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(2)主な事業と関係機関の概要と実績
[1]円借款事業(国際協力銀行(JBIC:Japan Bank for International Cooperation))
1.事業の開始時期・経緯・目的
開始時期
 1957年の日本輸出入銀行法改正によって、外国政府等への融資制度が創設され、1958年に第1号案件に対して融資が行われた。
経緯・目的
 1957年以後、日本輸出入銀行が円借款業務を実施してきたが、1961年以後は海外経済協力基金が円借款業務の中心的役割を果たしてきた。1999年には、日本輸出銀行と海外経済協力基金が統合し、国際協力銀行(JBIC)となった。円借款は、開発途上地域の政府・政府機関に対し、開発事業の実施や、経済安定に関する計画の達成に必要な資金を直接融資するものである。

2.事業の仕組み
概 要
 円借款は、開発途上国に対し長期・低利の緩やかな条件で開発資金を貸し付けるものである。
 開発途上国の経済発展には、その土台としての経済・社会インフラ整備が不可欠であり、経済・社会インフラ整備には開発資金が必要だが、開発途上国自身では十分な資金を確保できない場合がある。また、アジア通貨危機のように経済困難に陥った国については経済安定、経済構造改革のための資金も必要である。
 円借款は、このような開発のための資金需要に緩やかな条件で対応するものであり、返済義務を課す借款という形での援助を行うことにより、開発途上国の開発に対する主体性(オーナーシップ)を高め、開発途上国が自らの力で自立するための自助努力を支援するという大きな意義を有することに加え、供与先の国との間で債権債務関係を設定することで、その国との長期にわたる安定的な関係の基礎となるという外交政策上の重要な役割を担っている。
審査・決定プロセス
 開発途上国政府より在外公館等を通じた要請がなされた後、外務省が中心となり、財務省、経済産業省等関係省庁及びJBICにも協議しつつ検討が行われる。JBICは、補完的な調査が必要と判断した場合に、案件形成促進調査(SAPROF)を行うことがある。
 その後、原則として、政府調査団の派遣による相手国政府との協議を経た後、JBICの審査ミッションが派遣され、相手国政府、実施機関等との協議、調査等を行う。このJBICの審査ミッションの結果を踏まえて借款供与額、条件等が決定され、その内容が相手国政府に事前通報される。
 続いて、政府間で交換公文が締結され、それを受けて、JBICと相手国借入人等との間で借款契約の調印が行われる。

図

決定後の案件実施の仕組み
 円借款案件においては、通常、設計、入札補助等のためにコンサルタントが借入国によって雇用されるが、その場合は、国際的に行われている選定方法(ショートリスト方式等)によって選定される。続いて、プロジェクトに必要な資機材・サービスが、原則として、国際競争入札によって調達される。なお、こうした調達は借入国の責任において、JBICが公表しているガイドラインに沿って行われることとなっているが、JBICは、調達の各段階において必要に応じて、調達手続きの確認を行い、経済性、効率性、透明性及び非差別の確保の原則に従った調達の確保を図っている。
 借款資金の貸付は、原則として、事業の進捗に応じて実際に資金需要が発生したときに行われる。
 プロジェクトの実施主体は、あくまで借入国であるが、JBICはその円滑な実施に向け、必要に応じて適宜助言等を行って協力している。このような実施管理の重要性は年々高まっており、事業の効果的な実施のために特に必要と判断される場合には、追加的、補足的調査を行う案件実施支援調査(SAPI)を行うことがある。
 プロジェクトの完成後は事後評価を実施し、そこから得られた教訓を日本政府、JBIC内部、及び、相手国政府、実施機関にフィードバックし、その後のプロジェクトの形成、審査、実施、事後監理に役立てる。また、完成したプロジェクトの効果の持続あるいは一層の向上のために、借入国の求めに応じ、援助効果促進業務(SAPS)を行うことがある。

3.最近の活動内容
  (実績数字はすべて借款契約(L/A)ベース)
承諾、実行及び回収実績

表

地域別承諾額

表

4.より詳細な情報
書籍等
 国際協力銀行年次報告書
ホームページ
 http://www.jbic.go.jp/

5.国際協力銀行(JBIC)の沿革・業務
沿 革
 1961年に、海外経済協力基金法(昭和35年12月27日法律第173号)により、海外経済協力基金が設立され円借款業務を開始した。その後、1999年10月1日に、国際協力銀行法(1999年4月23日法律第35号)により、海外経済協力基金と日本輸出入銀行を統合し、JBICが設立された。
業 務
 JBICは、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、日本の輸出入もしくは海外における経済活動の促進または国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域の経済及び社会の開発または経済の安定に寄与するための貸付け等(「海外経済協力業務」という)を行い、もって日本及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的としている。
 このうち、海外経済協力業務は、日本のODAにおける大きな柱の1つである円借款と、開発途上国における民間企業の活動を支援する海外投融資を実施している。


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