岡田外務大臣

岡田外務大臣のタイ訪問(結果概要)

平成22年8月23日

【ポイント】
  • インド訪問(21~22日)に続き,22日(日曜日)夜から23日(月曜日)にかけ,タイを訪問。国際会議出席等でない日本の外相のタイへの二国間訪問は5年ぶり。
  • カシット外相と日タイ外相会談を行い,村本氏死亡事件捜査の進捗について説明を受けるとともに,地域情勢や国連安保理改革について意見交換。
  • アピシット首相を表敬。村本氏の事件の早期真相解明やデモ被害を受けた日系企業への補償につき働きかけるとともに,マプタプット,メコン地域協力,タイ・カンボジア関係について意見交換。
  • 入院中のプーミポン国王陛下の快癒を祈って記帳。また,村本氏事件現場を訪問し,献花。
  • 現地日系企業関係者等との間で,先般のデモ活動による被害への対応を含め日本企業がタイにおいて円滑に事業を行う上での課題等につき意見交換。
  • 我が国ODA協力現場(バンコク地下鉄プロジェクト及びアジア太平洋障害者センター・プロジェクト)の視察及び関係者との意見交換。

1 日タイ外相会談(23日午前)

  1. (1)日タイ関係

     岡田外相から,日本の外相の二国間訪問としては5年振りとなるタイ訪問となったが,タイは日本にとって長い伝統と深い友好関係をもつ国であり重要視している,日本・タイともに,民主主義国であり,両国が協力してASEANやアジア地域をリードしていきたい旨述べました。
     これに対し,カシット外相から,今次外相訪問を両国間の友好を深める機会として大事に思っている,社会的に変動の時を迎えているが,民主主義の下で変革を進めていくことが重要である,タイの安定性への信頼を持ってもらえるよう努力していきたい旨述べました。

  2. (2)タイ情勢

     岡田大臣から,村本氏死亡事件の現場を同日訪問したこと,本事件に対して日本側が高い関心を有していることに言及した上で,捜査の進展状況について承知したい旨述べました。
     これに対し,カシット外相から,先般の騒乱での死傷者の発生についてタイ政府としても重く受け止め,特に,外国人の犠牲者については重要視して法務省特別捜査局が捜査に力をいれており,様々な情報を集めて日本側にも伝達してきている,早期解決に努力しているが,情報・証拠が不足しており,タイ側としても困難な捜査を強いられている,本日法務省からも発表があるが,いずれにせよ早急な進展に向け取り組んでいく旨述べました。

  3. (3)マプタプット問題

     岡田大臣から,マプタプット問題の早期解決を期待している,引き続き協力していきたい,操業停止している企業が早期に再開できることを期待している旨述べました。
     これに対し,カシット外相から,本件についてはアピシット首相をはじめとしてタイ政府は熱心に取り組んでいる,憲法との関連で国民参加を確保する必要があり,様々な委員会を設置する等して早期解決を目指して対処している,一方で民間側の負担にも配慮しなければならず,毎週のように関係者で話をしている,然るべく支援をしていきたい旨述べました。

  4. (4)国連安保理改革

     岡田大臣から,国連安保理改革を進めることは,国連の正統性を一層高め,アジアにとっても利益になると考える,今後,具体的な成果を得るために行動していきたいので,タイの積極的な協力と支持をお願いしたい旨述べました。これに対し,カシット外相から,日本が世界でより一層大きな役割を果たし,アジアや世界でリーダーシップをとることをサポートしていきたい旨述べました。

  5. (5)ミャンマー情勢

     岡田大臣から,ミャンマー政府が総選挙を11月7日に行うことを発表したことを踏まえ,スー・チー女史等政治犯の釈放がなされぬまま選挙が行われるとすれば,自由・公正で開かれた選挙とは異なり遺憾,日本としては自由・公正で開かれた選挙が行われることが大事である旨を引き続き働きかけていきたい旨述べました。これに対し,カシット外相から,選挙が実施されることは政党の多様化の最初のステップとして歓迎したいが,選挙が信用しうるものになるためには政治犯の釈放が引き続き必要であることを訴えていきたい,また,民営化の促進やNGOの活動支援などを通じてミャンマーの人々の人材開発・育成に協力していくことが大事である旨述べました。

  6. (6)タイ・カンボジア関係

     岡田大臣から,最近の情勢について照会したところ,カシット外相から,両国関係をグッドガバナンスの下で発展させていきたい,早期に二国間関係上の進展があることを期待している旨述べました。

