外務大臣

日米外相会談(概要)

平成23年11月11日

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  • (写真)日米外相会談

 10日午後2時20分(現地時間)から約50分間,APEC閣僚会議に出席するため米国・ホノルルを訪問中の玄葉外務大臣は,クリントン国務長官との間で日米外相会談を行ったところ,概要以下のとおり。

1 冒頭

 冒頭,玄葉大臣から,ホノルルAPECにおけるクリントン長官のリーダーシップに高い敬意を払う,優先分野で具体的な成果が得られるよう,引き続き日米で緊密に協力していきたい旨述べた。また,玄葉大臣から,最近米国の『フォーリン・ポリシー』誌に掲載されたクリントン国務長官のアジア太平洋に関する論文に言及しつつ,その内容に共鳴した,民主的な価値を基盤として豊かで安定した世界を築くことが自分(大臣)の主要な外交目標の一つであり,日米両国で様々な課題を解決するためにリーダーシップを発揮していきたい,かかる意味で今回のAPECや来週の東アジア首脳会議(EAS)は重要である旨述べた。

 また,玄葉大臣のワシントン訪問について,双方が都合のつく日程を調整していくことで一致した。

2 日米関係

(1)日米安保

 玄葉大臣から,上記『フォーリン・ポリシー』論文において,米国が太平洋国家としてアジア太平洋におけるプレゼンスを強化し,地域の平和と安定に深くコミットしている旨明らかにし,日米同盟を礎石としたことを高く評価している,この文脈で,安保・防衛分野で幅広い協力を進めていきたい旨述べた。これに対し,クリントン長官から,先般の「2+2」において決まった様々な協力を共に進めていきたい旨の発言があった。

 普天間飛行場移設問題に関し,玄葉大臣から,政府は環境影響評価書を年内に提出できるよう準備を進めている,自分(大臣)も沖縄を訪問するなど沖縄県民の理解を得る努力をしている,かかる観点からは米国からも沖縄の負担軽減に是非とも協力して欲しい旨述べた。

(2)経済

 TPPに関し,玄葉大臣から,現在国内でぎりぎりの調整が行われており,まさに今日も国会で集中審議中で,本日の審議の結果を踏まえながら総理としての判断があるのだろうと現状の説明を行った。

 牛肉輸入問題に関し,玄葉大臣から,本件は長年の懸案であり,国内でBSE対策の再評価を行うことを決定し,食品安全委員会への諮問の準備を開始した旨説明した。

(3)文化・人的交流

 当方から,来年は日米の桜の寄贈百周年であり,日米交流の機運を高める機会なので,米側の協力をお願いしたい旨述べた。

3 アジア太平洋地域情勢

(1)APEC

 玄葉大臣から,本年のAPECにおける米国のイニシアティブを評価する,引き続き日米で協力したく,特に米国が優先的に取り組んでいる分野で具体的な成果が上げられるよう日米で連携していきたい旨述べた。これに対し米国からは,日本が議長であった昨年から2年間にわたり進めてきた作業が現在成果を上げているとして日本の協力への謝意を述べるとともに,特にグリーン成長の分野における日本の協力への要請があった。

(2)EAS

 今年は,オバマ米大統領が初めて参加するという意味で試金石であり,東アジアにおける将来の協力の方向性を示すようなしっかりとした成果を引き出せるよう両国で協力していきたい旨述べた。これに対し米国からも,日本とは緊密に協力できており,バリでは積極的に参加していく旨応じた。

(3)北朝鮮

 玄葉大臣から,最近の米朝対話を取り上げ,ウラン濃縮活動の即時停止を含む北朝鮮による具体的行動を引き出すことが重要であると指摘の上,米国が米朝対話で拉致問題に言及したことに感謝する旨述べた。これに対し,クリントン長官から,拉致問題では北朝鮮が行動をとるよう北朝鮮と協議する度に毎回取り上げていると述べ,両者は引き続き日米韓で緊密な連携を維持することで一致した。

(4)ミャンマー

 玄葉大臣から,最近のミャンマーの民主化に向けた一連の動きを前向きに評価しており,先日東京にて実施した日ミャンマー外相会談においてもこのような考え方及びそのためのミャンマー政府の取組を支援するとの立場を伝えたと説明した。これに対しクリントン長官からは,現在の動きが進展し,ますます開かれた体制となることに対する期待感が表明された。

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