経済

OECD多国籍企業行動指針

平成17年9月

1. 多国籍企業行動指針の概要

(1)1976年、OECDは世界経済の発展に大きな影響を有する多国籍企業の行動に関し、加盟国政府が企業に対して責任ある行動をとるよう勧告する「多国籍企業行動指針」を作成。

(2)「行動指針」は、労働基準、環境、情報開示、技術移転、競争、税等幅広い分野における、責任ある企業行動に関する任意の原則と基準を定めるが、法的な拘束力はなく、その適用実施は各企業の自主性に委ねられている。

(3)「行動指針」は、OECD加盟国間の直接投資を容易にするためにOECD加盟国政府が1976年に採択した政治的コミットメントである「国際投資と多国籍企業に関するOECD宣言(以下「国際投資宣言」)」の下に定められたツールの一つとの位置づけ。

(4)「行動指針」は、世界経済の発展や企業行動の変化などの実情に合わせ、これまで4回(79年、84年、91年、2000年)改訂されている。(「OECD多国籍企業行動指針2000年改訂版(仮訳)」はこちら(PDF)  をご覧下さい)

2. 2000年の改訂のポイント

(1)「行動指針」本文の改訂

 環境、労働関係、情報開示の記述をアップデートし、贈賄防止、消費者利益配慮について新たな章を設けるなど大幅な改訂が行われた。【構成については下記参照】

(2)理事会決定による関連業務の追加

 国際投資宣言参加国政府は、行動指針の普及、行動指針に関する照会処理、問題解決支援のため、「各国連絡窓口」(NCP:National Contact Point、我が国においては外務省・経済産業省・厚生労働省の三者)を設置することとした。これら各国連絡窓口は、その実績、作業手続き、問題点等につき報告し、経験・情報を共有するために、年次総会を開催し、OECD「投資委員会」(CI)に対して、活動内容等を報告する。

 また、理事会決定に「手続手引き」(Procedural Guidance)が添付された。この手続手引きには、各国連絡窓口の組織や実際の活動に当たって考慮すべき点、投資委員会(CI)の活動につき詳細が示されている。

3. 「行動指針」に関し、第三者(NGO、労働組合等)より問題提起が行われた場合

(1)労使間の争議等は、一義的には事業展開先国の国内法により律せられる(国際投資宣言参加国であるか非参加国であるかを問わない。)。

(2)国際投資宣言参加国にて生じた問題は、原則として問題の生じた国の連絡窓口が、また、非参加国にて生じた問題は企業母国の連絡窓口が当事者よりヒヤリング等を行い、投資委員会に報告する。連絡窓口は必要に応じ、当該企業へ勧告することもできる。

(3)投資委員会は各国連絡窓口を支援し「行動指針」の解釈を行うが、司法的役割は担わず、個別企業の行動に対して直接の行為は行わない。

4. 行動指針に関する我が国外務省の取り組み

(1)外務省はOECD「多国籍企業行動指針」を広く企業に普及させることは有意義と考え、以下を実施。

(イ)外務省ホームページへの「行動指針」の掲載
(ロ)小冊子を作成し、産業界との会合等の場で配布
(ハ)関連セミナーでの「行動指針」の重要性の説明等の実施
(ニ)在外公館や出張者を通じ、アジア等における日系進出企業への説明会の実施

(参考:具体例)

(2)我が国の連絡窓口(NCP:ナショナル・コンタクト・ポイント)が、連合や経団連を含む関係者との円滑な意思疎通が図れるよう実施体制を整備し、運用している。また、外務省以外の連絡窓口(NCP)である経済産業省、厚生労働省の担当部局との連絡を密にしている。(なお、6月のNCP総会後には例年三省による報告会・意見交換会を実施。)

(3)OECD投資委員会関連会合や国際投資フォーラム等の機会を利用し、企業が責任ある行動をとるためにも、途上国が適切に労働関連法を整備することが重要である旨主張してきている。

(参考: OECD多国籍企業行動指針 ~構成と骨子~ )
序文「行動指針」の基本的性格や背景の説明。
I. 定義と原則 「行動指針」は多国籍企業に対し、良き慣行の原則・基準を提供するものであり、法的に強制するものでない。加盟国政府は「行動指針」の普及を促進することを原則とし、「連絡窓口」を設置する。
II. 一般方針 持続可能な開発の達成、人権の尊重、現地能力の開発、人的資本の形成、良いコーポレート・ガバナンスの維持のため企業は行動すべき。
III. 情報開示 企業は、活動、組織、財務状況及び業績について、タイムリーかつ定期的に情報開示すべき。
IV. 雇用・労使関係 企業は、従業員の権利の尊重、児童労働・強制労働の撤廃、受入国の基準を下回らない雇用・労使関係基準の採用、従業員の健康・安全確保のための適切な措置の実施、集団解雇の合理的予告などを行うべき。
V. 環境 企業は、環境、公衆の健康及び安全を保護し、持続可能な開発を達成することに十分考慮を払うべき。
VI. 贈賄防止(2000年の改訂にて新設) 企業は、賄賂その他の不当な利益の申し出、約束又は要求を行うべきでない。
VII. 消費者利益(2000年の改訂にて新設) 企業は、消費者との関係において、公正な事業、販売及び宣伝慣行に従って行動すべきであり、また、提供する物品・サービスの安全性と品質確保のため合理的な措置を実施すべき。
VIII. 科学・技術 企業は、受入国の技術革新能力の発展、受入国への技術・ノウハウの移転に貢献すべき。
IX. 競争 企業は、法律・規則の枠内において競争的な方法で活動すべき。
X. 課税 企業は納税義務を履行すべき。

Adobe Acrobat Readerダウンロード Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
前のページへ戻る | 目次へ戻る