モンゴル(国別援助方針)
- 基本方針
(1)我が国の援助対象国としての位置付け
(イ) モンゴルは、90年以降、民主化及び市場経済化に向けた改革を進めていること、 (ロ) モンゴルの安定と経済発展が、周辺地域における政治的・経済的安定にとって重要であること、 (ハ) 内陸国であるとともに、市場経済への移行期にあり、経済基盤の未整備、貧困層の増大等の解決すべき課題があることから、援助需要が大きいこと、 等を踏まえ、モンゴルへの援助を実施する。
なお、モンゴルは我が国の二国間援助実績(99年までの支出純額累計)で第30位の受け取り国である。我が国は91年度より6回、世銀と共同で支援国会合を開催しており、対モンゴル支援の国際的な枠組み造りにも主導的役割を果たしている(第7回の支援国会合は世銀の主催により、99年6月にウランバートルにて開催)。(2)我が国の援助の重点分野
我が国は、モンゴルにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究及び97年3月に派遣した経済協力総合調査団等によるモンゴル側との政策対話を踏まえ、以下の分野を援助の重点分野としている。
- (イ)産業振興のための経済基盤及び条件整備(エネルギー、運輸、通信等のインフラのリハビリ)
- (a)エネルギー
エネルギー供給の回復を図るための現有施設のリハビリへの協力、発電所の安定操業、炭鉱の生産性向上や経営改革、構造改善等に資する協力。
(b)運輸
鉄道については鉄道路線、設備の充実等への協力、道路については幹線道路整備等既存施設の改修、主要都市の公共交通サービスの改善等への協力。その際に十分な大気汚染防止対策を図る。
(c)通信
通信網整備への協力、通信網を支える人材の育成のための専門家派遣・研修員受入等の協力。
(ロ)市場経済移行のための知的支援、人材育成
経済政策及び法制度・行財政改革への知的支援に資する専門家派遣、研修員受入等の協力。
(ハ)農業・牧畜業振興
長期的農業計画の策定、協同組合の運営体制・農畜産物流通体制の整備に関する協力及び農業技術の開発・普及等に関連する協力。
(ニ)基礎生活支援(教育、保健・医療、水供給)
- (a)教育
教育施設改善及び教員能力向上等の充実に向けた協力。高等教育の質の向上及び基礎的な職業教育への協力。
(b)保健・医療
基礎的医療機材整備、医師・看護婦の再訓練及び育成に資する援助、母子保健への協力。将来的な医療体制の整備への協力。
(c)水供給
既存施設整備、拡充及び水質改善の推進による水供給の安定化への協力。
(3)留意点
- 各分野における明確な開発計画の策定等モンゴルの自助努力が重要。また、我が国援助についてもモンゴル側の運営・維持管理体制等における自発的努力により、その有効活用が図られることが必要である。
- モンゴルが進めている民営化政策を促しつつも、援助実施にあたっては、個別案件毎にODA適格性を判断。また、今後の援助実施にあたってはモンゴル側と十分な議論を行いつつ、裨益対象及び効果、実施体制の整備状況等に留意する。
- 産業振興、輸出振興を通じ、財政、国際収支、対外債務等に係る構造的問題の克服を支援する。
- 環境分野については、バガバンティ・モンゴル国大統領が訪日した際発表された「日本国とモンゴル国との間の友好と協力に関する共同声明」に基づき99年12月に派遣した対モンゴル環境協力調査団の報告に留意する。
- モンゴル経済の現状と課題
(1)主要経済指標
一人当たりGNP (98年)とGDP成長率
(90-98年平均)実質GDP成長率 400ドル、0.1%
(世銀資料)93年▲3.0%、94年2.3%、95年6.3%、96年2.6%、97年4.0%、98年3.5%、99年3.5%
(IMF資料)(2)現状
モンゴル政府がマクロ経済の安定化を最重要課題としたこともあり、インフレ率は、97年の20.5%から98年の6.0%へと大幅に改善された。一方、99年のGDP成長率は前年から横ばいの3.5%にとどまった。モンゴル経済が鈍化している主な原因は主要輸出産品である銅・カシミアの国際価格がここ数年低迷していることにある。また、99年には大規模な雪害に見舞われ、社会経済全般への悪影響も危惧されている。
(3)課題
- 国内の経済インフラの整備
- 海外投資環境の整備
- 明確な産業振興策や民間企業の経営管理ノウハウの蓄積
- 国営企業の経営改善・民営化
- 対外債務の縮小
- 多額な銀行不良債権の処理
- 開発計画
(1)長期国民経済発展計画(96年5月作成)
(イ) 1996年~2000年は経済危機からの脱出と経済安定への移行段階、インフラ建設を重視(GDP成長率4%)。 (ロ) 2001年~2010年代初めは高度成長のための準備段階、産業技術の刷新を最重要視(GDP成長率6%)。 (ハ) 2010年~2020年代は高度成長段階、経済・産業構造の高度化と自立経済の確立を目指す(GDP成長率8~10%)。 (2)1999-2003年モンゴル中期経済・社会開発戦略(99年6月)
生活水準向上のための経済成長の加速化を主目的とし、マクロ経済安定化の進展を確固たるものとし、また構造改革の進展及び外国直接投資の急増、国内貯蓄の拡大により民間主導の経済制度を強化する。
- 援助実績
(1)我が国の実績(支出純額、単位:百万ドル)
有償 無償 技協 合計 供与先順位 99年(暦年) 33 36 24 94 17位 99年(暦年)までの累計 186 336 173 695 30位 (2)DAC諸国からの実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
二国間総額 1位 2位 3位 141 日本 94 米国 18 ドイツ 17 (3)国際機関のODA実績(支出純額、98年(暦年)、単位:百万ドル)
国際機関総額 1位 2位 3位 60 ADB 32 IDA 17 UNDP 2
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