岸田外務大臣

日豪外相共同記者会見(概要)

平成25年1月13日
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 1月13日,岸田大臣とカー豪外相は外相会談終了後,共同記者会見を行ったところ,概要以下のとおり。

1 冒頭発言

(1)カー豪外相冒頭発言

 岸田大臣が外務大臣としての初の外国訪問の締めくくりとして豪州を訪問されたことを歓迎。岸田大臣は就任以降まだ2週間足らずではあるものの,すでに私と電話会談を行っており,本日顔を合わせて会談を行った。岸田大臣から,オーストラリアが山火事に見舞われる中,寛大かつ思慮深いお見舞いの言葉をいただいた。日本とオーストラリアは災害に直面した際,互いに支えあうという歴史を有している。外相会談の中で,国連安保理における豪州の役割について話し合った。日本は,現在国連非常任理事国ではないものの,多大な経験を有している。また,北朝鮮による最近のミサイル発射にも言及し,これがいかに不安定要因となっているかについて話し合った。北朝鮮によるミサイル発射などの我々に不満感を与えかつ違法な行為に対する国連安保理の対応を形成するにあたり,日本と密接に協力することが出来ることを期待している。また,アフガニスタン,シリア,イラン,アフリカなどの他,広範な課題について話し合った。日豪両国それぞれのアプローチを互いに理解することは重要である。東アジア地域についての動きについても勿論議論を行った。さらに国際協力,経済成長についても議論した。地域の戦略的変化についても少々議論した。特に日本,韓国,米国,中国において新政権が発足し,ダイナミックな時勢となっている。非常に生産的な午後を過ごせた。特に政権発足間もない時期に,日本の友人たちにオーストラリアにおいでいただき,改めて感謝申し上げる。先般,安倍総理は,アジア地域の重要性に言及された際,日本はオーストラリアを含むアジア諸国と協力する必要性があると発言された。オーストラリアとしても「アジアの世紀におけるオーストラリア白書」を受け,まさにそのようにアジアの一員としてみなされたいと考えている。

(2) 岸田大臣冒頭発言

 今回,ASEAN諸国に続いてオーストラリアを訪問し,カー外務大臣と会談できたことを嬉しく思う。暖かくおもてなしていただいたことに感謝する。まず,年明けにタスマニア及びその他の地域で発生した山火事で被災された方々に心からのお見舞いを申し上げる。オーストラリアの皆様方から東日本大震災の際に日本に対して差し伸べていただいた友情と支援に対する感謝の気持ちを改めて想起した。日本とオーストラリアは,戦後一貫して,経済や人的交流の面で特別に緊密な関係にあるとともに,共に米国を同盟国として持ち,価値と利益を共有する戦略的パートナーである。今般の訪問を通じて,両国の関係の重要性について改めて確認した。カー外相との会談においては,アジア太平洋地域の戦略的環境やグローバルな諸課題等の共通の関心事項について意見交換を行い,日本とオーストラリアとの政治・安全保障・経済関係の強化,国連や太平洋島嶼国支援等の国際的な課題への取組における協力関係強化について有意義な議論を行った。カー外相から,国連や太平洋島嶼国支援につき両外相間で一致した旨説明いただいたが,日本側としてもしっかり取り組みたい。オーストラリアは,本年から2年間,安保理非常任理事国を務める。安保理の文脈で,双方の首都及びニューヨークでの協議の定例化を含め緊密に協力していくことで一致した。特に,先般の北朝鮮による弾道ミサイル発射は,安保理決議の明白な違反であり,安保理として断固たる対応をとることが重要であることについて一致した。また,軍縮・不拡散イニシアティブの推進のために緊密に連携していくことも確認した。このように多くの分野において両国の協力を強化していきたい。

