安倍総理大臣

日本国政府とインド共和国政府による環境保護及び
エネルギー安全保障における協力の強化に関する共同声明
(仮訳)

英文はこちら

1.安倍晋三日本国内閣総理大臣及びマンモハン・シン・インド共和国首相は、本日、エネルギー安全保障と環境問題は国際社会の持続的かつ実効的な行動を必要とする重要な優先課題であるとの認識で一致した。両首脳は、両国経済にとって不可欠な安定的かつ入手可能なエネルギー供給を確保することの重要性を認識した。両首脳はまた、地球温暖化と気候変動問題を解決する喫緊の必要性を認識した。両首脳は、「戦略的グローバル・パートナーシップ」の文脈でこれらの問題に共に取組むことで一致した。

2.両首脳は、エネルギー安全保障と環境分野における意味のある前進は、加速化された経済・社会開発の可能性を阻害しない方法で、個別及び共同の努力によりなされなければならないとの認識で一致した。両首脳はまた、インドと日本は、これらの分野における地域的・世界的努力への貢献となる実際的かつ実効的な解決を見出すために協働できるとの点で一致した。

3.両首脳は、国連気候変動枠組条約、東アジア首脳会議(EAS)、EASエネルギー大臣会合、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)及び5ヶ国エネルギー大臣会合等の多国間の枠組みにおいて、相互に、また他国とともに、建設的に取り組む意図を確認した。

4.以上の認識に基づき、両首脳は、次に掲げる分野における対話と協力を強化する決意を表明した。

A.気候変動問題

 安倍総理は、気候変動対策として2007年5月に発表した提案「美しい星50」(Cool Earth 50)の主要な柱である「3つの提案と3つの原則」を説明した。シン首相は、気候変動を解決するためのグローバルな議論への貢献として、この提案を評価した。

 安倍総理は、特に大気中の温室効果ガス(GHG)の濃度を安定化させるため、世界全体の排出量を現状に比して2050年までに半減するという長期目標を設定する必要性を強調した。

 シン首相は、どのような特定の安定化目標やそれが達成されるべきタイムフレームの決定も、国連気候変動枠組条約においてなされるべきである点を強調した。これは、いまだ多くの不確実な点を含む現在のIPCCによる研究成果を越え、異なるレベルの温室効果ガスが与えるインパクトに関する科学的コンセンサスに裏打ちされなければならない。安倍総理の提案もまた、この文脈で真剣に考慮されるべきである。

 両首脳は、これらの問題に関する議論を様々な場で強化することの重要性を認識した。両首脳は、国連気候変動枠組条約の原則に沿う形での、すべての国が参加する温暖化対策のための2013年以降の柔軟、公正かつ実効的なグローバルな枠組み及び国際的な協調行動への決意を表明した。

 両首脳は、省エネルギー及びその他の技術の利用を含む緩和・適応戦略を通じ、経済成長と環境保全の相乗効果を確保する重要性を認識した。両首脳はまた、どのような安定化目標及びそれを達成するタイムフレームの決定も気候変動枠組条約の下でなされ、科学的コンセンサスに裏打ちされなければならないとの点で一致した。

 シン首相は、国民運動の展開を含む、京都議定書の設定する温室効果ガス排出目標を満たすための日本の努力を歓迎した。両首脳は、クリーン開発メカニズム(CDM)の利用促進のための協力を継続することで一致した。

 両首相は、それぞれ共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力の原則及び各国の状況に従い、それぞれの国で気候変動の解決に向け実際的措置を取る意図を確認した。

 シン首相は、志の高い途上国を支援するために、従来行っている資金協力を振り向けるのではなく、ある程度の長期で相当規模の新たな資金メカニズムを構築し、他の先進国や国際機関にも同調を呼びかけ、国際的に協調して行う安倍総理の意図を歓迎した。両首脳は、適応戦略に適切な資金を供給することの重要性を認識した。

B.エネルギー安全保障

 両首脳は、政府及び産業レベル双方におけるエネルギー分野での日印協力は、エネルギー安全保障の強化に向けた両国の努力を促進する上で相互に有益であるとの認識で一致した。両首脳はまた、エネルギー効率及び省エネ並びにクリーンエネルギーに関する協力、更に、インドの電力部門への日本企業の参加を通じた協力を含む、エネルギー部門における特定の協力プロジェクトを形成するために両国がとった措置に満足をもって留意した。

 両首脳は、エネルギー部門における包括的な協力を促進するために2007年7月にニューデリーで開催された第2回閣僚級日印エネルギー対話の成果を歓迎した。両首脳は、本対話が毎年開催され、その他のエネルギー部門における協力及び協働を含むべく、相互の同意によって、その対象範囲が拡大され得るとの結論に至った。

