中曽根外務大臣

日韓外相会談共同記者会見

平成21年2月11日

(写真)

 11日11時20分より約20分間、中曽根外務大臣は、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官との間で、共同記者会見を行ったところ、概要以下のとおり。

【柳明桓長官冒頭発言】

 まず、中曽根弘文外務大臣の就任後初の訪韓を心より歓迎いたします。今年に入って韓国を訪れた最初の首脳及び外相が両方とも日本の麻生総理と中曽根外務大臣という事実は両国関係の重要性をよく表していると考えます。

 本日の会談では、未来志向的両国関係の発展の方向について様々な有益な議論がなされました。会談の結果について簡単に説明いたします。

 まず、両国首脳間のシャトル外交に関しては、先月のソウル首脳会談で合意したとおり、今年の適切な時期に李明博(イ・ミョンバク)大統領の訪日を検討するという点を再確認しました。また、中曽根大臣の私に対する訪日要請についても、可能な限り早期に訪日するために日程を調整する意向を明らかにしました。

 金融・経済協力の強化に関しては、中曽根外務大臣と私は世界的な金融・経済危機を早期に克服するため、両国間の諸般の協力を積極的に推進することで合意しました。

 両国は、保護貿易主義の防止及び実体経済の回復のため、4月にロンドンで開催されるG20金融サミット等の契機に緊密に協調し、日本は韓国の金融安定化フォーラム加入を支持することとしました。さらに両国は、WTO、OECDなどの関連国際機関においても一層協力を強化することとしました。また、部品・素材産業専用工業団地における日本企業の投資を活性化させ、2012年麗水博覧会の成功に向け共に協力し、日韓FTA交渉再開の検討及び環境醸成のための実務協議首席代表のレベルを審議官級に高めて議論することとしました。

 中曽根大臣と私は、両国間の人的・文化的交流拡大が未来志向的な「成熟したパートナーシップ関係」を強固にする上で非常に重要であるという点で意見が一致しました。2005年以降ソウルにおいて開催されてきた「日韓交流おまつり」を今年は9月頃にソウルと東京で連携して開催することとし、自治体間の交流を奨励し、文化分野での有識者で構成される第3期日韓文化交流会議も可能な限り早期に発足させることで合意しました。

 北朝鮮に関しては、両外相は最近の北朝鮮の一連の強硬発言などの意図的に緊張を高める行為について憂慮を共有し、北朝鮮が域内の安全に寄与する方向で行動することを促しました。あわせて、検証可能な北朝鮮の非核化実現のため、両国が今後も六者会談等で引き続き緊密に協力していくこととし、新たに発足した米国政府を含む関係諸国と早期に具体的な対策を協議していくこととしました。

 国際舞台での協力に関し、中曽根外務大臣と私は、気候変動等の人類が直面している諸般の世界的な課題の解決に共に寄与するため日韓間の協力の拡大の必要性について共感しました。

 先月1月12日の日韓首脳会談で合意されたアフガニスタン再建を支援するための共同協力事業に関し、具体的には職業訓練、共同研修及び大豆品種開発などの農業分野での事業を推進することに合意しました。

 また、国連改革を含めマルチ問題全般に関する第1回日韓高級事務レベル協議を開催することにし、ソマリア沖の海賊問題の対処についても緊密に協力することとしました。

 ありがとうございました。

【中曽根外務大臣冒頭発言】

 柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官からの御招待を頂き、今回韓国を訪問する機会を得ることができ、嬉しく思います。柳長官を始め、今回準備に携わられた韓国の方々にまず御礼申し上げます。

 ただいま柳明桓長官からも御紹介があったように、本日は、長官と、非常に有意義な会談を行うことができました。私と柳明桓長官との会談は2回目ですが、ここ4か月の間に、首脳会談も3回行われています。このように頻繁に首脳会談、外相会談が行われることは、他に類を見ないのではないかと思います。

 最近の日韓両国間の首脳会談や外相会談では、日韓二国間関係について意見交換するのみならず、北朝鮮やアフガニスタン、ソマリアの海賊対策など、国際社会が直面する様々な課題についても幅広く意見交換を行っており、日韓関係は、国際舞台でも協力し合う関係になってきています。今日の会談では、日韓関係が、そのような未来志向の「成熟したパートナーシップ関係」に成長してきていることを改めて確認し、この流れを一層強化していくため、共に協力していくことを確認しました。

 柳長官とは、アフガニスタン支援における日韓協力についても話し合い、まずはカブールの職業訓練センターに日韓両国が専門家を派遣する支援及びNGOの大豆栽培計画に対する日韓共同支援から開始し、今後とも更なる協力の可能性について検討していくことで一致しました。

 日韓両国の共通の課題である北朝鮮問題についても、じっくりと意見交換を行いました。私から、北東アジアの平和と安定を達成するためには、核、ミサイル、更には拉致問題を含む人権問題の包括的な解決が必要であることを指摘しました。長官からは、拉致問題に関する我が国の立場に対する支持を改めて表明いただくとともに、六者会合を通じて北朝鮮の非核化を実現するため、日韓両国、更には日韓米3か国の緊密な連携が重要であることで一致しました。

 本日の会談では、日韓両国間の教育や交流について、重点的に話し合いました。「成熟したパートナーシップ関係」を強化するためにも、国民レベルの交流は非常に重要です。本日は、これまでソウルで実施してきた「日韓交流おまつり」を今年は東京でも開催することに合意するとともに、第3期日韓文化交流会議を立ち上げることで一致しました。また、私からは、第2期の日韓理工系学部留学生事業を、第1期同様、10年間1,000人の規模で実施したい旨申し上げました。

