海上の安全保障

令和2年6月25日

1 ギニア湾における海賊等事案発生状況(注)

(1)最近の発生数の推移

(グラフ)ギニア湾における海賊等事案の発生数の推移

 (注)海賊等事案には公海上で発生したもの(海賊)及び領水内で発生したもの(武装強盗)の双方を含めています。

  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
ナイジェリア 29 19 10 27 31 18 14 36 33 48 35 11
ナイジェリア以外 19 20 43 35 20 23 17 19 12 34 29 10
合計 48 39 53 62 51 41 31 55 45 82 64 21

 (注 2020年は第1四半期の件数)

2 ギニア湾海賊・武装強盗の最近の動向

  • (1)2020年(第1四半期)のギニア湾海賊等事案発生件数は21件(前年同期比-1件)。
  •  乗り込み事案は12件(前年同期比-2件),未遂事案は5件(前年同期比+4件),銃撃事案は4件(前年同期比-3件)。なお,ハイジャック事案は発生しませんでした。
  • (2)事案発生海域はナイジェリア沿岸が中心です。
  • (3)海賊行為は武装した複数名の構成員により行われています。
  • (4)ギニア湾沖の海賊・武装強盗は,航行中か停泊中にかかわらず船舶を標的とし船員の誘拐,船舶物資・備品や船員所持品の窃取をはたらいています。全世界の事案の約4割が同海域で発生しており,航行には注意が求められます。

3 国際社会による取組

(1)国連による取組

ア 安保理決議第2018号(2011年10月31日採択)

 ギニア湾で行われている海賊行為及び武装強盗を非難。アフリカ地域機関に対して包括的戦略の策定と,連携協力を促す。国連評価ミッションの派遣を歓迎。

イ 国連事務総長評価ミッション報告書(2012年1月)

 海賊対策のための地域首脳会合の開催と国連による支援,地域諸国による陸上からの監視・情報収集能力の向上,船舶認証システムの利用,国際社会による物的支援等を勧告。

ウ 安保理決議2039号(2012年2月29日採択)

 国連評価ミッション報告書を歓迎,右履行を奨励。

(2)G7による取組

ア G7++ギニア湾フレンズ・グループ

 2013年,当時のG8議長国・英が,ギニア湾における海賊等の海上犯罪に対する各国・国際機関の取組の重複を防止し,協力を行うための調整メカニズムとして創設しました。ヤウンデ行動指針(下記参照)の実施に向けた協力取組等について議論を行っており,G7,欧州諸国,ギニア湾諸国,国際機関,海運団体等が参加しています。

イ G7外相会合共同コミュニケ(2019年4月)

 2012年以降,外相会合議長声明等でギニア湾に言及されており,2019年4月のフランス・ディナールでのG7外相会合で発表された「G7外相会合共同コミュニケ」においても,海賊対策について次のとおり言及されています。

 「我々は,海賊行為,海上武装強盗,海洋空間での国境を越える組織的犯罪及びテロ,人身取引,移民の密輸,武器・違法薬物取引及び違法・無報告・無規制(IUU)漁業を含む海における違法な活動との闘いへのコミットメントを改めて表明する。我々は,違法な海洋活動を減少させ,一層実効的な海洋ガバナンス,法執行能力及び海洋空間における地域協力に向けて取り組む上での,ソマリア沖海賊対策コンタクト・グループ,ジブチ行動指針関係国,G7++ギニア湾フレンズ・グループ及びアジア海賊対策地域協力協定の活動を称賛する。我々は,ヤウンデ行動指針の運用における進展を賞賛し,アフリカにおける海洋安全保障の課題に対処するための各国及び地域主導の取組を前進させる上でのより一層の進展を奨励する。」

(3)アフリカ自身による取組

ア 中・西部アフリカにおける海賊,武装強盗及び海上不法行為の防止に係る行動指針(ヤウンデ行動指針)(2013年6月署名)

 国際海事機関(IMO)の支援を受け,中部アフリカ経済共同体(ECCAS)及び西アフリカ経済共同体(ECOWAS)によって策定され,閣僚級会合において採択。2013年6月にカメルーンで開催されたギニア湾海上安全に関する首脳会合において,中・西部アフリカの22か国(内陸国を含む)が署名。

4 我が国の取組

(1)IMO中・西部アフリカ海上安全信託基金への拠出

 中・西部アフリカ諸国の海上安全保障能力構築に向けたプロジェクトの実施を目的とする,国際海事機関(IMO)の「中・西部アフリカ海上安全信託基金」への100万ドルの資金拠出を通じ,ギニア湾の海上安全保障向上に貢献してきています。

(2)第7回アフリカ開発会議(TICAD7)(2019年8月)

 横浜宣言2019:「我々は,海賊行為,違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び他の海上犯罪との闘い並びに国際法の諸原則に基づくルールを基礎とした海洋秩序の維持を含む海洋安全保障の分野において,二国間,地域的及び国際的なステークホルダーの協力を促進する必要性を強調する。」

(3)第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)(2016年8月)

 ナイロビ宣言:「我々は,海賊,違法漁業及びその他の海上犯罪を含む海洋安全保障に関する地域的及び国際的な取組を促進すること,並びに海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映された国際法の原則に基づく,ルールを基礎とした海洋秩序を維持することの重要性を強調する。」

(4)海上犯罪取締り能力の向上支援

 海上保安庁がJICAの枠組みを通じて,アジア・アフリカ等の海上法執行機関の指揮官クラスを招へいし,海上犯罪の取締能力向上を目指す研修を実施しており,2017年度の研修に,ギニア湾諸国から初めてナイジェリア(2名)が参加しました。2019年度の研修にはギニア湾岸国からは同国に加えてガボンが参加しました。


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