開発協力トピックス

持続可能な開発とリオ+20

2012年6月ブラジル・リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)が開催されました。1992年開催の「国連環境開発会議」(地球サミット)から20年後に、世界の首脳レベルが参加し、改めて環境や貧困、災害などの多くのテーマについて議論した会議です。

リオ+20には世界188か国から97名の首脳が参加した

リオ+20には世界188か国から97名の首脳が参加した


1.持続可能な開発

持続可能な開発とは、「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に公表した報告書「我々の共通の未来」の中で取り上げた中心的な考え方で、「将来の要求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことをいいます。この概念は、環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立つものです。

1992年には「国連環境開発会議」(地球サミット)がブラジル・リオデジャネイロで開催され、「環境と開発に関するリオ宣言」とそれを実現するための行動計画「アジェンダ21」が採択されました。さらに、気候変動枠組条約や生物多様性条約が署名されるなど、地球サミットは、今日に至る地球環境の保護や持続可能な開発の考え方に大きな影響を与えました。その10年後には、南アフリカ・ヨハネスブルグで「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(ヨハネスブルグ・サミット)が開催され、「ヨハネスブルグ実施計画」が採択されました。その後、水・衛生、エネルギー、農業等の様々な分野で具体的な取組が行われてきましたが、地球サミットから20年が経過し、国際社会を取り巻く情勢は大きく変化しています。資源の枯渇や大規模な自然災害の多発が大きな問題となっている中、新興国や民間部門、NGOなど、国際社会の主体は多様化しており、それぞれがその能力に応じた役割を担うことが求められています。


2.国連持続可能な開発会議 (リオ+20)

地球サミットから20年目を迎える2012年6月、ブラジル・リオデジャネイロでリオ+20が開催されました。この会議では、(1)持続可能な開発および貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済、および(2)持続可能な開発のための制度的枠組みをテーマに話し合われ、97名の首脳のほか、世界中から多数の閣僚、国際機関、企業、市民社会などの関係者約3万人が参加しました。会議では、「我々の求める未来」と題する成果文書が採択されました。その中で、(1)グリーン経済は持続可能な開発を達成する上で重要な手段であり、それを追求する国による共通の取組として認識すること、(2)持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムの創設、(3)都市、防災を始めとする26の分野別取組についての合意、(4)持続可能な開発目標(SDGs)について政府間交渉のプロセスの立ち上げ、(5)持続可能な開発資金戦略に関する報告書を2014年までに作成することなどが合意されています。

また、日本は、リオ+20の期間中、日本パビリオンを設置して日本の優れた環境・省エネ技術を発信するとともに、東日本大震災からの復興をアピールしました。さらに、環境未来都市に関わる公式サイドイベント(注1)も行いました。


3.「緑の未来」イニシアティブ

リオ+20において、日本は(1)環境未来都市の世界への普及、(2)世界のグリーン経済移行への貢献、(3)強靱(きょうじん)な社会づくりを3本柱とする「緑の未来イニシアティブ」を表明しました。

このイニシアティブの下で、日本は、優れた環境・低炭素技術や知識・経験を活用して世界のグリーン経済への移行に積極的に貢献していきます。そのため、今後3年間で、環境分野の専門家等1万人の「緑の未来協力隊」を編成し途上国の人材育成を後押しします。また、途上国におけるグリーン経済移行を支援するため、今後3年間で30億ドルの支援を実施します。

日本は、東日本大震災という大きな災害を経験しました。復興の過程で得られた経験を活かして、自然災害に強い、強靱(きょうじん)な社会づくりに貢献するために、途上国に対し防災分野で、今後3年間で30億ドルの支援を実施します。

現在、世界の人口の約半分は都市に住んでいます。これから都市人口はますます増えるといわれており、持続可能な開発の実現に適した環境技術、基幹インフラ、強靱性を兼ね備えた持続可能なまちづくりが必要です。日本は、被災地の復興の経験を同時進行で世界と共有するために、年間100人の都市開発関係者を途上国から招聘(しょうへい)します。また、今後、どのようにまちづくりを進めていくか、国際的な協力のネットワークを広げていくために、国際会議を開催します。日本は、これらの具体的な取組を通じて、持続可能な開発の実現に貢献していきます。

リオ+20には世界188か国から97名の首脳が参加した

注1 : 会期中に付近の会場で政府、国際機関、地方自治体、NGO等が主催する関連の展示会、講演等の催し。