安倍総理大臣

日・マレーシア首脳会談(概要)

平成19年8月24日

 安倍総理は8月24日午前、マレーシア首相府において、約1時間40分にわたりアブドゥラ首相と会談を行ったところ、概要以下のとおり。
 なお、両首脳は、首脳会談終了後、「変わらぬ友情と広範なパートナーシップ~共通の未来に向けて」と題する共同声明に署名し、その後、今回の総理訪問に合わせて当地を訪問中の経済ミッション(団長:御手洗経団連会長)の代表者との懇談を行った。

1.二国間関係全般

(1)冒頭、アブドゥラ首相の歓迎の言葉に続き、安倍総理より、マレーシアが本年独立50周年を迎えたことに対し、お祝いの言葉を述べた。また、半世紀にわたるマレーシア政府及び国民の努力により、マレーシアが民主主義と市場経済の下で、今日の繁栄を達成したことに敬意を表した。

(2)また、安倍総理より、本年は我が国とマレーシアの外交関係開設50周年でもあり、日マレーシア関係にとって節目の年に当たる。この記念すべき年に貴国を訪問できたことを大変嬉しく思うと述べた。

(3)さらに、安倍総理より、日マレーシア経済連携協定(EPA)の締結により、両国間の貿易や我が国からの投資が増加しているが、今後、人材育成分野の協力も一層強化し、二国間関係を更に発展させたい。また、地域や国際社会の課題についても、共に取り組んでいくための新たな協力関係を築いていきたいと述べた。

(4)また、経済ミッションについて、安倍総理より、今回の自分の訪問に合わせて、200名近くの経済界の関係者がマレーシアを訪問しているが、これは、マレーシアとの交流を更に深めたいという我が国経済界の強い思いの表れであると述べた。

(5)これに対し、アブドゥラ首相より、総理とともに、経済界の方々、安倍夫人にも訪問いただき歓迎する。マレーシア独立50周年かつ日マレーシア外交関係開設50周年の機会に行われた今回の安倍総理の訪問は、日本とマレーシアの50年にわたる良好で互恵的な関係を振り返る良い機会である。両国は長年にわたり、皇室・王室、政府首脳等のハイレベルの交流を行ってきた。また、日本からの低利の円借款は多数の重要プロジェクトの実施を可能にしてきた。更に、民間レベルでの協力も進められてきており、日本からの投資はマレーシアの発展に大きく貢献してきた旨述べ、これまでの日本の協力に謝意が表明された。

(6)また、安倍総理より、二国間関係を一層強固なものとすべく、アブドゥラ首相にできる限り早期に我が国の賓客として日本を訪問して頂きたいと述べた。これに対し、アブドゥラ首相より謝意の表明があった。

2.政治・安全保障分野における協力

(1)東アジア地域協力

 安倍総理より、全ての東アジア協力の枠組みを貴国とともに発展させていきたい。東アジア・サミット(EAS)については、エネルギー協力、青少年交流、東アジア包括的経済連携の研究等の具体的協力をマレーシアとともに進めていきたいと述べた。また、次回EASの主要議題である環境・気候変動に関し、地球規模の排出削減につながる具体的成果を出し、EASの下での協力を発展させていきたいと述べた。

(2)平和構築

(イ)安倍総理より、マレーシアのミンダナオ和平支援への貢献を高く評価している。和平交渉が1年間中断しているという厳しい状況の中で、仲介役としてのマレーシアの役割は益々重要であり、アブドゥラ首相の一層の指導力発揮を期待すると述べた。

(ロ)これに対し、アブドゥラ首相より、ミンダナオにおけるこれまでの情勢の推移、マレーシア、そしてこの地域にとってのミンダナオの安定の重要性につき説明すると共に、ミンダナオの復興・開発への日本の貢献を歓迎すると述べた。

(ハ)両首脳は、両国が緊密に連携しつつ、この秋に予定されている平和強化セミナーの開催や、現地の行政分野の人材育成等を通じてミンダナオの復興・開発に関する具体的な協力を一層進めていくことで一致した。

(ニ)更に、安倍総理からは、東ティモール等の国連PKOに関する情報・意見交換や、平和構築のための人材育成等、平和構築分野での協力を深めていきたいと述べ、アブドゥラ首相も協力していきたいと述べた。

(3)海上安全・テロ対策

(イ)安倍総理より、マラッカ・シンガポール海峡における安全航行の確保は、我が国にとっても死活的に重要であり、我が国としては今後、この地域の海上安全についてより積極的に貢献していきたいと述べた。

(ロ)アブドゥラ首相は、マレーシアとしても、マラッカ・シンガポール海峡の安全確保に強い関心を有しており、そのために最大限の努力を続ける旨述べた。

(ハ)安倍総理より、マレーシアは近く日ASEANテロ対策対話第2回会合を主催されると承知しており、積極的な取組を評価する。この地域及び国際社会への重大な脅威であるテロへの対処について、二国間及び地域間の具体的協力を進めていきたい旨述べた。これに対し、アブドゥラ首相より、引き続き日本と協力していきたい旨述べた。

