヴェージェフ大統領は、ワシントンでのG20の合意に沿って努力する用意はあるが、例外的措置もある、日本側が国際金融危機打開のために示しているイニシアティブを支持すると述べた。
(ハ)その上で、両国が世界経済に共通の責任を負っていることを確認し、4月のロンドンでのサミットに向けて密接に協力していくことで一致。