気候変動

アジア・大洋州における気候変動と脆弱性に関する国際会議

長期リスクの科学・地域情勢・ビジネスの連関

平成30年7月9日

英語版 (English)

  • (写真1)アジア・大洋州における気候変動と脆弱性に関する国際会議
  • (写真2)大洋州

 外務省では,国内外の気候変動と脆弱性の専門家らに呼びかけ,2018年7月12日に東京都港区の三田共用会議所において,アジア・大洋州における気候変動と脆弱性に関する国際会議を開催します。同会合では,外務省が2017年9月に公表した報告書「気候変動に伴うアジア・太平洋地域における自然災害の分析と脆弱性への影響を踏まえた外交政策の分析・立案」及び,そのフォローアップとして2018年3月28日に開催した国内関係者による意見交換会の内容も踏まえ,気候変動が国家の脆弱性に与える影響や,今後生じうるリスクに対する有効なアプローチ等について議論する予定です。

1 開催の背景と目的

 気候変動は,地球規模の安全保障及び経済の繁栄に脅威をもたらすものとして,最も深刻な課題の一つと捉えられています。2013年に議長国であった英国の主導により,気候変動が安全保障と経済に与える影響を扱うG8各国(当時)の専門家会合が開催され,その後も,2015年4月のドイツ・リューベックG7外相会合で気候変動と脆弱性に関する作業部会が立ち上げられるなど,G7外相会合や作業部会において継続的に議論が行われてきました。2016年にわが国が議長国として広島において開催したG7外相会合では,気候変動の脆弱性リスクに対して緊急に対処する必要性があることを認識するとともに,気候変動に対する地球規模の回復力を高めるために,脆弱性リスクを低減するという共通の目的に向けて行動することの重要性が強調されました。
 これを受けて2017年1月19日に外務省が開催した「気候変動と脆弱性の国際安全保障への影響」に関する円卓セミナー及びそのフォローアップの検討会では,わが国はアジア・大洋州に焦点を絞って調査・議論し,政府として取り組むべき具体的な方途を検討していくとともに,G7外相プロセスにおける気候変動と脆弱性に関する議論において具体的な提案を行っていくことが示唆されています。外務省では,2017年5月のイタリア・ルッカG7外相会合において,上記作業部会が脆弱な諸国における強靭性を高めるための行動に係る提言を特定することが奨励されたことも踏まえ,気候変動が自然災害にもたらす影響と地域の社会経済的な脆弱性の関連性について,日本の分析をまとめた報告書「気候変動に伴うアジア・太平洋地域における自然災害の分析と脆弱性への影響を踏まえた外交政策の分析・立案」を作成し,作業部会へ提出しました。
 今回の会議は上記報告書のフォローアップとして開催し,国内外の関係者の意見交換を深めることを目的としています。具体的には,気候変動と安全保障及びビジネスに関する国際的な議論の動向を国内外の専門家やアジア・大洋州に展開する企業・投資関係者などに共有し,アジア・大洋州における気候変動の脆弱性や安全保障,展開する企業の危機管理,投資に与える影響や,今後生じうるリスクに対して政府・自治体・企業等それぞれがとるべきアプローチ等について議論を深めます。会議中には,近未来の気候変動の影響を受けた地域における災害・企業活動に関するシナリオを用い,非公式かつ率直な議論を行う場も設けることとしています。会議の概要は,後日,対外的に公表するとともに,その成果についてはG7やG20の会合をはじめとする国際会議の場におけるわが国からの提案に活用することを予定しています。

2 会議の概要

日時:
2018年7月12日(木曜日)10時00分~16時00分
場所:
東京都港区 三田共用会議所(〒108-0073 東京都港区三田2丁目1-8)
出席者:
国内外の気候変動や地域情勢,開発援助に関する研究者・専門家,シンクタンク,国内NGO
アジア・大洋州に展開する国内企業・投資関係者,在京大使館,政府関係者など,計100名程度
(注)当該分野に関心を有する関係者を招待
言語:
英語(同時通訳なし。分科会では英語でのディスカッションを実施。)
午前:
  1. 開会
    中根一幸 外務副大臣
  2. 基調講演
    一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ 加藤洋一研究主幹(元朝日新聞アメリカ総局長,外交・安全保障担当編集委員)
  3. パネルディスカッション(注1)
    • アレクサンダー・カリウス adelphi共同創設者兼ディレクター
    • 国立環境研究所社会環境システム研究センター 亀山康子副センター長
    • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社クリーン・エネルギー・ファイナンス部 吉高まり主任研究員
    • 国際協力機構(JICA) 武藤めぐみ地球環境部長
    • 上智大学 東大作教授
午後:
  1. 分科会形式によるロールプレイを通じたディスカッション(注2)
  2. パネルディスカッション(注3)
    • サモア自然資源環境省 フェトロアイ・ヤンダール・アラマCEO補
    • インドネシア国家開発計画省環境局 スディアーニ・プラティウィ次長(気候変動・環境品質担当)
    • スティムソン・センター サリー・ヨーゼル上級研究員
    • 防災科学技術研究所 大楽浩司主任研究員
    • ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス 黒崎美穂日本韓国リサーチ責任者
  3. 閉会
  • (注1)午前中のパネルディスカッションでは,気候変動に関する科学的知見,地域政策との関連,またこれらのビジネスへの影響について議論する予定です。
  • (注2)午後は出席者を10数名程度の小グループに分け,近未来におけるアジア・大洋州の地域を舞台に,気候変動の影響を受けた自然災害への対処と長期的なリスクの検討について議論を行います。ここでは,一定程度の細部の事実関係を設定した架空のシナリオの下で,日系企業の現地責任者,本社関係者,地元政府関係者,日本政府関係者(大使館・総領事館)の役割に応じ,短期的な危機対応だけでなく,中長期的な気候変動対策・事業や投資判断を巡るリスク情報の開示等を含む重要な要素,重要な判断を下す上での科学的なデータや論証の必要性といった複合的な論点について議論をして頂く予定です。グループにより,東南アジアまたは大洋州島嶼国のいずれかを舞台としたシナリオを使用します(東南アジアシナリオの概要はこちら(PDF)別ウィンドウで開く太平洋島嶼国シナリオの概要はこちら(PDF)別ウィンドウで開く)。各出席者の所属グループ及び役割分担,また問題の進展状況は,当日会場にて紹介します。このディスカッションが,アジア・大洋州における気候変動と脆弱性について,様々な視点から検討・討議する機会となることを期待しています。
  • (注3)小グループでのディスカッションの後は,再び全体会合において,ディスカッション参加者全員及びパネリストとの議論を行います。ここでは,政策・経営戦略への気候変動対策の取り込みや,その際に必要となる科学的データの果たす役割等について,小グループでのディスカッションで得られた知見も踏まえて議論する予定です。


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