2 質疑応答

 (問1)カー大臣に問う。先週,米国国務省幹部のカート・キャンベル氏が,昨年日韓関係が悪化したことへの強い懸念を表明し,日本に韓国との関係を再構築するために注力すべき旨促すとともに,今週同氏が訪日する際には同見解を日本側に伝えるつもりだと話していた由。カー大臣はこの見解に同意するか。また,この種の考えについて本日岸田大臣に提起したのか。仮に日本が,今後,1993年の河野談話を含む過去に発出した第二次世界大戦を巡る歴史的問題に関する談話に変更を加えるとすれば,オーストラリアとしてどのような立場をとるか説明願いたい。また,岸田大臣に問うが,日本の新政権は例えば1993年の河野談話のような従来の立場について何らかの変更を加える予定なのか。(フィナンシャル・タイムズ紙 グレッグ・アール記者)

 (カー外相)日豪は,本日議論した様々な課題につき多くの点で明確な意見の一致を見た。日本はアジアにおける最も重要なパートナーかつ友人であり,さらに第二の貿易相手国でもある。地域の戦略的課題に対する見方についても日豪両国間の意見は驚くほど一致している。例えば,日豪両国はそれぞれ米国の同盟国でもある。朝鮮半島についても時間を割いて議論を行った。自分から,豪州は今般の北朝鮮によるミサイル発射による不安定化の影響に鑑み,北朝鮮への制裁を含む安保理の決議案作成について日本と緊密に連携すると述べた。北朝鮮のミサイル発射時にこれを非難した安保理決議に明らかに違反しており,この違法行為に直面した日本と韓国に,オーストラリアは連帯の意を表明した。したがって,北東アジア地域における安全保障と平和の強化こそが最優先の考慮事項であり,これは日韓首脳レベルでの合意と協力により促進される。オーストラリアにとって日韓両国ともに重要な友好国であることから,両国間のいかなる相違も解決されることを願っている。1993年の河野談話については,近代史において最も暗い出来事の一つを確認した談話であると認識しており,この談話の再検討は誰の利益にもならないと考えている。

 (岸田大臣)歴史認識について,日本は,戦後50年に村山談話を発し,戦後60年に小泉談話を発している。安倍総理は,このような談話を引き継ぐことを明確にしている。1993年の河野談話について,安倍総理は,慰安婦問題について筆舌に尽くしがたい辛い思いをされた方々のことを思い,非常に心を痛めている。この点について,歴代の総理と思いは変わっていない。日本と韓国の間には,竹島問題をはじめ難しい問題が発生しているが,是非大局的な観点から平和的に解決する姿勢を大事にしていきたい。

 (問2)戦略的な課題について多く議論された由であるが,2007年に安倍総理が安保共同宣言を発表したが,6年経ってアジア太平洋で戦略環境が変化しており,尖閣諸島周辺で中国が動きを活発化させる中,事態をエスカレートさせず,大局的に戦略的な観点から地域の平和と安定を守るため,具体的に日豪で協力できることは何か。(テレビ朝日 山下記者)

 (岸田大臣)今回の外相会談では,地域の平和,安定及び繁栄を確保するとの共通の戦略目標の達成のための協力を議論し,その中で中国との関係についても意見を交換した。日本は,中国との間で大局的見地から戦略的互恵関係を進めており,地域及びグローバルな課題への取組において協力及び対話を一層強化していく。日本としては,地域の繁栄と安定のため,中国の建設的な役割を期待しており,この認識はオーストラリアとも一致した。アジア太平洋地域の戦略環境は大きく変化しているが,その中にあっても,日本はこれまでも,共通の価値と利益を共有する「戦略的パートナー」であるオーストラリアと,安全保障及び防衛に関する事項について緊密に協議してきた実績がある。今後とも,継続的に取り組んでいきたい。