 「国際社会に共に貢献する日韓関係」については、先の首脳会談で「日韓新時代共同研究プロジェクト」を始動することで一致しておりますが、本日の会談では、このプロジェクトの発足総会を今月23日に東京で開催することを確認しました。

 最後に改めて、私を温かく歓迎していただいた柳長官を始め、韓国の皆様に心より御礼申し上げます。カムサハムニダ。

【質疑応答】

(問)

 両外相が合意した部分で注目されるのは、国際問題における日韓協力への合意ですが、アフガニスタン再建やソマリア海賊以外の分野でも、今後日韓が協力を検討できる分野があれば紹介していただけますか。また、韓国側にとっての国際問題における日韓協力の意義について詳しく説明していただけますか。

(柳明桓長官)

 私が冒頭発言で説明し、中曽根大臣も説明されましたが、特にアフガニスタンでの国家再建において、我々が日韓の協力を良い案と考え、まず我々が職業訓練であるとか、農業支援、共同研修事業を実施することにしました。また、事業の規模は現地の状況に合わせ、実務レベルでもう少し協議しなければならないと考えています。

 その次にソマリア海賊問題も非常に国際的に重要な問題であり、既に国連安保理決議でも日韓両国が共同提案国に加わっているため、両国がソマリアに艦艇を派遣する場合、様々な情報交換であるとか、船舶護送の際に両国艦艇が協力する案についても考えてみることができます。

 そのほか、国際舞台で様々な協調・協力を行う分野を発掘することにしましたが、これは韓国と日本が民主主義と市場経済等の価値を共有する非常に近い友好国として、また文化的にも日韓両国が互いをよく理解できる隣国として、各自の経験を生かして協力する場合、シナジー効果を出すことができるという考えを持っています。

 特に日韓両国は蓄積されたソフトパワーと様々な開発援助の経験を活用し、アフリカ開発援助のみならず、金融危機克服、気候変動、環境問題への対応、不拡散、テロ対策など、多様な分野で協力していけると考えています。

(問)

 オバマ政権発足に当たり、今後、北朝鮮問題に対して、どのように取り組んでいくか、日韓、日米韓の連携についての考えをお聞かせ願いますか。

(中曽根外務大臣)

 北朝鮮をめぐる問題の解決には、言うまでもありませんが、日韓、日韓米の連携が極めて重要です。本日の会談で、北朝鮮問題についても柳明桓(ユ・ミョンファン)長官との間で、しっかりと意見交換することができました。

 来週にはクリントン米国務長官が、日本、韓国を訪問されます。本日の会談を踏まえ、私も、また、柳長官も、六者会合を通じた北朝鮮の非核化の実現に向け、日韓米の連携強化について、クリントン長官と意見交換を行うこととなると思います。

 また、柳明桓長官から、拉致問題に関する我が国の立場への支持と協力を改めて表明いただき、大変心強く感じました。

(問)

 まず、大臣の韓国訪問を歓迎します。質問は二つあります。

 一つは、最近のグローバル金融危機と共に、これに脆弱なアジアの問題点が改善されなければならないという声が出ています。日本と韓国が協調し、新たなアジア圏での金融秩序再編を議論する可能性はあるのでしょうか。

 もう一つは、日韓両国の間に依然として存在する葛藤についてです。これまでも首脳会談を通じて何度か未来志向の関係樹立を打ち出したにもかかわらず、独島(ママ)問題と中学校社会科学習指導要領解説、海洋調査の問題等が摩擦要因となってきました。今年も高校教科書の解説の発刊等が予定されていますが、このような問題を克服し、日韓関係を未来志向的に導いていくための日本側の方策はあるでしょうか。

(中曽根外務大臣)

 韓国は、世界の中でも、国際経済、金融分野の主要なプレーヤーです。そのような考えから、日本は、韓国の金融安定化フォーラムへの加入を支持しています。また、チェンマイ・イニシアティブのマルチ化の早期実現に向け、引き続き韓国と共に取り組んでいきたいと考えています。4月のロンドンでの金融・世界経済サミットは、危機克服に向け意見交換を行う重要な機会であり、アジアの二大先進国たる日本と韓国で、緊密に連携して対応したいと思います。

 二つ目の質問については、いかなる二国間関係においても、どの国とどの国の関係でもそうだと思いますが、問題が全くないということはないと思います。しかし、両国の先人達は、これまでも、知恵を絞って、問題を乗り越えてきました。今後も、両国が冷静に話し合い、大局的観点から、日韓友好関係の一層の発展に向け努力していかなければならないと思います。

 日韓両国は、北朝鮮問題やアフガニスタン支援など、国際社会の共通の課題に共に貢献することにより、それぞれの力を一層効果的に発揮することができます。未来志向の「成熟したパートナーシップ関係」を確固たるものとする、との強い決意の下、政府間の連携のみならず、国民レベルも交流を一層促進し、相互理解を更に深めていくことが重要であると思います。

(問)

 拉致被害者の田口八重子さんの御家族が金賢姫さんに会いたいとの意向を有していますが、韓国側は受け入れる考えはありますか。受け入れるのであれば、その準備状況はどうでしょうか。また、仮に実現するのであればいつ頃になるでしょうか。

(柳明桓長官)

 金賢姫さんが最近マスコミとのインタビューを通じて田口八重子さんの家族と会いたいという意向を表明しました。そして、田口八重子さんの御家族も金賢姫さんとの面会を希望しているため、おそらく遠からず面会が実現するものと承知しています。現在、面会に関する具体的な事項は調整中であると承知しています。

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