
コフィ・アナン前国連事務総長による麻生総理大臣表敬
平成21年6月2日
6月2日午後3時25分より約20分間、外務省の招待にて訪日中のコフィ・アナン前国連事務総長が麻生総理大臣を表敬したところ、概要以下のとおり。
- 麻生総理より、3年前に外務大臣としてアナン前国連事務総長と会談したことに触れつつ訪日を歓迎したのち、世界金融・経済危機がアフリカにも深刻な影響を与えていること、日本は、2012年までのアフリカ向けODA倍増、アフリカ向け民間投資倍増支援等のTICAD IVの約束を必ず実行すること、アナン前事務総長も重視する「人間の安全保障」の実現に向け、アフリカの経済成長、MDGsの達成等を、一層力強く後押ししていきたい旨述べた。
また、麻生総理は、本年3月にボツワナにて開催されたTICAD閣僚級フォローアップ会合の成果を踏まえ、4月のロンドン・サミットでアフリカへの支援強化を呼びかけたことを紹介し、来月のラクイラ・サミットでも、アフリカ支援のためのG8としての強いメッセージを出せるよう、働きかけを行いたい旨述べた。
さらに、麻生総理より、アフリカの成長に平和と安定は不可欠であり、アナン前事務総長がケニアでの混乱(2007年12月)の収拾に発揮した手腕を高く評価するとともに、引き続きこの分野でも活躍されることを期待する旨述べた。
- これに対して、アナン前事務総長より、一部のG8国でさえもアフリカに対するコミットメントの履行が懸念される中、日本が自身のコミットメントを守り、その支援を拡大していることは心強い、自分はアフリカ進捗パネルとしてG8に提言書を出す予定である、現下の経済の悪化と気候変動問題は、アフリカに深刻な影響を与えており、アフリカ自身も努力するが、その克服策につきG8でもよく議論して欲しい、今こそインフラ、電力、保健、教育等、アフリカへ再投資する時期である旨述べた。
- その後、双方は、経済成長の加速化のための広域インフラ、平和と安定、農業、灌漑といったアフリカ開発の重点分野につき意見交換を行った。アナン前事務総長は、アフリカの稲作振興のためのJICAとアグラ(AGRA)との協力(CARD)に見られるように、引き続き日本と協力していきたい旨述べた。
(参考1)アフリカ進捗パネル(APP: Africa Progress Panel)
APPは、2007年4月に立ち上げられた。アナン前国連事務総長がAPP議長であり、パネルのメンバーは、ブレア前英国首相、オバサンジョ前ナイジェリア大統領、ユヌス・グラミン銀行総裁等。アフリカ開発のためにアフリカに対して若しくはアフリカによってなされた約束の進捗を促進・評価し、国際的なアフリカに対する政治的関心を維持することを目的とし、年次報告書を作成している。
(参考2)アグラ(AGRA: Alliance for a Green Revolution in Africa、アフリカ緑の革命のための同盟)
AGRAは、アフリカの小規模農家の生産性と生計を向上し、アフリカの貧困と飢餓の減少に貢献することを目的として2006年9月に設立された。アナン前国連事務総長はAGRA理事長。
(参考3)アフリカ稲作振興のための共同体(CARD:Coalition for African Rice Development)
(1)アフリカの稲作振興を目的に、ドナー国、アフリカ地域機関及び国際機関が参加する協議グループ。JICAとAGRAが中心となり、TICAD IVの際に立ち上げた。サブ・サハラ・アフリカのコメ生産量を10年間で倍増することを目標としている。
(2)6月3日、アナン前国連事務総長の立ち会いの下、JICAとAGRAのCARDイニシアティブの取り進め方等につき、覚書(MOU)を署名する予定。
(3)同日、CARD第2回総会が開催され、アナン前事務総長は開会式にてオープニング・スピーチを行う予定。