岡田外務大臣は,29日夜から30日にかけてモンゴルを訪問し,ザンダンシャタル外交・貿易大臣との間で外相会談を行った他,エルベグドルジ大統領及びバトボルド首相への表敬等を行ったところ,概要は以下のとおり。
【ポイント】
- 外務大臣としてのモンゴル訪問は2004年以来6年ぶり。
- モンゴル要人との会見,会談においては,本年中のエルベグドルジ大統領の来日を含むハイレベル交流の一層の促進,資源・エネルギー,日モンゴルEPAなどの経済関係の強化,地域・国際場裡での協力の推進などで一致。
- 両国関係を「総合的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」に発展させるため,それに相応しい関係とするために,特に経済面での協力の一層の強化に努めていくことで双方が一致。
- その他,岡田大臣は,日本人抑留中死亡者慰霊碑を訪問の上,献花。
【概要】
1 モンゴル要人への表敬及び日・モンゴル外相会談
岡田大臣は,30日(月曜日)午前9時(日本時間同午前10時)前から約1時間,ザンダンシャタル外交・貿易大臣との間で日モンゴル外相会談を実施。その後,バトボルド首相及びエルベグドルジ大統領をそれぞれ表敬。これらの会談及び表敬におけるやりとりの概要は以下のとおり。
(1)二国間関係総論
- ア モンゴル側から,今回の岡田大臣のモンゴル公式訪問を高く評価し,深く感謝する旨発言。
- イ 双方は,本年中に行われる予定のエルベグドルジ大統領の来日の成功に向けて,今後緊密に協力していくことで一致。
- ウ モンゴル側から,日モンゴル関係を,これまでの「総合的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」に発展させたい旨発言。これに対し,岡田大臣から,モンゴル側の考えに賛同する,その上で,双方は,「戦略的パートナーシップ」に相応しい関係にすることが重要であり,そのために特に経済面での協力の一層の強化に務めていきたい旨述べた。
(2)経済
- ア 双方は,資源・エネルギー面での協力を一層強化することで一致。岡田大臣から,ウラン開発及びタバン・トルゴイ炭田開発への日本企業の参入に対し,モンゴル側から政策的に支持する方針を伺っているが,今後も引き続き右方針を堅持するよう要請。また,岡田大臣から,ウランや石炭に加えて,モンゴルにおけるレアアースについての将来的可能性に関心を有する日本企業も少なくない旨紹介。
- イ 岡田大臣から,資源・エネルギーの安定的供給という観点から,日本政府は本分野でのモンゴルとの協力を重視しているが,日本企業はリスクを伴いながら投資を行うつもりであるので,その投資の結果一定のリターンがあることが重要である旨発言。これに対し,モンゴル側から,日本企業が安心して投資できるよう,法整備を含め,投資環境の整備に今後一層努力していきたい旨応答。
- ウ モンゴル側から,外国との間では初めてとなる日本とのEPAの早期締結に向けて,交渉に向けた官民共同研究の開始を歓迎する旨発言。これに対し,岡田大臣から,右共同研究の報告を踏まえつつ,来年度早期にも交渉が開始できるよう検討している旨発言。
(3)地域・国際場裡における協力
- ア モンゴル側から,国連安保理改革に関する日本の立場,特に,日本の安保理常任理事国入りを支持してきており,これからもその支持は不変である旨発言。これに対し,岡田大臣は感謝。
- イ 北朝鮮に関し,外相会談において,岡田大臣から,核・ミサイル問題は日本を含む地域の安全保障上の非常に懸念すべき問題であり,また,拉致問題は人権上の重大な問題である,日本は,米国及び韓国と連携し,安保理決議第1874号に基づく制裁をしっかり実施していくことが重要である旨発言。これに対し,ザンダンシャタル外交・貿易大臣から,北東アジアの一員としてモンゴルはこの地域の平和と安定及び繁栄をこころから願っている,その観点から,安保理決議がしっかりと実施されることを願っている旨発言。
2 日本人抑留中死亡者慰霊碑献花
岡田大臣は,外相会談に先立ち,日本人抑留中死亡者慰霊碑を訪れ,第2次大戦後,強制的にモンゴルに抑留され,祖国の土を踏むことなくモンゴルで亡くなられた方々を偲び,献花。