第II部 2012年度の政府開発援助実績

第1章 実績から見た日本の政府開発援助

2012年、日本の政府開発援助(ODA)の支出純額は106億451万ドルで世界第5位、支出総額は186億6,216万ドルで世界第2位の実績でした。

ベトナム・マイヤン郡の笑顔あふれる子どもたち(写真:加藤雄生/JICA)

2012年の日本の政府開発援助(ODA)実績は、支出純額で二国間ODAが約64億221万ドル(約5,110億円)、国際機関に対する出資・拠出などが約42億230万ドル(約3,354億円)、ODA全体では対前年伸び率2.1%減の約106億451万ドル(約8,464億円)となりました(注1)。なお、政府貸付などの回収額を算定に入れない支出総額でのODA実績は、対前年伸び率6.7%減の約186億6,216万ドル(約1兆4,895億円)でした(注2)。

< 実績の分析 >

2012年の日本のODA実績(支出純額)は、前年に比べ約2.1%減で、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)加盟国における順位は、米国、英国、ドイツ、フランスに次いで、2011年と変わらず第5位となりました(注3)。また、支出総額での順位も前年と同様、米国に次ぎ第2位となりました。

2012年ODA実績(支出純額)の内訳は、二国間ODAが全体の約60.4%、国際機関に対するODAが約39.6%です。開発途上国との協議の上で実施される二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。一方、国際機関に対するODAでは国際機関の専門的知識や政治的中立性を活用でき、さらに二国間援助が届きにくい国・地域への支援が可能です。日本は、これらの支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図り、適切に援助が供与されるよう努力しています。

二国間ODA(支出純額)を援助手法別に見ると、無償資金協力として計上された実績は約31億1,746万ドル(約2,488億円)で、ODA実績全体の約29.4%となっています。うち、国際機関を通じた贈与は、約13億9,519万ドル(約1,114億円)で全体の約13.2%です。さらに技術協力は約36億4,107万ドル(約2,906億円)で、全体の約34.3%を占め、政府貸付などは約-3億5,633万ドル(約-284億円)となっています。(マイナスは貸付などの回収額が供与額を上回ったことを示します)

地域別の二国間ODAは次のとおりです。

( )内の値は支出総額ベース(東欧および卒業国向け援助を含む)

 

アジア:約16億1,203万ドル(約81億5,694万ドル)

中東・北アフリカ:約14億9,786万ドル(約22億4,045万ドル)

サブサハラ・アフリカ:約17億1,801万ドル(約18億4,385万ドル)

中南米:約-1億9,217万ドル(約4億7,494万ドル)

大洋州:約1億2,815万ドル(約1億5,241万ドル)

欧州:約3,525万ドル(約9,390万ドル)

複数地域にまたがる援助:約15億5,255万ドル(約15億5,255万ドル)


注1 : 東欧諸国および卒業国向け援助を除く。

注2 : 支出総額(グロス)と支出純額(ネット)の関係は次のとおり支出純額=支出総額-回収額(被援助国から援助供与国への貸付の返済額)

注3 : 日本以外は、暫定値による比較

図表 II-1 2012年の日本の政府開発援助実績
図表 II-2 日本の二国間政府開発援助実績の地域別配分の推移
図表 II-3 主要DAC加盟国の政府開発援助実績の推移
図表 II-4 DAC諸国における政府開発援助実績の国民1人当たりの負担額(2012年)
図表 II-5 DAC諸国における政府開発援助実績の対国民総所得(GNI)比(2012年)
図表 II-6 日本の政府開発援助実績の対国民総所得(GNI)比の推移

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