  7. (7)地域情勢

     その他,中国,第三国協力,インド,地域国際分業等に関して意見交換が行われました。中国については,カシット外相から,対中関係は重要な問題であり,政策の透明性を求めていきたい旨述べたのに対し,岡田外相からは非常に重要な国であり,率直に話し合える関係が重要であって南シナ海等の問題についても関心をもって対処していきたい旨述べました。また,第三国協力については,カシット外相から,アジア太平洋障害者センターの協力について言及しつつ,タイを舞台とした第三国研修の意義の大きさについて言及がありました。

2 アピシット首相表敬(23日午後)

  1. (1)日タイ関係

    岡田大臣から概要以下を述べました。

    1. (ア) 日本とタイの関係は歴史的にも産業面でも深く,非常に重視している。
    2. (イ) 邦人の安全確保は,日本政府,外務省にとって,最も重要な仕事の1つであり,村本氏の事件については,早期の真相究明を御願いしたい。被害を受けた日系企業への補償についてもよろしくお願いしたい。

    これに対し,アピシット首相からは概要以下を述べました。

    1. (ア) 日タイ関係の重要性は変わらず,タイ経済が回復基調にある中,日タイ経済連携協定をより一層活用し,日タイ信頼関係を深めていきたい。
    2. (イ) 村本氏の件については,改めてお悔やみを申し上げる。法務省特別捜査局が捜査の進展に努めており,大使館にも情報提供しているが,証拠が十分でない面がある。引き続き捜査の進展に努めたい。被害を受けた企業については,しかるべき対応をしていきたい。
    3. (ウ) マプタプットの件については,本日環境委員会があり,規制対象業種についての基準が示された。日本からのこれまでの公害対策,環境面の協力に感謝する。
  2. (2)メコン地域協力

     岡田大臣より,10月には第2回日メコン首脳会議が開催される。域内格差是正,連結性確保,環境・気候変動の面(グリーンメコン)で日タイ協力を深めていきたい旨述べました。 これに対し,アピシット首相からは,連結性強化についての日本側の協力に感謝する。日タイ協力して近隣諸国の人材育成に努めていきたい旨述べました。

  3. (3)タイ・カンボジア関係

     岡田大臣から,タイ・カンボジア関係について,もちろん両国間の問題ではあるが,心配して注視している旨述べ,アピシット首相からは,心配に感謝する,近く具体的に二国間関係の進展が実現することを確信している旨述べました。

3 シリラート病院での記帳(23日午前)

 岡田大臣は,昨年9月からプーミポン国王陛下が入院するシリラート病院を訪れ,同国王陛下の早期の回復をお祈りし,記帳を行った。

4 邦人死亡事件現場訪問(23日午前)

 岡田大臣は, 本年4月10日に反政府デモと治安部隊との衝突が発生した際に死亡した村本博之氏の事件現場を訪問し,献花を行った。

5 我が国ODAの視察(23日午前)

 岡田大臣は,バンコクにおける交通渋滞と大気汚染の緩和のために我が国の有償資金協力で建設されたバンコク地下鉄プロジェクト,並びに我が国の無償資金協力及び技術協力によるアジア太平洋障害者センター・プロジェクトを視察し,ODAの更なる効果的・効率的実施に向け,関係者との意見交換を行った。

6 トヨタ・バンポー工場の視察(23日午後)

 岡田大臣は,タイ・トヨタのバンポー工場を訪問し,タイ国内をはじめ世界100カ国以上向けに輸出される車の製造ラインを視察した。また,同工場が進める環境配慮の取組として行っている植林やビオトープエリアを視察し,敷地内で記念植樹を行った。

7 日本人会役員による表敬・日系企業関係者との懇談(23日夕刻)

 岡田大臣は,日本人会役員と懇談を行い,日本人学校の運営等を含むタイにおける在留邦人社会の現状やバンコクでの生活,安全等の課題について意見を聞くともに,我が国政府としての取組について出席者と意見交換を行った。
 また,岡田大臣は,バンコク日本人商工会議所関係者とも懇談を行い,先般のデモ活動による被害への対応を含め日本企業がタイにおいて円滑に事業を行う上での課題等に関し意見交換を行った。

このページのトップへ戻る
岡田外務大臣のインド,タイ訪問 |  岡田外務大臣 会談・訪問 |  目次へ戻る