
麻生大臣のヨルダン、イスラエル及びパレスチナ自治区訪問
(概要と成果)
平成19年8月
1.概要
麻生太郎外務大臣は、8月13日(月曜日)から8月16日(木曜日)まで、ヨルダン、イスラエル及びパレスチナ自治区を訪問した。各国での主要行事は以下のとおり。
(1)ヨルダン(13日(月曜日)於:アンマン)
ハティーブ外相との会談、パレスチナ難民キャンプ視察及びUNRWAへの食糧支援E/N(交換公文)署名式、バヒート首相表敬、ハティーブ外相主催昼食会
バヒート首相表敬
ハティーブ外相との会談
日・ヨルダン外相共同会見
(2)イスラエル(13日(月曜日)午後、14日(火曜日)於:エルサレム)
ペレス大統領表敬(13日)、ヤド・バシェム(ホロコースト記念館)訪問、リヴニ外相とのワーキング・ランチ、バラク国防相との会談、オルメルト首相表敬、イスラエル経済人との夕食会(以上14日)
日・イスラエル外相共同会見
オルメルト首相表敬
バラク国防相との会談
(3)パレスチナ自治区(15日(水曜日)於:ラマッラ及びジェリコ)
ファイヤード首相兼外務庁長官兼財務庁長官との会談及びノン・プロジェクト無償資金協力E/N(交換公文)署名式、アッバース大統領表敬(以上ラマッラ)、「平和と繁栄の回廊」構想4者協議閣僚級会合、ジェリコ・タイベ道路改修計画除幕式、ジェリコ市内視察(以上ジェリコ)
2.成果
(1)和平プロセス活性化に向けたイスラエル・パレスチナ両当事者に対する政治的はたらきかけ
- ハマスによるガザ地区掌握など和平プロセスの見通しが不明な一方、和平への新たな機運も見られる中、我が国としてもイスラエルとパレスチナの共存共栄実現に向けて積極的に関与する旨表明し、各当事者より、中東和平推進における日本の役割への高い評価と期待が表明された。
- また、各当事者より、9月のパレスチナ支援調整閣僚級会合(AHLC)、ブッシュ大統領が提唱している国際会議、12月のパレスチナ支援国会合などを見据え、和平プロセス活性化への強い決意が表明されるとともに、我が国をはじめとする国際社会の役割への強い期待が示された。
(2)「平和と繁栄の回廊」構想
- 15日、ジェリコにおいて「平和と繁栄の回廊」構想4者協議閣僚級会合を開催し、リヴニ・イスラエル外相、エラカートPLO交渉局長、ハティーブ・ヨルダン外相が出席した。
- 右協議では、麻生大臣より、(イ)農産業団地をジェリコ県南部に建設、(ロ)本年10月後半に第二回事務レベル会合を域内で開催し、F/S調査の結果を踏まえ具体的な計画について協議を行うこと、(ハ)パレスチナ国家が中長期的に自立可能な経済をもつために、本件構想の推進に引き続きコミット、(ニ)回廊構想とは別に、環境専門家会合を立ち上げることを提案し、4者で合意した。
- 「回廊」構想については、リヴニ外相より、オルメルト首相が7年振りに首相としてジェリコを訪問したその1週間後に外相が訪問するのは、イスラエルとパレスチナの正常化への動きが実現に向かいつつあることの象徴であるとの発言があり、またエラカートPLO交渉局長より、「回廊」構想はパレスチナに未来をもたらすものとの発言があるなど、両当事者間での信頼醸成を促進する「触媒」として「回廊」構想は各国から高い評価と期待が示された。
(3)対パレスチナ支援
(4)二国間関係更なる強化
- ヨルダンでは、我が国皇室とヨルダン王室との伝統的な友好関係をはじめ極めて良好に推移していることを確認した。また、ハティーブ外相より、我が国の安保理常任理事国入り及び2008年の安保理非常任理事国選挙への支持が表明された。
- イスラエルでは、1月のリブニ外相の訪日以来活発な要人往来など良好な二国関係を更に発展させることで合意した。また、外務次官級ハイレベル協議の第2会合の今秋開催に合意するとともに、麻生大臣より、ビジネス・ミッションの本年中の派遣を表明した。さらに麻生大臣より、オルメルト首相の訪日招請を行い、オルメルト首相より訪日の意向が示された。
- パレスチナ自治区では、我が国の対パレスチナ支援への高い評価が示されるとともに、要人往来の活性化が双方の関係が深化していることの現れとの評価があった。また、麻生大臣より、アッバース大統領の訪日招請を行い、アッバース大統領より、早ければ10月にも訪日したいとの意向が示された。