24日(火曜日)18時30分から,玄葉光一郎外務大臣は,外務省賓客として来日中のアニファ・アマン・マレーシア外務大臣(H.E. Dato' Sri Anifah bin Aman, Minister of Foreign Affairs)との間で外相会談を約30分間行い,続いて夕食会を約90分間行ったところ,概要は以下のとおりです。
1.冒頭
玄葉大臣から,アニファ大臣の訪日に歓迎の意を表するとともに,昨年10月に玄葉大臣がマレーシアを訪問した際の温かい歓待に感謝の意を述べました。アニファ大臣からは,温かいもてなしに心から感謝しつつ,昨年の玄葉大臣のマレーシア訪問及び今回のアニファ大臣の訪日は,両国が二国間関係を強化していくとの決意の表れであり,既存の友好関係を更に促進していきたいと述べました。
2.二国間関係
(1)東方政策30周年
- ア 玄葉大臣から,これまでに14,000人のマレーシア人が日本で学んできたことは大変な実績であり,今なお二国間関係の中核である東方政策を,今後も維持・発展させていきたいと述べるとともに,マレーシア日本国際工科院(MJIIT)は一つの集大成であり,アジア太平洋全体に資する人材育成となることへの期待を寄せました。
- イ これに対し,アニファ大臣からは,東方政策は,政府間,ビジネス,人的交流のあらゆるレベルにおいて両国にとって有益であったとし,次のフェーズにステップアップさせていきたい旨述べました。また,MJIITについては,野田総理が書簡で述べたとおり,ASEANの人材育成に貢献するよう,日本式工学教育の拠点として発展させていきたいと述べました。
(2)東日本大震災
玄葉大臣から,日本再生に関する理解増進のため,青少年交流として「キズナ強化プロジェクト」を開始し,マレーシアの青少年約310人を招待したい旨述べました。また,昨年の玄葉大臣によるマレーシア訪問直後,マレーシア政府により東北地域への渡航制限が緩和されたことに感謝の意を示すとともに,日本産食品に対する輸入規制措置の更なる緩和を要請しました。アニファ大臣からは,「キズナ強化プロジェクト」は青少年交流を更に推進するものであるとして歓迎の意が表明されました。
(3)経済関係
- ア 玄葉大臣から,我が国の対マレーシア投資が増加しており歓迎するとともに,マレーシア政府による更なる投資環境整備に期待する旨述べ,また,高速鉄道,スマートコミュニティ,水ビジネス等の分野におけるインフラ整備面での協力等を通じ,経済関係の一層の強化に努めたいと述べました。
- イ これに対し,アニファ大臣から,マレーシアにとって日本は常に重要な貿易相手国及び投資国であり,インフラや水ビジネスの分野でマレーシア企業と日本企業とが連携していくことを歓迎し,マレーシアにおける規制緩和・自由化を捉え,日本企業に対して更なる投資を期待する旨述べました。
3. 地域・国際情勢
両外相は,北朝鮮,ミャンマー,海上安全保障等,地域・国際社会が直面する課題について意見交換を行い,日・ASEAN関係を一層強化させていくことで一致しました。
- (1)北朝鮮に関し,両外相は,今般の北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射は,地域と国際社会の平和と安定を脅かすものであり,ASEANを含む国際社会が一致して確固たる姿勢を示すことが重要であるとの考えで一致しました。
- (2)ミャンマーに関し,両外相は,国際社会がミャンマーの更なる民主化・国民和解と経済改革を後押しする必要があるとの考えで一致しました。また,玄葉大臣は,28年ぶりに行われたミャンマー大統領訪日の成果を紹介しつつ,民主化及び国民和解の動きを後戻りさせないよう支援していくことが重要であると述べました。これに対し,アニファ大臣からは,3月に行われたナジブ・ラザク・マレーシア首相によるミャンマー大統領との首脳会談等の成果に触れつつ,ASEANとして一定の役割を果たしていきたいと述べ,ミャンマーの民主化における日本の援助は重要であると述べました。
- (3)日・ASEAN協力に関し,玄葉大臣から,2015年のASEAN統合を積極的に後押しし,連結性,防災及び青少年交流に係る協力を推進していく旨述べ,これに対し,アニファ大臣から謝意を表明するとともに,ASEANの主要な協力国である日本と引き続き緊密に協力していきたい旨発言がありました。
- (4)また,海上安全保障に関し,両外相は,マレーシアは重要なシーレーン沿岸国であり,マラッカ海峡及びソマリアにおける海賊対策において成果を上げてきたことを評価するとともに,両国間の協力を更に強化していくことで一致しました。