第1章 実績から見た日本の政府開発援助
2009 年、日本の政府開発援助(ODA)の支出純額は94 億 6,861万ドル(対前年比1.4%減)で、世界第5位の実績でした。
2009年の日本の政府開発援助(ODA)実績は、支出純額で二国間ODAが約60億124万ドル(約5,605億円)、国際機関に対する出資・拠出などが約34億6,737万ドル(約3,239億円)、ODA全体では対前年比1.4%減の約94億6,861万ドル(約8,844億円)となりました(注1)。なお、政府貸付などの回収額を算定に入れない支出総額でのODA実績は、対前年比5.9%減の約164億5,213万ドル(約1兆5,366億円)です。
< 実績の分析 >
2009年の日本のODA実績(支出純額)は、前年に比べほぼ横ばいで、OECD-DAC(注2)加盟国における順位は、2008年と変わらず米国、フランス、ドイツ、英国に次ぐ第5位となりました(注3)。また、支出総額での順位も前年と同様第2位となりました。
2009年ODA実績(支出純額)の内訳は、二国間ODAが全体の約63.4%、国際機関を通じたODAが約36.6%です。
開発途上国との協議の上で実施される二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。一方、国際機関を通じたODAでは国際機関の専門的知見や政治的中立性を活用でき、さらに二国間援助が届きにくい国・地域への支援が可能です。日本は、これら二国間援助および国際機関を通じた支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図り、適切に援助が供与されるよう努力しています。
二国間ODA(支出純額)を援助手法別に見ると、無償資金協力として計上された実績は約22億894万ドル(約2,063億円)で、ODA 実績全体の約23.3%となっています。このうち債務救済は約6,833万ドル(約64億円)で、約0.7%を占めています。また、国際機関を通じた贈与は、約6億6,049万ドル(約617億円)で全体の約7.0%です。上記項目を除くと、無償資金協力として日本が供与した金額は約14億8,012万ドル(約1,382億円)で、全体の約15.6%となります。さらに技術協力は約31億1,840万ドル(約2,913億円)で、全体の約32.9%を占め、政府貸付などは約約6億7,390万ドル(約629億円)、債務救済を除いた政府貸付などは約7億3,938万ドル(約691億円)となっています(注4)。
◆ アジア:約22億1,805万ドル(約77億9,890万ドル)
◆ アフリカ:約14億322万ドル(約15億5,602万ドル)
◆ 中東:約11億8,507万ドル(約5億67万ドル)
◆ 中南米:約1億4,258万ドル(約7億3,270万ドル)
◆ 大洋州:約1億1,190万ドル(約1億2,983万ドル)
◆ 欧州:約1億5,646万ドル(約2億20万ドル)
◆ 複数地域にまたがる援助:約15億4,812万ドル (約15億4,812万ドル)
●全体に占める各地域別実績の割合については、図表-III2を参照してください。
注1 : 東欧諸国及び卒業国向け実績並びに欧州復興開発銀行(EBRD)向けの拠出金の一部を除く。なお、四捨五入の関係上、図表等の合計が一致しない場合がある。
注2 : OECD-DAC:Organisation for Economic Co-operation and Development-Development Assistance Committee。経済協力開発機構・開発援助委員会。
注3 : 日本以外は暫定値による比較。
注4 : 換算率:2008年=103.5円/ドル、2009年=93.4円/ドル(OECD-DAC 指定レート)
注5 : 括弧内の値は支出総額ベース。