 (カー外相)日本との関係において,オーストラリアの優先事項は強固な二国間関係及び米国を含む日米豪関係を引き続き構築していくこと。これらの取組は全て地域の安定のみならず,災害救援においても重要。この協力の利益は,例えば,2011年の日本での災害を受けて豪州が行うことが出来た貢献によって示された。オーストラリアは米国以外の軍のアセットを被災地に送り,日本を支援した唯一の国であり,これは日豪関係及び日豪米関係の強さの証左。日豪は共にアジア太平洋地域の民主主義国の仲間であり,自然なパートナーである。我々の関係は地域の安定と繁栄に貢献しており,以前にも述べたことがあるとおり,この日豪関係は中国の封じ込めのためのものでは全くないことを再度述べたい。オーストラリアは日本との関係をさらに強化していくが,日豪関係強化は豪中関係及び日中関係強化とも共存できると認識している。国際関係はゼロサム・ゲームではない。日豪両国にとって中国は重要なパートナーである。日豪関係は非常に良好であり,多くの点で重要。

 (問3)両大臣に感謝。日米豪の3か国間の関係について言及があった。日米豪3国間の防衛関係の強化に関し,どのような有意義な進展は見られたか。また,安倍総理が過去に支持していた日米豪とインドとの安全保障協力の余地はあるのか。(リック・モートン記者,オーストラリアン紙)

 (カー外相)日豪間における実際的な防衛協力については,特に科学技術分野に重点を置いて継続的な話し合いを進めている。日本との関係において,優先事項は,第一に二国関係強化,第二に両国の同盟国である米国を含めた日米豪での関係強化である。三か国協力は,以前も述べたとおり,地域の安定と繁栄,災害救援にとって意味を持つ。オーストラリアはインドとの二国間関係を強化すべく努力している。日本も同じ努力を行っていると承知。

 (岸田大臣)新しい安倍政権において,政権における外交の柱として,まず日米同盟の強化,第二の柱としてオーストラリアをはじめとする近隣諸国との関係を重視していく。日豪米の協力及び連携は大変重要なものであり,強化していきたい。オーストラリアとの間でも,従来から「2+2」をはじめ安全保障,防衛分野においても緊密な関係が存在するが,是非これをしっかりと強化していきたい。日米同盟の強化は基本中の基本であると考えており,近隣諸国との関係としてインドをはじめ主要国との関係をしっかり多層的に作っていかなければならない。こうした関係国との大局的な見地に立った具体的な協力関係や多層的な連携を作り,地域の安定と繁栄のために日本として責任を果たしていきたい。

 (問4)今回,初の外国出張として,東南アジア3か国及びオーストラリアを訪問されたが,その全体を総括して,今回の出張の成果及び手応え如何。また,対中関係において,特に尖閣諸島に関する日本の立場について,各国からどのように理解されているか。(朝日新聞 関根記者)

 (岸田大臣)まず,成果について,これまでフィリピン,シンガポール,ブルネイを訪問し,本日オーストラリアでカー外相と会談を行った。これらの訪問を通じ,各国外相との間で意思疎通を行い,信頼関係を構築することが出来たことは,それぞれの国との二国間関係を強化していく上で大変有意義であった。アジア太平洋地域は,世界の経済成長を牽引する,21世紀の「成長センター」である。この地域の安定と繁栄を確保することは,それ自体価値あるだけでなく,地域全体の成長を取り込もうとする日本にとっても大きな利益である。今回の訪問を通じ,ASEAN諸国及びオーストラリアとの連携を一層強化するとともに,日・ASEAN間のパートナーシップを強化する基調を構築できたことは,アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中で,この地域の平和と安定を維持・確保していく上でも意義があった。日中関係及び尖閣諸島問題に関し,各国に対して日本の立場を説明した。尖閣諸島については国際法的にも歴史的にも我が国固有の領土であること,及び日中間には解決すべき領土問題は存在しないという立場を説明する一方,日中関係は大変重要な二国間関係であると説明した。日中両国は互恵的な関係にあり,大局的な見地から具体的な協力を進めていきたい。この問題について冷静に対応し,日中関係をしっかりとマネージしていくという我が国の姿勢を説明した。我が国は尖閣諸島を巡る問題があるが,ASEAN各国は南シナ海においても様々な問題を抱えている。力による拡張を図る中国に対して如何に対応するかという点については各国ともに共通の課題ではないかと考え,この点についても説明した。各国からは我が国の姿勢について一生懸命耳を傾けていただいた。

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