 両首脳は、エネルギー安全保障を確保し気候変動に取り組む手段として、特に本年1月の第2回東アジア首脳会議において発出された「東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言」に基づく自主的な目標と行動計画を実行することにより、エネルギー効率と省エネを促進することの重要性を再確認した。両首脳はまた、グローバルな対応の一部としてクリーンな技術を使用する重要性を確認した。安倍総理は、途上国に対し費用対効果の高い手段によりクリーンな技術を入手可能とすることの重要性を確認した。シン首相は、クリーンエネルギー技術における日本の知見を確認し、この重要な分野において日本の知見と技術をインドと共有するために協力するとの安倍総理の意志を歓迎した。シン首相は、可能なすべてのセクターにおいて、インドがエネルギー効率を高める為の一連の省エネ政策と措置の実施を加速化させることを確認し、安倍総理はインドの努力を歓迎した。両首脳は、インドでの指導員の養成、トップランナープログラムの導入、省エネ分野における専門家のキャパビル、新たな省エネ技術と方法に関する情報の普及と実演といった活動を通じた協力の重要性に留意した。両首脳は、インド政府が国内の5つの地域に設置予定の地域省エネセンターを通じてかかる提案を実施する可能性を探求すべく、日印エネルギー対話に対し指示した。両首脳はまた、日本の関連団体がその有する知識と技術の共有によってインド火力発電公社と協力するとの方法で、インドの発電所がエネルギー効率を高めるための協力の可能性を探求すべく、日印エネルギー対話に指示した。

 両首脳は、バイオ燃料を含む新エネルギー・再生可能エネルギーが、既に双方のエネルギー政策にとり重要な側面であることを認識し、この分野における更なる協力のあり方につき検討すべく、日印エネルギー対話に対し指示した。両首脳は、この重要な分野において、新エネルギー・再生可能エネルギーを促進するという共有する意志の象徴として、この重要な分野で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるバガス・エタノール製造のモデル事業につき議論を早期に開始することで一致した。

 両首脳は、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)において、よりクリーンでより効率的な技術の開発、普及及び移転に向けたセクター別の取組が有意義な貢献を行っていることを確認した。両首脳は、APPにおいて両国のパートナーシップの下で官民協力を促進することを決定した。両首脳はまた、2007年7月にニューデリーで行われた閣僚級エネルギー対話において、クリーン・コール・テクノロジーの分野での協力に向けた両国のイニシアティブを歓迎した。安倍総理は、次回のAPP閣僚級会合を開催するとのインドの申し出を歓迎し、両首脳はAPPの更なる発展に向けたそれぞれの貢献を強化する意図を確認した。

 両首脳は、インドにおいて急増する電力需要を満たし、エネルギーアクセスを改善するために、発電所や送・配電網といったエネルギー・インフラ整備を拡充することの重要性につき認識した。安倍総理は、インドの社会経済状況と開発の必要性を考慮しつつ、インドへの支援を継続する意図を表明した。両首脳は、料金に基づく競争入札により、インドで進められている巨大発電所計画への日本企業の参加の可能性を歓迎した。両首脳は、さらに、発電、設備製造、送配電を含む電力部門の様々な分野への日本企業の参入の可能性を歓迎した。両首脳は、また、高効率発電機の製造に向けた日印企業による民間セクターの合弁事業の設立を歓迎し、需要・供給双方に使用される他のエネルギー多消費機器に対しても同様の協力を推進するとの希望を強調した。

 シン首相は、国際エネルギー機関(IEA)と協力しつつインドの戦略的石油備蓄制度を整備する意欲を表明した。安倍総理はこのイニシアティブを支持する意図を確認した。

 両首脳は、インドのエネルギー資源研究所(TERI)と日本のNEDOが本年11月にデリーにおいて第2回日印エネルギー・フォーラムを開催するとの決定を歓迎した。

C.環境

 両首脳は、環境問題が地球規模の課題であることを認識し、持続可能な開発を支える包括的な方法でこれらの課題に対処するため、二国間及び多国間の枠組みの下で両国間の対話を継続・強化することを決定した。また、両首脳は、地域及び地球規模の環境問題を含む様々な分野で二国間協力を促進する意図を確認した。

 両首脳は、環境保護を促進するために、環境法令の実効的な仕組みが重要との認識で一致した。両首脳は、環境に関する多国間協定の下で両国が有する権利及び義務を再確認した。

 両首脳は、持続的な社会・経済発展の面から生物多様性の保全が重要であることを認識し、相互の協議を通じてこの分野における協力を更に促進することで一致した。

 両首脳は、安全な飲料水と適切な衛生施設へのアクセスを改善することは、持続可能な開発を達成する上で重要であるとの認識を共有し、この目的を達成するために二国間及び多国間の協力を推進することで一致した。

 両首脳は、持続可能な森林経営の促進は、気候変動への対処及び生物多様性の保全の観点から重要であるとの認識で一致し、国際熱帯木材機関(ITTO)における協力等の二国間及び多国間の協力を通じて、植林や再植林、違法伐採対策、生物多様性の保全を促進するために努力する意志を確認した。

 両首脳は、教育及びその他広報活動を通じ、環境問題に対する公共の関心を高めることの重要性につき一致した。シン首相は、アジア協力対話(ACD)の枠組みの下で日本が推進している「環境教育推進対話」などの日本の努力を評価した。安倍総理は、インドが2007年11月に第4回国際環境教育会議を主催することを歓迎した。両首脳は、この分野で引き続き協力することで一致した。

2007年8月22日
ニューデリー

日本国内閣総理大臣
インド共和国首相
このページのトップへ戻る
目次へ戻る