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本白書の概要

本白書は、第I部特集記事、第II部2006年度政府開発援助実績の報告、第III部資料編の3部からなっています。

第I部 「転換期の日本の開発援助」(特集記事)
  2008年は、日本がG8北海道洞爺湖サミットと第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を開催する重要な年です。これらの機会に日本が十分な指導力を発揮するためには、政府開発援助を通じた国際協力が重要です。そこで、第I部特集記事では、「転換期の日本の開発援助」と題し、日本の国際協力の意義と開発援助の特徴を明らかにしました。グローバル化の進展と開発援助を巡る国際的な新たな動向の中で、日本の開発援助の強み、特に開発途上国の現場における日本人の貢献、開発における企業活動の意義について具体例を挙げて検証しました。また、今日の国際社会における優先課題である気候変動問題とアフリカ支援について掘り下げて記述しています。また、2008年は、10月に新JICAが始動する政府開発援助改革の節目の年です。そこで、最近の改革の具体的取組・成果についてもとりあげました。

第1章 国際協力の今日的な役割

第1節 国際協力の基本的な意義
  政府開発援助大綱にあるように、政府開発援助の目的は、国際社会の平和と発展に貢献すること、およびこれを通じて日本の安全と繁栄の確保に資することです。本節では、日本の国際協力の意義について、国際的な開発課題や日本の外交政策の観点から解説しています。

第2節 国際経済環境の変化と国際協力
  開発途上国の貿易・投資環境を改善することは、開発途上国の経済成長を促すと同時に日本の経済活動の機会を拡大することにも通じます。本節では、「開発イニシアティブ」や経済連携協定の推進を例に解説するほか、アフリカにおける日本企業の事業活動と政府開発援助等の公的支援の連携事例を具体的にとりあげています。

第3節 気候変動問題
  気候変動問題は、国際社会がただちに協力して取り組むべき喫緊の課題です。国際社会全体で温室効果ガスの排出量削減に取り組むと同時に、悪化していく地球環境に対応する能力を強化する必要があります。本節では、開発途上国の気候変動対策を支援する日本の取組について、具体例を挙げながら解説しています。

第2章 国際的な援助潮流と日本の取組

第1節 国際的な援助の動向
  2001年以降、先進国からの政府開発援助総額は増加しています。本節では、最近の開発援助を巡る国際的な動向につき、ミレニアム開発目標に体現される成果主義の出現、新たな援助主体の台頭、援助の効果を向上するための国際社会の取組等について解説しています。

第2節 日本の開発援助の特徴
  日本の開発援助は、50年以上の歴史を有します。本節では、日本がこれまでに培ってきた日本の開発援助の特徴(強み)について、「自助努力支援」、「日本の知見や技術の伝播」、「民主化定着・市場経済化支援」の3点から解説しています。

第3節 人間の安全保障
  グローバル化の進展は人間の生存・生活・尊厳に対する脅威を増しています。脅威に直面する開発途上国の人々の保護と、それらの人々が自ら対処することができるような能力強化の支援が重要です。本節では、日本が国際場裡において主導してきた「人間の安全保障」についての取組について解説しています。

第3章 政府開発援助改革の進展

  2008年10月、新JICAが創設され、技術協力、有償資金協力、無償資金協力が一元的に実施されることになります。本章では、外交政策の援助政策実施への反映、二国間援助と国際機関を通じた援助の連携について、過去1年間の取組を解説しています。

特集囲み 元気なアフリカを目指して
  2008年5月、日本は第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を開催します。アフリカは、現在の国際社会が直面する問題が凝縮されていると同時に、近年、成長への新しい兆し・前向きな変化が見られます。本特集囲みでは、TICAD IVに向けた日本の取組として、(1)成長の加速化、(2)「人間の安全保障」の確立、(3)環境・気候変動問題への対処-を中心に解説しています。


第II部 「2006年度の政府開発援助実績」
  第II部では、政府開発援助大綱に基づいて、2006年度の政府開発援助の実績を中心に、可能な限り最近の事例も含めて報告しています。

第1章 実績から見た日本の政府開発援助

  2006年の政府開発援助実績は、対前年比14.9%減の約111億8,707万ドル(約1兆3,022億円)となりました。

第2章 日本の政府開発援助の具体的取組

第1節 政府開発援助大綱の基本方針に関連した取組状況
  2003年8月に改定された「政府開発援助大綱」の概要について解説しています。

第2節 課題別の取組状況
  政府開発援助大綱に即し、課題別の取組状況について解説しています。
  「1.持続的成長」では、経済社会基盤(インフラ)への支援など、日本が重視する開発途上国の持続的な経済成長のための支援について解説しています。
  「2.社会開発への支援」では、教育、保健医療・福祉といった開発途上国の基礎的な社会開発のための支援について解説しています。
  「3.地球規模の問題への取組」では、環境問題、感染症といった一国だけの問題ではなく、国境を越えた地球規模の問題への取組について解説しています。
  「4.平和の構築」では、平和構築委員会の設立など平和構築に関する現状および日本の取組を概観し、イラク、アフガニスタン、スーダン、アフリカ(サブ・サハラ)といった地域ごとの取組や、対人地雷・小型武器への取組について解説しています。

第3節 地域別の取組状況
  各地域における日本の政府開発援助の実績について解説しています。特に、アフリカの項では、アフリカ開発会議(TICAD)プロセスを通じた支援や南南協力について、東アジアの項では、東南アジア諸国連合(ASEAN)、メコン地域における取組や中国との関係について記述しています。

第4節 援助に関する国際的な動き
  本年版白書から新設された本節では、OECD-DAC、世界銀行、G8、国連等における、開発援助にかかわる議論を紹介しています。膨大な支援需要にこたえるためには、各援助国・機関の強みをいかすこと、国際的な議論を通じて経験と目標を共有することが重要です。また、近年では、被援助国も議論に参加し、より実践的・効果的な援助が行われるようになっています。

第5節 援助実施の原則の運用状況
  政府開発援助を実施するにあたっては、開発途上国の援助需要だけでなく、当該国の軍事支出等の動向、民主化の促進や市場経済導入の努力、基本的人権および自由の保障状況などの要素に加えて、全般的な二国間関係の状況を考慮する必要があります。この具体的な運用について、実例を挙げて説明しています。

第6節 援助政策の立案および実施における取組状況
  政府開発援助大綱は、より効率的・効果的な援助を実施するため、政府が進めるべき一連の改革措置を3つに分けて示しています。
  「1.援助政策の立案および実施体制」では、一貫性のある援助政策の立案、関係府省間の連携、政府と実施機関との連携、政策協議の強化、現地機能の強化、内外の援助関係者との連携といった点について、最近の改革も踏まえて説明しています。
  「2.国民参加の拡大」では、国際協力に国民各層に広範に参加してもらうための様々な取組について解説しています。青年海外協力隊やシニア海外ボランティアなどについて記述しているほか、グローバルフェスタJAPAN2007など、国民参加型のイベントについても記載しています。
  「3.効果的実施のために必要な事項」では、評価の充実、適正な手続きの確保、不正、腐敗の防止、援助関係者の安全確保に関する取組について記載しています。


第III部「資料編」
  2006年を中心とした、日本の政府開発援助の予算や実績についての資料、主要援助国の援助実績についての参考資料を掲載しています。

(凡例)
1.白書内で使用されているデータは、基本的に年度を基準としているが、国際比較等をする場合、国際機関からデータを引用する場合は、暦年を使用している。
2.原則として、特段記載のない限りは無償資金協力と円借款の実績は交換公文(E/N)ベース、技術協力はJICA実績ベース。

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