海上の安全保障

東南アジア地域における海賊問題の現状と取組

平成31年2月15日

  • 南シナ海地図

1 概況(国際商業会議所(ICC)国際海事局(IMB)による)

 2018年の東南アジア海域における海賊等事案(注)の発生件数は60件(前年同期比-16件)。

 発生地としては,インドネシアが36件(前年同期比-7件)で東南アジアの発生件数の6割を占め,次いでマレーシア11件(同+4件),フィリピン10件(同-12件),シンガポール海峡3件(同-1件)となっています。

 60件のうち,乗り込み事案は46件(同-17件),銃撃は2件(同+1件),未遂は12件(同+3件)です。東南アジアの海賊等事案の大部分は武装強盗ですが,ばら積み貨物船等から積荷や船の備品を盗取される事案が発生している他,近年,スールー海・セレベス海においては,船員の誘拐事案が発生しています。

(注)「海賊等事案」には公海上で発生したもの(海賊)及び領水内で発生したもの(武装強盗)の双方を含めています。

2 我が国による取組

(1)アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)

 2001年,小泉総理大臣(当時)は,アジアの海賊問題に有効に対処するため,地域協力促進のための法的枠組み作成を提唱しました。これを受け,日本主導の下,ASEAN諸国,中国,韓国,インド,スリランカ,バングラデシュが協力して協定の作成交渉が開始され,同協定は,2006年に発効しました。同年11月,協定に基づきシンガポールに情報共有センター(ISC)が設置され,締約国は,ISCを通じ,締約国のフォーカルポイント間で海賊・海上武装強盗の情報共有及び協力を実施するほか,ISCの能力構築セミナーにも出席しています。また,ISCは,独自情報の収集・分析・発信も行っています。我が国は,同センターに対し,事務局長を含む2名の職員を派遣するとともに,財政的な支援も実施しています。

(2)各国の海上保安能力構築支援

 東南アジアのシーレーン沿岸国の海上法執行能力を強化し,この地域の海上交通の安全を確保するため,日本は,各国の海上保安機関に対し巡視船艇や機材を供与するほか,海上保安機関の職員を日本に招へいしたり,我が国の専門家を各国に派遣しています。

 たとえばベトナムに対しては,これまでに中古船舶や海上保安機材を供与するとともに,2017年6月には,ベトナム海上警察が運用する巡視船を円借款で整備することを決定しました。フィリピンについては,同国の沿岸警備隊に巡視船や小型高速艇,海上保安機材を順次供与するとともに,海上法執行実務の能力強化支援等の技術協力を実施しています。マレーシアについては,同国の海上法令執行庁に対し,巡視船の贈与や海上保安機材の供与のほか,長期専門家の派遣や教育訓練制度改善支援を行っています。インドネシアに対しても,巡視艇の供与や海上交通保安能力向上のための長期専門家の派遣を行っており,2017年10月に,2018年度以降も海上保安機関の能力向上のための研修を実施していくことを決定しました。

 また,アジア各国・地域から参加者を得て,海上犯罪取締り方法の立案・監督を行うための知識・技能の習得を目標とした海上犯罪取締り研修を,国際協力機構(JICA)と海上保安庁の受入れにより,2001年から毎年実施しています。

 また,海上保安大学校への留学生の受け入れや,各国海上保安機関へ専門家を派遣して,人材協力のための技術協力を行っています。


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