3.経済分野における協力

(1)日マレーシア経済関係

 両首脳は、昨年7月に日マレーシア経済連携協定(EPA)が発効して以来、貿易額、対マレーシア直接投資額共に増加しているとの認識の下、今後ともEPAの着実な実施に関し、緊密に協力していくことで一致した。

(2)日ASEAN包括的経済連携

 安倍総理より、日ASEAN包括的経済連携協定について、5月の経済大臣間の合意に基づき、8月末までに大筋合意し、11月の日ASEAN首脳会議において妥結したいと述べ、引き続き両国で協力していくことを確認した。

4.人材育成分野における協力

(1)東方政策が本年25周年を迎えたことを受け、両首脳はこの政策により促進されてきた両国間の草の根レベルでの交流を含め、人的交流を引き続き推進していくことで一致した。

(2)アブドゥラ首相より、東方政策はマレーシアの重要政策の一つであり、今後とも、学生や研修生の日本への派遣を続けたいと述べ、安倍総理より、日本としても今後ともマレーシアの人材育成に協力していきたい旨述べた。

(3)マレーシア日本国際工科大学(MJIUT)設立構想について、アブドゥラ首相より、現在両国で準備を進めているが、早期の実現を希望する旨述べた。安倍総理より、本件は、両国の協力案件として非常に重要なものであると考える旨述べ、引き続き双方で協力して準備を進めていくことで一致した。

(4)また、第2回東アジア・サミットで安倍総理が表明した「21世紀東アジア青少年大交流計画」(JENESYS)に関し、両国で協力して着実に実施し、両国間の若い世代の人的交流を更に強化していくことで一致した。

5.環境・エネルギー分野における協力

(1)両首脳は、気候変動問題を含む環境・エネルギー問題が全世界的な課題となっているとの認識の下、本日署名した共同声明に基づき、環境・エネルギー分野における協力を一層推進していくことで一致した。アブドゥラ首相より、自分は5月に訪日した際に、安倍総理の本件提案をその場で最初に聞いた者の一人であるが、自分は安倍総理の提案に対し、その場で支持を表明した。その気持ちは今も変わらない旨述べた。

(2)安倍総理より、本年1月に採択された、「東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言」以降、省エネ目標・行動計画を策定し、その実施をレビューする必要性が共有されつつある。今後これに基づくマレーシアの取組を支援したいと述べた。

(3)また、安倍総理より、持続可能な森林経営に向けたマレーシアの取組を評価しており、日本は、国際熱帯木材機関による支援等を通じ、マレーシアとの協力を継続していくことを表明した。

(4)両首脳は、二国間及び多国間の枠組みを通じ、エネルギー協力を一層推進していくことで一致した。これまでもアブドゥラ首相から要請のあったパーム油を活用したバイオ・ディーゼル燃料製造の技術開発や、太陽光発電等の持続可能なエネルギーに関する協力について今後とも推進していくこととなった。また、アブドゥラ首相より、タピオカからプラスチックを製造する技術の開発に関心を有している旨の説明があった。

6.国際場裡における協力

(1)北朝鮮

(イ)安倍総理より、六者会合の作業部会において、「次の段階」の措置の実施に向けた議論が始まっており、北朝鮮の非核化に向けた動きを加速させるべく、我が国も各国と連携して努力していく旨述べた。

(ロ)また、安倍総理より、拉致問題は日本にとり極めて重要である。我が国は日朝作業部会において、同問題と共に、北朝鮮が関心を有する「不幸な過去の清算」にも取り組む所存である旨説明した。

(ハ)これに対し、アブドゥラ首相より、六者会合では、一定の進展が見られる。また、優れた外交手腕と強力な指導力により、日本と北朝鮮との間の懸案が解決されることを望んでいる旨述べた。

(2)国連安保理

(イ)安倍総理より、日本の常任理事国入りをマレーシアが常々支持してくれていることに対し、謝意を表明した。また、安倍総理より、21世紀の国際社会の現実に則した安保理の実現が不可欠であり、引き続き安保理改革の早期実現と常任理事国入りを目指すので、協力を得たいと述べた。

(ロ)アブドゥラ首相より、国連改革について、全ての加盟国が受け入れられる解決案を求めるのは難しいが、改革は続けなければならない。世界中の人々にとって公正・公平な国連が世界の安定の達成を助ける。安倍総理の下、日本は国連で効果的な役割を果たせると思う。マレーシアは長年日本の常任理事国入りを支持している旨述べた。

(3)アフリカ支援

(イ)安倍総理より、来年5月、日本は第4回アフリカ開発会議(TICADⅣ)を横浜で開催する予定であるが、TICADプロセスでは、アジアの開発経験をアフリカで活用するという観点から、アジア・アフリカ協力を推進してきている旨説明した。

(ロ)安倍総理より、ザンビアの投資環境整備に対する我が国の支援へマレーシア人専門家の参加を得るなど、マレーシアはアジア・アフリカ協力を通じたTICADプロセスの重要なパートナーであり、TICADⅣについて、マレーシア政府からのハイレベルの出席を検討してほしい旨要請した。

(ハ)これに対し、アブドゥラ首相より、マレーシアとしても、同会議の成功に向けて、ハイレベルの代表の派遣も含め、積極的に協力していきたいと述べた。

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